富山大学大学院医学薬学研究部麻酔科学講座
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麻酔科勉強会


   日時:毎週木曜日 朝7時15分~
   場所:手術部ラウンジ


    ※ テンプレート1 症例報告
    ※ テンプレート2 ガイドライン等

    今回のポイント


    • PONV 予防のためのドロペリドール投与は手術終了時が望ましい。
    • ドロペリドール投与時に最も注意する有害事象はQT 延長。
    • 既知のQT 延長がある患者に対してドロペリドールの投与はもちろん禁忌。加えてQT 延長を起こしやすい疾患を持つ患者や薬物が投与されている患者に対しても慎重に投与する必要がある。
    • 低用量(1.25mg 以下)の投与ではQT 延長と因果関係がないとする報告もある。過度に恐れる必要はないが投与前後の心電図モニタリングは必須。
    • 血圧低下、錐体外路障害といった有害事象にも注意する。

    今回のポイント


    • 麻酔により体温の再分布が起こり、体温は低下する。
    • 全身麻酔だけでなく、脊椎麻酔や硬膜外麻酔によっても体温は低下する。
    • 全身麻酔と区域麻酔を併用した場合は単独の場合よりも体温がさらに低下しやすい。
    • 体温の低下により①薬物効果の遷延(吸入麻酔薬、筋弛緩薬など)、②出血傾向、③感染、③シバリング、④呼吸抑制、⑤血糖値上昇、⑥腎機能低下の有害作用がある。
    • 虚血性心疾患患者ではシバリングの予防が大事。
    • 麻酔中の体温維持には、導入前の加温、室温の維持、輸液の加温、吸入ガスの加温・加湿(人工鼻)、温風対流装置、アミノ酸輸液が効果的。

    今回のポイント


    • PecsⅡブロックにより、術後24 時間以内のオピオイド使用量は減り、NRS は軽減する
    • PecsⅡブロックでは乳房外側領域の鎮痛は得られるので乳房切除術の腋窩郭清などに有効
    • PecsⅡブロックにTTP ブロックを併用すると、内側領域の鎮痛もカバーできるという報告あり
    • エコーガイド下で行うので合併症は少なく、比較的容易に行える

    今回のポイント


    • 虚血型に対しては血行再建術が勧められる(ガイドライン グレードB)。血行再建術によりTIA改善、脳梗塞のリスク軽減、術後ADL改善、長期的脳機能予後の改善が得られると報告されている。
    • 出血型は、虚血型と比し血行再建術の有用性についてエビデンスが蓄積されていない。
    • JAM(Japan Adult Moyamoya) Trial(多施設無作為比較試験):出血型もやもや病患者を、両側大脳半球への直接血行再建術を行う群と内科的治療のみを行う群とに無作為に割り付けし、その後の5 年間の主 要エンドポイント(再出血発作を含むすべての医学的有害事象)の発生率を比較した。手術群3.2%/年、非手術群8.2%/年であり、手術群において有意な低下がみられた(カプラン・マイヤー法、p=0.048)。
      ⇒ JAM Trial は、出血型もやもや病に対する血行再建術の有用性を示した報告である。しかし、“手術群においても、3.2%/年の有害事象が発生する!”ことに注目し、今後もやもや病患者を担当する場合には、たとえ術後であっても慎重な麻酔管理が必要であると考えるべきである。
       ちなみに未破裂脳動脈瘤の全例調査(UCAS Japan)では、年間出血率は0.64%/年、瘤が5 mm 以上では、1.1%/年と報告されている。

    今回のポイント


    • レミフェンタニルは調節性に優れた超短時間作用型オピオイドである
    • 血中濃度を意識して適切に使用、導入や術中の血圧上昇を防ごう!
    • 定常状態における効果部位濃度(Ce)は投与速度(μg/kg/min)×係数(40 歳:20-30、80 歳:25-40)
    • 定常状態の濃度に上昇するまでの時間は10-15 分!手術の進行を予測して濃度を変化させよう!
    • 効果部位濃度が下がる速度は早い!最後までしっかり鎮痛しよう!
    • 換気や循環に対する影響(副作用)を熟知しよう!
    • 術後鎮痛はしっかり!レミフェンタニル誘発性鎮痛耐性の予防をしよう!

    今回のポイント


    • マスク換気困難は、全身麻酔導入時の気道確保困難で重篤な転帰となりうる。
    • 心構えは出来ているか!?; マスク換気困難の予測が難しいとの報告もあり、“換気不可”の場面が突然やって来る可能性がある。
    • 対応法を知っているか!?; “換気不可”の場面に備えて、対応法を把握しておくべきである。
    • 導入時、疎かにしていないか!?; 低酸素血症防止の点で、pre-oxygenation は最も有効とされている。

    今回のポイント


    • 脊髄モニタリングは,脊椎手術・脳神経外科手術・大血管手術において神経機能温存に有用である
    • 麻酔は神経(シナプス)に作用するため,モニタリングに影響する
    • 大まかな原理と麻酔の注意点を把握し,良好なモニタリング環境を提供しよう

    今回のポイント


    • 近年正期産は、早期正期産、満期正期産、後期正期産と分類されるようになった。
    • 早期正期産児は満期正期産児よりも、急性期において呼吸器系の有病率が高い。
    • さらに、発達遅滞や教育支援を要する割合も高いという報告がある。
    • 選択的帝王切開時期を一律に何週がよいとは決定できないが、37週以降ならばよいと判断するのはすすめられない。諸外国では、新生児リスクの観点から、帝王切開時期は39週以降が望ましいとされていることを、麻酔科医は理解しておかなければならない。

    今回のポイント


    • 肺手術後の間質性肺炎急性増悪の発生頻度は4.4~27%と報告され、死亡率も高い。
    • 術後急性増悪の因子として、広範な肺切除、男性、急性増悪の既往、術前のステロイド使用、KL-6 高 値、%FVC 低値、%DLCO 低値など。
    • 麻酔管理における急性増悪のリスク因子は、長時間の人工換気、高い吸入酸素濃度、大きい一回換気 量、輸液過多が報告されている。
    • シベレスタット投与に関しては予防効果にエビデンスはないが大きな有害事象の報告もなし。

