富山大学大学院医学薬学研究部麻酔科学講座
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麻酔科勉強会


   日時:毎週木曜日 朝7時15分~
   場所:手術部ラウンジ


    ※ テンプレート1 症例報告
    ※ テンプレート2 ガイドライン等

    今回のポイント


    • 既往歴の聴取が何より重要です。
    • 高齢者の検査結果の解釈は難しい。不用意な解釈は訴訟のリスクであることを認識せよ。
    • 麻酔科医は外科医ではない。異常所見をきちんと見極めて、適切な専門医に紹介するための内科力が必要と考える。

    今回のポイント


    • 局所麻酔薬の機能を装飾・強化する目的に添加剤(Adjuvant)を用いる
    • 作用発現時間の短縮や作用時間の延長、毒性の軽減が期待できる
    • 抗血栓療法を受けている患者の増加により、神経ブロックはより大きな役割をもつ
    • 症例に応じて、モルヒネや低分子デキストランの添加を行えたらよいのではと思う(個人的に)
    • off-Label 使用になることがほとんどなので注意が必要

    今回のポイント


    • 日常的に使用している医用コンセントと非常電源について理解する。
    • マクロショックとミクロショック、感知閾値やVF 誘発閾値について知る。
    • 感電事故を防止するために、機器からの漏電を防止する、漏電が起こった場合に漏れ電流を安全な方法で流す、身体に漏れ電流が侵入してもその先に流れないようにする、等の対策が求められる。
        ⇒漏電防止のための医療機器の安全基準 ①型別分類 ②接地システム ③非接地配線方式

    今回のポイント


    • ASA-PS 分類は周術期のリスク予測因子として60 年以上使用されている。
    • 2014 年からASA のホームページ上でPS の定義と具体例が掲載されており、2020 年12 月更新の最新版では、成人、小児、妊婦で表が分けられている。
    • これまでは年齢での分類がなかったが、小児での具体例が明記された。
    • ASA-PS 分類は臨床医のためのガイドラインであり、麻酔科医がASA-PS 分類の補足のために施設に応じて独自の例を開発することも許容されている。
    • これらの定義をそのまま適用するか、変更を加えるなどして、施設ごとに統一した基準を作成することが重要であり、そのために上手くASA-PS 分類を活用していきたい。

    今回のポイント


    • 放射線防護のため,患者や透視台などから散乱する放射線を二次放射線を意識する.
    • CT 撮影時には C アーム本体やベッドの後方で 1 μ Gy 以下の散乱線量域となるため,C アーム本 体やベッド後方へ退避する
    • 放射線防護具は適切に使用しなければ,期待される防護効果が得られない

    今回のポイント


    • サージカルスモークとは、 エネルギーデバイスを使用した際に立ちのぼる煙のことを指す。
    • 手術室スタッフ(外科医、看護師、麻酔科医、 臨床工学技士 等 や 患者に影響を及ぼす可能性がある。
    • 含まれる粒子 には 化学物質の他、生存する 細菌や ウイルスも含まれる可能性がある。
    • 身体への影響として、気道炎症、発癌性、感染リスクが挙げられる。
    • サージカルスモークを介した新型コロナウイルス感染のリスクは否定できない。
    • 現時点で可能な対策は、適切なマスクの着用と、排煙装置の使用である。

    今回のポイント


    • point-of-care ultrasound(POCUS)は急変時の短時間でのdecision making を可能にしうる
    • BLUE プロトコルは急性呼吸不全の患者に対する病態の鑑別に有用である

    今回のポイント


    • 海外では、HPV ワクチンは2006 年4 価(ガーダシル®)、2007 年2 価(サーバリックス®)、2014 年9 価(ガーダシル9®/日本の 名称はシルガード9®)が承認され、近年、次々と海外のメジャー誌にワクチンの有効性を示す報告が出てきた。