    今回のポイント


    • 『産科危機的出血への対応指針2017』を見ても、麻酔科医が何をすべきなのか結局よくわからない
    • 下図は臨床麻酔2018-3からそのまま転載したもの(・・・なので、ただの参考図)で、注目点は、
        - 常位胎盤早期剥離、羊水塞栓の重要性が強調されている
        - 非常に具体的かつ現実的な行動・数値目標が記載してある
    • 若手はひとまずこれをそのまま覚えるのもあり⇒ そのうち当院バージョンを作製し掲示したい(提案)

    今回のポイント


    • 経食道心エコーは非心臓手術での麻酔管理においても有用である!
    • 循環管理に対して特に有用なview は5 断面! ⇒ 動画供覧 で解説します
    • 食道静脈瘤や上部消化管出血など食道に病変がある場合は禁忌なので注意が必要

    今回のポイント


    • 母体心停止直後に帝王切開(Perimortem cesarean delivery)を行うと母児両者の救命が期待できる
    • AHA(2015)、ヨーロッパ蘇生協議会、日本蘇生協議会のガイドライン、SOAP(Society of Obstetric Anesthesia and Perinatology)合同声明のいずれも、母体蘇生におけるPMCD の考慮を推奨している
        - 妊娠20 週以降(子宮底が臍高以上)の妊婦が心停止に陥ったらすぐに準備を開始する
        - 心停止後4 分(蘇生開始4 分後)自己心拍が回復しないとき、PMCS の開始を考慮する
        - 母体救命目的のPMCS の施行には、胎児の生死は問わない
    • ただし、日本で実際に行うには、インフォームドコンセントが最大の障壁になると考えられる・・・

    今回のポイント


    • 緊急手術時や大量出血時に輸血在庫欠乏や患者用の輸血製剤が届かない状況はありうる。
    • 可能な異型適合輸血を知っておくことで危機的状況を回避できることがある。

    今回のポイント


    • 第3 世代HES 130/0.4/9 ボルベン® の適応や副作用に関しては未だ議論の尽きないところである
    • 『HES はダメ!エビデンスがある!!』と言う人は、この有名な2 編の内容を誤解しているかもしれない
        ① 6S study (NEJM 2012: 重症敗血症患者を対象とした臨床研究)
        ② CHEST study (NEJM 2012: 重症ICU 患者を対象とした臨床研究)
    • そのような威嚇(?)に負けない(?)ためにも、麻酔科医はある程度正しく理論武装する必要がある
    • 結論から言えば、これらの論文から周術期のHES 使用が有害であるとは言えず、むしろ正しく使えば、
      患者に利益をもたらす可能性がある(2013 年以降のエビデンスの構築についてはまた次回・・・?)

    今回のポイント


    • ペースメーカーの基本モードを理解する。
    • ペースメーカー植え込み患者の手術中の設定を理解する。
    • テンポラリーペーシングの設定変更が必要な状況と対応を理解する。

    今回のポイント


    • 生体腎移植か献腎移植か、血液型適合か不適合か、レシピエントは透析導入前か後か、レシピエントに心血管系その他の合併症があるか否かで腎移植術の輸液・輸血戦略は異なる。
    • CVP あるいはFloTrac センサーによるSVV 値およびHct 値と収縮期血圧などを指標とすることが多い。
      吻合血管declamp までに有効循環血漿量を十分保持したうえで、初尿の得られやすい血圧を維持する。
    • 以前は生理食塩水あるいは1号液が主流であったが、近年は乳酸リンゲル液や重炭酸リンゲル液、状況によってはHES製剤の使用も行われるようになってきた。
    • 輸血の種類にも注意が必要(AB 型のFFP や洗浄赤血球液:WRC が必要な場合も)。

    今回のポイント


    • 敗血症の循環管理はまずは輸液!複数のモニタリングを組み合わせて輸液反応性を評価する
    • 初期輸液に反応しない時、循環作動薬の第一選択はノルアドレナリン(NA)
    • NA で不十分な場合、輸液不足or 心機能低下or 末梢血管抵抗低下が制御できていない、のどれが原因なのか考える
    • 緊急手術で術前心機能評価がされていない事が多いので、TEE を積極的に使用しよう
    • 心機能低下が原因ならアドレナリン or ドブタミンの使用を考えよう
    • 末梢血管抵抗低下が原因なら、バゾプレシンを使用しよう
    • 輸液と鎮痛が十分なのに頻脈が続く時、βブロッカーの使用は予後を改善するかもしれない
    • 輸液と循環作動薬を使用してもショックが遷延する場合、少量ステロイドの使用は弱く推奨される
    • 乳酸値やScvO2 の経時的変化で治療の評価を行う
    • 腎保護を目的としたループ利尿剤/hANP/ドパミンは使わない

    今回のポイント


    • OC とVTE の関連は1961 年に初めて報告され、現在ではOC/LEPの内服で活性化プロテインC(APC)抵抗性の状態をきたすことがVTEにつながる大きな要因と考えられている。
    • 2012 年のFDA 報告によるとVTE 発症リスクはOC 非服用者で年間1 万人当たり1-5 人に対し、OC服用者では同3-9 人である。
    • NAで不十分な場合、輸液不足or 心機能低下or 末梢血管抵抗低下が制御できていない、のどれが原因なのか考える
    • 30分を超える手術では、少なくとも4週間前からOC/LEPは中止する。
    • 術後2 週間以内での内服再開は禁忌とされている。
    • 過去にはOC/LEPが中止されておらず手術が延期された例として医療安全情報に取り沙汰されたこともあり、当科としての対応も検討する必要がある。
    • OC/LEP使用者は患者携帯カードを持っているのでそれで確認可能と思われる。

    今回のポイント


    • 輸血は臓器移植である。感染症、副反応(第17 回参照)、医療経済の面で安易な使用は推奨されない。
    • 周術期貧血の術中投与トリガー値はHb 値7〜8 g/dL とすることが推奨されている (Grade 1A)。
    • 血小板輸血について周術期は血小板数5 万/μL 以上を維持する (Grade 2D)。
    • 新鮮凍結血漿(FFP)の投与にあたり、投与前にPT・APTT を(大量出血・DIC ではFib も)測定する。

    今回のポイント


    • どんなブロックでも一緒だが、体位やベッドの高さ、エコーポジションで失敗すると敗北確定である
    • TAP ブロックをよく効かせるためのメソッド
    • ① 局所麻酔薬の基本的な考え方は薄く、多く!(例:片側0.2%アナペイン30mlぐらい)
      ② いわゆる 『TAPB』 とは、後方アプローチを指す ⇒ なるべく後方(背中側)に薬液を注入する
      ③ 注入する層は、もし迷ったら深い方に! 効果は、深い(腹横筋内)>>浅い(内腹斜筋内)
      ④ Th6-9 領域の鎮痛が必要な場合、肋骨弓下TAPB や腹直筋鞘(RS)ブロックを適宜追加する
    • 局所麻酔薬中毒には要注意!施行後30分間は観察が必要! (治療は第25回勉強会資料を参照)

    今回のポイント


    • 予防接種と全身麻酔との関連を調べたエビデンスレベルの高い臨床研究はなく、その実態はわかっていない。「予防接種と手術との間隔をどのくらいあければよいのか」ということを示したガイドラインやコンセンサスは現時点でない。
    • 予防接種後問題となるのは副反応であり、多くは接種部位の痛み、発赤、紅結、発熱などで、まれかつ重症なものとしてアナフィラキシー、けいれん、脳炎・脳症がある。副反応の種類や発症時期はワクチンによって異なるが、ほとんどの副反応は不活化ワクチンであれば2 日以内、生ワクチンであれば1-2 週間以内に出現する。
    • 以上より、予防接種から全身麻酔までに必要な間隔は、不活化ワクチンであれば2 日(3 日前接種であれば可)、生ワクチンであれば3 週間(2 週間の場合は要相談)とするのが妥当か・・・・。

    今回のポイント


    • 肺動脈カテーテルは有用な循環動態モニターである
    • 一方で、致死的な合併症を引き起こす侵襲的モニターであり、その適応は熟慮する必要がある
    • 安全に適切な位置へカテーテルを挿入する方法論と合併症への対応を熟知する必要がある
    • 何より大切なのは、得られるデータを管理に正しく反映する事が出来るだけの知識である
    • 肺動脈圧、肺動脈楔入圧、右房圧、心拍出量、混合静脈血酸素飽和度、血液温が得られる
       ⇒ 体血管抵抗や酸素供給/需要に思いを馳せよう
    • 肺動脈楔入圧を得られた深さから1cm 抜く(たわみを取る)、人工心肺が始まる前に1-2cm 抜く(心臓が 小さくなるため)、自己心拍再開した直後の肺動脈圧に注意(先当たりしやすいタイミング)
    • 肺動脈損傷を疑う気道出血を認めた場合は健側肺を保護するため速やかに分離換気へ
       ⇒出血は吸引せずタンポナーデにすることで止血が期待できる、らしい
      ★その際は脱血量を増やして肺動脈への血流を少なくするとさらにやり易い

    今回のポイント


    • replantation toxemia(再接着中毒症)とは、長時間の温阻血におかれた切断肢を再接着した場合に ショックを含む全身状態への悪影響を生じた状態。
    • replantation toxemia では壊死筋からの代謝産物が体循環に入り、高カリウム血症による心停止、代謝 性アシドーシス、ミオグロビン血症による腎不全などを生じる(≒Crush Syndrome:圧挫滅症候群)。
    • 四肢が温存可能かを予測するためにMangled Extremity Sererity Score (MESS) 等の指標が用いられる
    • 重症の四肢コンパートメント症候群もreplantation toxemia とほぼ同様の病態を呈する。
    • 近位四肢切断の再接着術は緊急透析が可能な施設で行う。

    今回のポイント


    • 手術2週間以内のURI はPRAEsの発生リスクは3.72 倍!という報告も・・・。
    • 術前検査での炎症マーカーはPRAEsの予測因子にはならない!
    • 術前検査の時点でURI があれば2-4 週間後まで手術を延期する。
    • 手術当日にURI が発覚した場合は発症2週間以内なら延期。2-4週間以内なら最長6週間は気道過敏性が亢進している、と認識しつつ麻酔する。
    • 前投薬は鎮静剤よりも気をそらせる方法がよい(おもちゃ、シール、ゲームなど)。
    • 抜管前のステロイド投与は有効かもしれないが有意差はない。お守りとして使う程度にしておく。

    今回のポイント


    • 術中の筋弛緩の管理は大切!術中筋弛緩が必要な手術は十分な筋弛緩を維持しよう!!
    • 残存筋弛緩は術後合併症を増やす!退室時には筋力が完全に戻っていることが求められる!!
        ⇒ この二つを満たすには筋弛緩モニターを使用せざるを得ない・・・
    • 筋弛緩の効果は個人差が大きい!入れてから〇分以上経過しているから大丈夫、は根拠レス
    • 筋弛緩モニターは測る場所が大切!術中管理は皺眉筋、覚醒時評価は母指内転筋(末梢)で測る!!
    • 筋直接刺激による筋収縮を避けるため、皺眉筋で測る時は出力を30mA以下にする
    • SGX の使用量は実体重換算!高度肥満は実体重換算でも過少投与になることがあるので注意
    • 透析患者に対するSGX 使用は必要量のみに留めるべき
    • 全身状態によっては再クラーレ化が起きる事を念頭に筋弛緩を拮抗する必要がある
    • 過量投与は推奨されない!何も考えずに200mg 入れるのではなく、必要量を考えて使いましょう!!
    • SGX のアナフィラキシーは10 分以内が多い、投与後10 分は退室させない!
    • SGX を使わずに返すにはそれなりの根拠と覚悟が必要
        ⇒TOF 比>0.9 を保証する臨床所見は舌圧子の噛みしめテストくらいしかない