    今回のポイント


    • 経皮ペーシングを使用する(作動させる)時は徐脈に対する緊急治療が必要な時である。
    • 手術室内・麻酔中の経皮ペーシングの適応は高度徐脈による心電図変化・低血圧、補充収縮の出現、P波の消失などである。
    • 手術前にペーシング閾値のチェックができるときはしておく。ペーシングしたいときは閾値+2mA の出力で開始する。事前にチェックできなかったときは10mA から開始し漸増する。心静止時は最大出力から始めて漸減する(通常50~100mA でペーシングすることが多い)。

    今回のポイント


    • 亜酸化窒素の特徴や注意点を理解しよう
    • 配管がない病院も増えましたが、使いようによっては役に立つこともあります

    今回のポイント


    • 大腿神経ブロックにより大腿四頭筋運動枝が遮断され、転倒リスクが増大する。
    • 内転筋管ブロックにより筋力低下は軽減し、患者さんのADL 低下を防ぐことができる。
    • 内転筋管ブロックを成功させるためには、大腿動脈と伏在神経との位置関係を理解すべし。

    今回のポイント


    • 59 回麻酔科専門医試験口答試験の振り返る
    • 内容については少し異なる可能性があります
    • 回答についてはその場のもので正しくない可能性があります

    今回のポイント


    • 大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用ガイドラインを把握しましょう
    • TEGを参考に何を投与するか?
    • 止血製剤、抗線溶系療法について

    今回のポイント


    • 手術症例のSARS-CoV-2 PCRスクリーニング検査(and/or 胸部CT)は、誰のためにやっているのか
    • 院内感染対策・・・? 麻酔医/コメディカルの安全・・・? 病院経営・・・? 社会的要求・・・?
      → もちろん最大の理由は【患者さんの安全のため】であり、そこをはき違えてはいけないと思う
    • 我々は主治医に検査を依頼する立場なので、手術症例における最小限のエビデンスは心得ておこう

    今回のポイント


    • 日本版敗血症診療ガイドライン2020が公開された
    • 敗血症の定義・診断に関しては2016年版と変わらずSepsis-3に準じた
    • 2016年版と比較して、4領域が追加された(神経集中治療、ストレス潰瘍など)
    • CQの読み方に注意
      (1)弱い推奨と弱い非推奨に大きな差はなく、連続的なイメージを持つ
      (2)価値観・コスト・実行可能かも含めた判断であり、結論だけを見ない
    • 麻酔科医としてCQ6(初期蘇生・循環作動薬)、CQ7(ステロイド)、CQ8(輸血)は必読
       ・初期輸液と同時or早期の血管収縮薬の使用、乳酸値の解釈
       ・過剰輸液を避ける、輸液反応性の評価(SVV、IVC、PLR、EEOなど)
       ・心機能評価、SIMD、血管収縮薬と強心薬の選択、ベータ遮断薬
       ・輸液製剤の選択、ステロイドの使用、輸血のタイミング

    今回のポイント


    • 目標部位以外の重要構造(血管や神経)を理解して穿刺しよう
    • プレスキャンや穿刺中にカラードップラーを併用しよう
    • プローベを頭尾側にスライド操作し(alignment),穿刺に最適な断面を見つけよう

    今回のポイント


    • Enhanced Recovery After Surgery (以下ERAS) Society より、複数の手術領域における周術期禁煙に関する記載を含んだガイドラインが報告された。
    • 各領域での推奨禁煙期間、それらのエビデンスレベルや推奨度についてまとめられている。
    • 術前喫煙や禁煙期間が周術期に及ぼす影響を理解し、禁煙への働きかけを行う必要がある。
    • 電子タバコは禁煙補助に有用かもしれないとの報告はあるが、一方で電子タバコに関連すると考えられる急性肺障害の報告があり販売規制が進んだ。
    • 非燃焼加熱式タバコについては周術期使用に関する報告はほとんどなく、健康被害を起こさないという確証はないため、紙巻タバコと同等の規制をすべきとの意見が多いようである。