    今回のポイント


    • 大動脈弁狭窄症の患者は麻酔により心原性ショックや致死的不整脈を引き起こすので非常に危険!
    • 麻酔薬が大動脈弁狭窄症に与える影響を理解すれば、重症例にも対応可能。
    • Af, 不整脈、MR, EF 低下、SV 低下などのオプションがある場合は要注意。

    今回のポイント


    • 経鼻挿管による鼻出血は、時に大量出血をきたし致命的となる合併症である。
    • 出血部位は前方(Kiesselbach 部位)と後方(翼口蓋動静脈叢)があり、後方では大量出血となる。
    • 鼻出血の原因は、鼻出血の既往、鼻中隔弯曲、鼻茸手術歴、アレルギー性鼻炎、そしてチューブの無理な挿入である。
    • 口腔外科手術では全顎CT により鼻中隔の弯曲はある程度確認できるため事前に確認する!
    • 鼻翼損傷の予防のためにも、経口挿管より1〜2 サイズ小さいものを選択する。
    • 綿棒での前処置の際に、通過性や方向を確認する。血管収縮薬は十分に(5 分)染み込ませること!
    • チューブ抵抗時には無理に進めず、また抜去もしない。圧迫止血で止まらないなら耳鼻科コンサルト!

    今回のポイント


    • オキシコドンは、モルヒネ製造過程で得られるデバインから作られる半合成オピオイドで、主にμオピオイド受容体を介して発現する。
    • CYP3A4 により12-39%がノルオキシコドン (鎮痛活性無) 、CYP2D6 により1%未満がオキシモルフォン(鎮痛活性有)となる。オキシモルフォンにはオキシコドンの14 倍程度の鎮痛活性があるとされているが、濃度が極めて低いため鎮痛効果にはほとんど関与していない。未変化体尿中排泄率は、約5.5-19%である。
    • 経口オキシコドンの生体内利用率は速放製剤で60-87%、徐放製剤で50-87%である。
    • 腎不全患者にも比較的安全に使用できるため、オピオイド導入を経口オキシコドンから開始するという症例が増えてきている。
    • 近年、モルヒネでは治療が難渋する骨転移痛や神経障害性痛に対して、オキシコドンが比較的高い有効性を示すことが報告されてきている。

    今回のポイント


    • PDPH の発生をなるべく予防したければ、やはり、ペンシルポイント針を用いるべき
    • 硬膜穿刺後、6~72 時間後に発症する。座位・立位で増悪し、臥位で改善する頭痛が特徴
    • 治療の基本: まずは保存的加療(NSAIDs、安静臥床、カフェイン飲料、漢方薬…? etc.)
         ⇒ 1 週間程度で治らない場合に、患者と相談しブラッドパッチを適応するという流れがいいか
    • ただし、複視(外転神経麻痺)が見られた場合は、ただちにブラッドパッチで治療する必要がある

    今回のポイント


    • オピオイド急性鎮痛耐性とはオピオイド投与中に鎮痛効果が急に得られにくくなること、痛覚過敏とはオピオイド使用後に刺激に対する痛みの閾値が低下する現象と理解されている(この2 つを明確にわけることは不可能であり、意味がないとされる)。全てのオピオイドにおいて起こり得るが、レミフェンタニルにおいて顕著である。
    • レミフェンタニル誘発性急性鎮痛耐性及び痛覚過敏については、徐々に機序、発症要因、予防法等が解明されつつあるが、未だ結論には至っていない。
    • レミフェンタニルの投与量/時間との相関は認められていないが、高用量・長時間投与でリスクが増大すると考えられている(レミフェンタニル ≧0.3γ・・・0.2-0.25γとする報告もある)

    今回のポイント


    • 2015年に急性腹症診療ガイドラインが作成された。
    • 最近、急性腹症で手術となる患者に対しアセリオが投与されてくる例が多くみられるがこのガイドラインの存在が大きいと考えられる。
    • 今回は本ガイドラインの中でも鎮痛、特に使用機会の多いアセトアミノフェンについて取り上げてみたい と思う。
    • 急性腹症患者へのアセトアミノフェンの使用は、最大で15-30分おきに計4000 ㎎まで可能となっており、添付文書(4-6 時間空けての投与を推奨)よりもアグレッシブな投与が推奨されている。

    今回のポイント


    • 骨セメント使用時に一過性の血圧低下を生じることは周知の事実であるが、ときに急激な血圧低下、低酸素血症、不整脈を生じ、術中急変し死亡する症例も報告されている(bone cement implantation syndrome ; BCIS)。
    • BCIS 発生危険因子として、肺高血圧症、心機能低下(NYHA class 3-4)、病的骨折の存在、内側型大腿骨頚部骨折の存在、long-stem arthroplasty 実施があげられる。
    • BCIS のハイリスク症例では、術前の心機能評価、術式変更(セメントレス等)、保存療法の検討、モニタ(A-line 挿入やセメント使用時etCO2・SpO2 を注意して観察する)、昇圧剤の準備等対策が必要である。

    今回のポイント


    • 術後(気管挿管に伴うと考えられる)、披裂軟骨脱臼を発症した1例を経験した
    • 披裂軟骨脱臼は稀な合併症であるが、治療開始時期が機能改善の度合いを左右するため、麻酔科医はこの存在と対処方法を知っておく必要がある
    • 術後に高度の気息性(息が漏れる)嗄声や咽頭痛(とくに嚥下痛)が認められた症例は、要経過観察!
      ⇒ これらが7 日以上遷延する場合、速やかに耳鼻咽喉科へコンサルトを行う(…主治医と協議する)!

    今回のポイント


    • 内服薬の管理は、周術期のメリット・デメリットを理解して判断する。
    • 継続が推奨されるものは、スタチン(強いエビデンスあり)・β遮断薬・α2作動薬・Ca拮抗薬。
    • ACE阻害薬、ARBについては中止が推奨されていたが、近年、慢性心不全患者や高血圧患者で継続が妥当とされてきた。
    • 利尿薬は、降圧目的(サイアザイド系)であれば継続が推奨される。
    • スタチン以外の脂質異常症治療薬は中止しても差し支えない。
    • 狭心症治療薬、抗不整脈薬のエビデンスはないが継続が一般的である。
    • ジギタリスは継続が推奨される。
    • カテコールアミンは血行動態に合わせて継続する。

    今回のポイント


    • 高齢化や慢性疾患の増加、医療におけるテクノロジーの進歩による医療の高額化に伴い、医療資源は有限なものとしてとらえられるようになった。そのため、生命予後の改善など伝統的なアウトカム指標のみでは医療評価は不十分であり、QOLのような患者立脚型のアウトカム指標が必要となってきた。
    • 健康関連QOLとは 「疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタルヘルス、活力、痛みなど)や、毎日行っている仕事、家事、社会活動にどのようなインパクトを与えているか」を示すものであり、測定するために多くの尺度が開発された。

    今回のポイント


    • 頻度:日本麻酔科学会へ報告された周術期アナフィラキシーは18,600例に1例
      (しかし体感的には2,000例程度と考えている人も)
    • 医原性のアナフィラキシーショックは、平均5分で心停止に至る(食物などでは30分)
    • まずは原因物質の除去、気道確保と100%酸素投与、急速輸液、アドレナリン、できるだけ採血
    • 周術期のアナフィラキシーに対してはアドレナリンの静脈注射が推奨されている
    • 治療により循環が安定した後も二相性反応に備えて6~24時間のモニタリング
    • 確定診断としての皮膚テストは発症から4~6週間後に行う

    今回のポイント


    • 緊急事態は突然やってくる!気道管理アルゴリズムを理解しよう!!
    • 気道確保の場面をグリーンゾーン・イエローゾーン・レッドゾーンに分けて考える
    • カプノグラムの波形をよく見よう!自分のマスク換気の質が分かります(V1-V3)[まずはグリーン]
    • マスク換気が困難な場合、まずは筋弛緩薬の投与が推奨される
      → 鎮静剤だけでマスク換気ができるか確認する事はあまり意味がない
    • 筋弛緩薬を投与しても改善しない場合、PEEPを付加しよう
      → 麻酔器の人工呼吸器を用いて両手マスク換気(PCVモード、PIP<15、PEEPは高めに)が推奨
    • 同一施行者による同じ方法の挿管tryは2回まで!駄目ならまずはLMA。[ここからイエロー]
    • 常に自発呼吸の再開を考慮→SGX16 mg/kg
    • LMAによる換気が困難な場合、外科的気道確保を考える[レッドゾーンへ]
    • ミニトラックは練習すればするだけ早くなる
    • 気道トラブルは秒単位で状況が変わる!必ず人を呼ぼう!

    今回のポイント


    • 硬膜外麻酔による麻酔分娩時に起こる合併症のなかで、それが直接の原因となって妊婦が死亡するのは、主に局所麻酔薬の異所誤注入である(以下の2つ)!
       ⇒ 基本的には蘇生治療がメインとなるので、発生した場合は麻酔科医が活躍できる可能性が高い
        ① 血管内誤注入 (⇒ 局所麻酔薬中毒)
        ② くも膜下誤注入 (⇒ 高位麻酔 ⇒ 全脊麻)
    • 治療の重要ポイントは以下の5つ
        ① 初期治療としてルート確保、酸素投与、適切な換気(アシドーシスを避ける)、痙攣の治療など
        ② 意識レベルが落ちて、呼吸が怪しければ迷わず挿管・人工呼吸!
        ③ 局麻中毒が疑われる場合、躊躇せずにイントラリポス®静注を!(ICUに常備してある)
        ④ 心臓が止まったら心マ、ボスミン!(ただし、少々注意が・・・後述)
        ⑤ 妊婦では常に子宮左方転位を忘れずに!最悪、死戦期帝王切開も考慮すべし

    今回のポイント


    • ロクロニウム(Rb)を直接包接することで筋弛緩を拮抗する薬剤(FDAは2015年にやっと承認)
    • 使い方は浅い筋弛緩(TOF>2)で2mg/kg、深い筋弛緩(PTC一桁)で4mg/kg、緊急拮抗で16mg/kg
    • 分子量は2178、ロクロニウムの分子量は610なので、計算上はSGX200mg=Rb56mg(約60mg)
      →抜管後の再挿管は、Rb1V分が無効になることを考慮してRbを投与して挿管
    • 体内では代謝されず、95%が腎排泄(Rb-SGX包接体も95%が腎排泄)
      →腎傷害患者、特に透析患者には注意が必要。可能な限り筋弛緩モニターを使用したほうが良い
    • アナフィラキシー(結構重症)の報告は2.8/10万人、発症例は5分以内が70%、10分以内が90%
      →必要以上の量を入れない、投与後は観察が必要
    • ネオスチグミン→SGXの順番で使うとAch受容体の脱感作が起こるのでやめたほうが良い

    今回のポイント


      《術前管理》
    • 投与中のオピオイド総量を把握する
    • 心電図・電解質をチェックする
    • 原則として、使用中のオピオイドを術前に中止しない
    • 必要に応じてオピオイドの投与経路変更を行う
    • 《術中管理》
    • 必要に応じてフルストマック対応とする(←事前に便通コントロール状況の確認を行う)
    • 術中オピオイド必要量を示す明確な指標はないが、オピオイドの必要量は増加することが多い
    • 《術後管理》
    • 術後のオピオイド投与量を増量するだけでなく、他の鎮痛法(硬膜外麻酔や末梢神経ブロック)を併用して、オピオイドの必要量を減量する

    今回のポイント


    • 手術によって侵襲が加わる部位、深さ、広さが異なり、損傷される組織はさまざまである。手術侵襲が加わった組織(①筋肉②腹膜(胸膜)③骨髄(骨膜))によって創部痛が影響を受けることが実験的に証明されている。
    • 手術による痛みを管理する際、侵襲の範囲だけではなく、深さや損傷される組織を考慮する必要がある。

    今回のポイント


    • 顕性の甲状腺機能亢進症及び低下症の妊婦合併頻度は, 各々0.1-0.4%及び0.3-0.5%とされる
    • 甲状腺機能異常はいずれも流産・妊娠高血圧症候群・胎児発育不全・死産など種々の周産期合併症 の原因となる
    • Basedow 病はhCG(妊娠7-11 週がピーク)の甲状腺刺激作用により妊娠初期に増悪する
    • 薬物の影響に関して妊娠4-15 週は形態的異常, 16 週以降は機能的異常が問題となる
    • 胎児心拍数モニタリングは麻酔の影響に対する胎児の自律神経反応を予測できる
    • 手術侵襲に対する交感神経系の過剰な反応を抑制できるよう十分に深い麻酔維持が重要

    今回のポイント


    • プレセデックス(一般名:デクスメデトミジン / DEX)は近年使用報告が増えてきている鎮静剤
    • 強力かつ選択性の高い中枢性α2 アドレナリン受容体作動薬であり、GABA を介さない鎮静作用を示し、さらに痛みや不安の抑制、ストレスによる交感神経系亢進を緩和する。
    • 適応は①集中人工呼吸中および離脱後の鎮静、②局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静(局麻の気切やSp・BB などの区域麻酔をしている時の鎮静、で使用可能)
    • 200 ㎍/ 2 ml 製剤で、生食48 ml と混合して使用、添付文書上の使用方法は6 ㎍/kg/hr で10 分間ローディング、その後は0.2-0.7 ㎍/kg/hr で調整
    • おすすめの使い方は(体重)ml/hr(=4 ㎍/kg/hr)で10-15 分ローディング、その後0.4 ㎍/kg/hr で開始
    • ローディング中は血行動態の変化に注意が必要(血圧変動・徐脈)

    今回のポイント


    • 2016年2月、米国集中治療医学会から新しい敗血症の定義が発表された(Sepsis-3)
      これによると敗血症は、
         ① 感染症に対する制御不能な宿主反応によって引き起こされた、 ② 生命を脅かす臓器障害で、
         ③ 臨床的にはSOFA score 2点以上で定義される
    • 実際に使用するための重要ポイントは以下の5つ
         ① ICU外で感染症を見たらqSOFA score (3変数:各1点)をカウントする
           ⇒ ② qSOFA 2点以上(Sepsis疑い)で、1点と比較して死亡率が3~14倍に !
         ③ ICU管理中の患者ではSOFA score (6変数:ちょっと複雑)をカウントする
           ⇒ ④ SOFAベースラインから2点以上の上昇(Sepsis確定)で死亡率10% 以上 !!
         ⑤ 敗血症性ショックと診断された場合、その死亡率は40% 以上 !!!

    今回のポイント


    • 輸血副反応は急性輸血副反応と遅発性輸血副反応に分けられる。
    • 急性:溶血性輸血副反応(HTR)、非溶血性発熱反応(FNH)、細菌感染症、アナフィラキシー、
      皮下の過敏性反応(蕁麻疹等)、循環負荷(TACO)、輸血関連急性肺障害(TRALI)
    • 遅発性:遅発性溶血反応(DHTR)、輸血後GVHD
    • 麻酔管理に影響を及ぼす非溶血性副作用は血小板製剤と血漿製剤で多い。
    • 急性溶血性輸血副反応(AHTR)は血液型不適合輸血によるものが最も多く、遅発性(DHTR)は不規則抗体によるものが多い。HTRを完全に予防することは不可能とされている。

    今回のポイント


    • 生体反応を予測する麻酔分野のTCI理論なんて、まだまだ発展途上である。
    • 単回投与(短時間の点滴)の薬物動態なら、1-コンパートメントモデルの理解で十分戦えます。
    • 濃度変化の傾向をイメージすることは重要である。Context-sensitive half timeの概念はその理解の一助となる。

    今回のポイント


    • L3/4(どっちか迷ったら下の方から)、正中アプローチ、tubing up (3.5-) 4cm!
    • S領域に効かせるのが大事!分娩2期に痛がる。
    • 最初の投与で範囲を広げるのが重要(硬膜外針から直接投与、座位をとるなど工夫)
    • S領域への効きが悪い場合、カテーテルを1cm引き抜くと改善することが多い
    • 初回投与 0.1-0.2%アナペイン 5ml + フェンタニル 0.5-1.0ml × 3-4 回(5分ごと)
    • 初回投与(急激な鎮痛)が効いてくる頃(20-30分後)に子宮の過収縮(陣痛の波が治まる前に次の波がかぶる)により胎児徐脈が発生することが結構ある
    • 持続 0.08%アナペイン + フェンタニル2μg/ml 8-10 ml/hr
    • 緊急C/Sで無痛分娩のカテーテルを使う場合
        2%xylocaine 3 ml×5回 or 5ml×3回 (適宜、メイロン1ml、フェンタニル1mlなどを混ぜる)

    今回のポイント


    • 電気的除細動に抵抗性のVT / VFの治療における第一選択はアミオダロン、ニフェカラント
    • アミオダロンはKチャネル遮断薬だが、Naチャネル・Caチャネル・β遮断の効果を合わせ持つ
    • 適応は
      ① 生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合(心室細動と血行動態が不安定の心室頻拍)
      ② 電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍
    • 術中に使う時はDCかけても戻らないor繰り返すVT / VFに対して→②のときが多いだろう
    • 初回投与は300mg(2A)を5%TZ 20mlに希釈して急速静注、持続する場合は150mg(1A)を追加投与
    • 再発予防の維持量は750mg(5A)を5%TZ 500mlに希釈し17ml/hで投与(約0.5mg/min)
    • ①で使う時は150mgを5%TZで希釈して10分間で投与、維持量は一緒
    • 海外では心房細動の治療にも使われる(洞調律維持+心拍数維持)→①と同じ使い方
    • 溶媒に生食を使うと沈殿するので注意、投与ルートは非吸着性ルートの使用が推奨される

    今回のポイント


    • オピオイドは細胞内シグナルを介して、Caチャネルの抑制およびKチャネルを開口することで痛覚伝導路の電気シグナル伝達を抑制する。脊髄-脳幹におけるシグナル伝達の阻害が主な鎮痛効果発現機序とされるが、シグナルの発生、認知、情動、行動、下行性抑制路にも関与している。
    • 弱オピオイドにはpartial agonistと、代謝によりfull agonistになる薬物(トラマドール, リン酸コデイン)がある。
    • ERASおよびopioid sparingにおいて経口トラマドール合剤の有効性を検討する動きがある。

    今回のポイント


    • 帝王切開に対する脊椎麻酔および硬膜外麻酔の注意点は、非妊婦に対するものと概ね同じである。
    • しかし当然ながら、妊婦に伴う生理的な変化および胎児に対する影響を常に考慮しなければならない。
    • 無痛分娩に対する硬膜外麻酔は、出産経過にも影響を与える可能性があり注意が必要である。

    今回のポイント


    • 妊産婦は脳卒中を起こしやすく、特に日本人は脳出血が多い(妊産婦死亡原因の第2位!を占める)
    • 日本産婦人科医会の報告では、脳出血による死亡の危険因子は 【収縮期血圧160 mmHg以上】
      ⇒ 帝王切開の麻酔中には、この点を十分意識して管理すべきである!
    • 脳血管異常合併妊娠やHELLP症例は言うに及ばず、Low riskな妊娠高血圧症候群症例でも注意を!
    • C/S(特に緊急)における、全身麻酔導入時に「血圧が上がるのは仕方ない」というのは、もう通用しない
      ⇒ フェンタニル or レミフェンタニルによる十分な鎮痛は、新生児APGAR score(5分値)に影響しない
      ⇒ 小児科医に「出生後数分間は、児の呼吸抑制が起こる可能性がある」ことは、事前に伝えるべきか
    • もちろん、覚醒・抜管時も血圧を上げないよう気を付けよう(最後まで気を抜かない、決して急がない)!
    • 脊椎麻酔でも、血圧が上がってくることがある ⇒ 主治医と相談の上、降圧を考慮(Ca拮抗薬など)
      ⇒ PIHに対するメチルエルゴメトリン静注は原則アウト、やるなら覚悟をもって、ゆっくりと投与!

    今回のポイント


    • 麻酔導入時、短時間で筋弛緩作用を得て早期に気管挿管を完了させることは、低酸素血症の危険性、誤嚥に遭遇する可能性を減少させるため、患者の安全に寄与する。
    • 導入時のロクロニウム投与法には「ボーラス」・「タイミング」・「プライミング」というキーワードがある。
    • プライミング・プリンシプルは作用発現の遅い高齢者では有用性がある。
    • プラミングは筋弛緩作用が出現しない量で行う(近年はロクロニウム0.03mg/㎏が推奨されている)。

    今回のポイント


    • 近年では区域麻酔による帝王切開において漫然と酸素投与を行うことは推奨されない。
    • 母体と胎児の状況によっては高濃度酸素(FIO2 0.8以上)を投与することを検討する。
    • 硬膜外麻酔併用脊髄くも膜麻酔時は、術後に硬膜外腔へ麻薬を投与してもよい(過量投与に注意)。
    • 全身麻酔による帝王切開では、挿管時からレミフェンタニルを投与してもよい。

    今回のポイント


    • プラザキサ(ダビガトラン)の中和剤
    • 薬価は199,924円 / V!!製品は1箱につき2Vが入っている。1Vは2.5g / 50ml の製剤
    • 適応:生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時,もしくは重大な出血が予想される緊急を 要する手術又は処置の施行時におけるダビガトランの抗凝固作用の中和
      ⇒ 麻酔科が使うときは緊急で来た患者がプラザキサを内服していた時
    • 使用方法:1回5g(2.5g / Vなので2V使用)を急速静注 or 5~10 min / Vで点滴静注
    • 使用する際は前後でルート内を生食でフラッシュが推奨
    • 禁忌:この製剤に過敏症のある人、慎重投与:遺伝性フルクトース不耐症の患者 ⇒ 要は<特になし>
    • プラザキサ以外の抗凝固剤(ヘパリン、ワーファリン、Xa阻害)は使用可能
      ⇒ 中和した後にヘパリン化して人工心肺という事は可能だが、使うタイミングは難しい(後述)

    今回のポイント


    • 術中の麻酔深度の評価は主に患者のバイタル変動を指標としている。しかし、麻酔科医の経験や主観などに左右される。
    • Bispectral Index (BIS)により、脳波を簡便に解析し、意識状態を0~100までの数値で表すことができる。術中の至適麻酔深度は40~60とされる。
    • BISの有用性と限界を知り、正しく使用するためには、BISの原理を知らなくてはならない。

    今回のポイント


    • 過去の多くの報告から、ASA-PSが手術後の予後予測因子として有用であることが既に知られている
    • しかし、同一患者に対する分類が判定者(施設)によって異なることにより、信頼性が低いことも事実…
    • ASAはこの問題を解消するため、2014年~ホームページ上で、より具体的な記載(解説)を掲載した
    • その中で、これらの項目はちょっと意外に感じるかもしれない(素直に従うべきか、否か…??)
      • PS 3 : 肥満(BMI>40!)、安定(定期的に)している透析
      • PS 4 : 重症弁疾患、敗血症、急性腎障害(未透析)、3ヶ月以内のPCIや脳血管障害(TIAも!)
      • PS 5 : 圧迫所見を伴う頭蓋内出血、胸/腹部大動脈瘤破裂、重度外傷、特殊(末期的)な腸管虚血
    • また、他にもいくつかの問題がある。たとえば…
      • 肥満: 日本においてはBMI>35で麻酔困難症例! ⇒ PS3と判定するのは妥当な範囲であろう
      • 年齢: ASAの分類では、実は年齢は明記されていない! ⇒ 高齢者&小児の扱いで差が生じる
      • その他、主観的な要因(休日・夜間、重篤さ・Frailty、合わせ技一本!など)でPSが容易に変化する
    • 以上を理解した上で、少なくとも同一施設内で最低限コンセンサスを形成しておくことは重要だと思う

    今回のポイント


    • 2013年の心房細動治療ガイドライン改定から、CHADS2スコア1点から抗凝固療法の適応となった
      (プラザキサかエリキュース:DOAC)
    • CHADS2スコア2点以上もまずはDOACが推奨される
    • DOACのなかで、プラザキサは腎排泄率80%のため、腎機能によって休薬期間が違うので注意が必要
    • 手術侵襲と患者の状態に応じて、抗凝固療法の継続or中止を判断する必要がある
    • 歯科・眼科・皮膚科といった体表手術において抗凝固療法は継続が推奨される(classⅡa)
    • 弁膜症性心房細動にはワルファリンのみが適応。血栓形成の高リスク群であり、その中止の際は必ず
      ヘパリン置換を行う必要がある(自験例)
    • ペインクリニック学会から新しく出た「抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン2016」では手技の出血リスクを高リスク・中リスク・低リスクの3つに分類して、そのリスクに応じて休薬期間を定めた
    • 不必要な抗凝固療法の中止にはNO!と言える麻酔科医になろう

    今回のポイント


    • 最近、整形外科手術において、術前・術中に 『トランサミン静注して下さい』 と依頼されることが増えた
      ⇒ 麻酔科医として、それらのエビデンス(含:安全性)に関しても最低限知っておくべきであろう
    • トラネキサム酸(TXA)の出血量を減少させる有用性は現時点で『明らか』であり、最近では次の興味として投与時期・量・経路・副作用発現の危険因子といったものを検討する方向にシフトしている
    • その他、フェイスシールドによる気道へのアプローチ困難、追加ルート確保困難、腕神経叢障害など。
    • 重篤な副作用のうち、血栓症や急性腎不全に関しては、今のところ増えたという報告は無いようだ
    • 痙攣は死亡率の増加とも相関する重要な副作用であるが、これは用量依存的に起こると言われている
    • TXA投与時は、急激な血中濃度の上昇を伴うような投与法(= bolus)は避ける!
    • 腎機能低下症例や高齢、るい痩患者では特に注意が必要!

    今回のポイント


    • 腹腔鏡+頭低位、両腕の体側面への固定、フェイスシールドの使用、術者とのコミュニケーション困難などが全身麻酔管理の上でのポイント。
    • 腹腔鏡+頭低位:気道内圧の上昇、無気肺の増加、頭低位と高炭酸ガス血症による頭蓋内圧の上昇、眼圧上昇による失明の危険、気道浮腫、高度な皮下気腫、下肢コンパートメント症候群などの可能性。
    • その他、フェイスシールドによる気道へのアプローチ困難、追加ルート確保困難、腕神経叢障害など。
    • 麻酔導入前後からINVOSを頭部と下肢に装着して局所混合血酸素飽和度(rSO2)を測定し、脳血流・下肢血流の低下がないかモニタリングする。
    • ロボット操作時間(コンソール時間)や、出血量、rSO2値の低下がどの程度になった場合に、中断(ロールアウト)して開腹手術に移行することを提案するか検討が必要。

    今回のポイント


    • 現在の周術期における多くの治療介入(DOAもしくは類似薬、CCB、ACE阻害剤、N-アセチルシステイン(NAC)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、重炭酸ナトリウム、抗酸化剤およびエリスロポエチン(EPO)等)は腎保護に有用、もしくは腎障害を増大させるものでもない。
    • 術中の尿量から術後腎機能増悪は予想しえない。
    • hANPの使用はその中でも術後腎保護に影響を与える可能性はある。

    今回のポイント


    • PONVの明確な定義は存在しないが、概ね術後24時間以内のnausea and/or vomitingを指す。
    • PONVの発症率は検査前確率10%として、リスク1つにつきオッズ比2.0増えると考える。
    • 予防薬の効果は、オンダンセトロン、デキサメタゾン、ドロペリドール、経皮スコポラミン、ジフェンヒドラミンはいずれも相対リスクは 0.75くらいである。しかし本邦では、オンダンセトロン、パロノセトロンおよびアプレピタントは抗癌剤の悪心・嘔吐にのみに承認されており、周術期の適応はない。スコポラミンのパッチ製剤はない。
    • 突然死を誘発する可能性があることから、ドロペリドールは2001年にFDAから除外されている。
    • メトクロプラミドは他の制吐剤と比べて効果が弱く、推奨度は低い。
    • 当院での最善の予防策は、TIVA、術中は膠質液を使って輸液多め(目標15-30 ml/kg)、NSAIDsやアセトアミノフェンでオピオイド減量を目指して、ドロペリドール1.25mg静注、デキサメタゾン3.3mg静注、ジフェンヒドラミンとプロクロルペラジン内服指示(または胃管投与)、そしてとどめはミダゾラムで鎮静することである。

    今回のポイント


    • 乳児では原則無鎮静 or フェンタニル少量がよさそう (アトロピン併用すると better ! )
    • 当施設のファイバーでは、PentaxのFI-9RBS(OD: 3.1mm)が最も適する (⇒ ID: 3.5mm以上)
    • より細いファイバーもあるが(OD: 2.5mm…??)、画質・ピント的に意識下挿管に耐えるとは思えない
      ⇒ ID 3.0mm以下が必要なケースがあれば、耳鼻科やNICUに問い合わせが必要であろう
    • いずれにしても、うちでは経験がほぼ無いため、他科の協力は必須か。
      軽症例での練習も検討…??










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