    今回のポイント


    • 電気痙攣療法(ECT)は、うつ病、双極性障害、統合失調症などの患者で、薬物治療に抵抗性の場合や、自殺のリスクがある場合などに選択される治療法である。
    • 2018年より麻酔科標榜医がECT麻酔を担当する場合は、麻酔管理料が算定可能となっている。
    • ECTの麻酔管理は短時間で終了するが、ECT前後で循環・呼吸状態は大きく変化し、様々な合併症を生じる可能性がある。
    • ECTにおいて起こりうる合併症やその対応を理解して麻酔管理を行うことが重要である。

    今回のポイント


    • 術前にフレイルを評価することで、合併症罹患、死亡、入院期間の延長、再入院や施設退院などリスクがある患者を抽出することができる
    • フレイル評価は、患者やその家族と、周術期に関わる医療者との話し合いの指針となり、患者の手術計画や退院計画を調整し、そのリスクを軽減する
    • CFS(Clinical Frailty Scale)は術後有害事象の予測精度が高く、簡便で評価時間が少ないため、術前のフレイル評価に有用である

    今回のポイント


    • TOF ウォッチは主に母指内転加速度を利用して筋弛緩をモニタリングしている。
    • 主観的モニタリングでは残存筋弛緩を除外することはできない。
    • 客観的モニタリングとして残存筋弛緩を回避するにはTOF 比1.0 が必要である。
    • 筋弛緩薬の作用のしかただけでなく、筋弛緩モニタの出かたが人によって異なる。
      症例によってはキャリブレーションを省略しない方がいい。
    • TOF カフは筋収縮によるカフ内圧の変化を利用し、TOF ウォッチと同様に筋弛緩の評価ができる。

    今回のポイント


    • 糖尿病周術期の高血糖治療は血糖値140~180 mg/dl を目標にする。110 mg/dl 以下にしない。
    • 糖尿病患者に発症する急性の高血糖を伴う重症の合併症としては,「糖尿病ケトアシドーシス(DKA)」と 「高血糖高浸透圧症候群(HHS)(以前は非ケトン性高浸透圧昏睡と呼ばれていた)」が挙げられる。
    • DKA とHHS の治療は生理食塩水を中心とした輸液と電解質の補充、少量のインスリン持続投与である。

    今回のポイント


    • 人工呼吸を行うことによる肺以外の臓器への影響を理解しよう
    • PaO2、PaCO2の変化と臓器への影響を理解しよう
    • 術中の人工呼吸器設定は常に一定で良いと思ってはいけない
    • 一回換気量、呼吸回数、PEEPの設定を変えることでこの影響をコントロールしよう

    今回のポイント


    • オピオイド依存を疑った時、依存(精神依存)・偽依存・ケミカルコーピングを鑑別すべし。
    • 薬物の血中濃度変化が急峻であればあるほど、依存を形成しやすい。
    • レスキュー薬使用回数の増加は偽依存とケミカルコーピングの共通点であり、まず偽依存を疑うべし。

    今回のポイント


    • 手術中は患者が無意識のことが多く、強固な体位固定が要求され体位変換が行えない等の理由で病棟とは異なる褥瘡対策が必要であり、麻酔科が関与できる要素としては発汗・体温、体圧がある
    • 従来の自重関連褥瘡に加え、医療機器によって発生する創傷も褥瘡の一部(医療関連機器圧迫創傷 Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)と考えられ、導入時の固定をはじめ、体位や術者のポジショニング変更等には気道トラブルと併せて適宜確認する必要がある

    今回のポイント


    • 僧帽弁の解剖とMR の分類
    • 麻酔前評価と治療適応
    • 麻酔管理と術中TEE

    今回のポイント


    • 帝王切開時の高比重ブピバカイン投与量について、分権的根拠に基づき一つの提案をしたいと思う
    • 脊髄くも膜下麻酔単独(フェンタニル混注):ブピバカイン10-12mg(2.0-2.4mL)
      硬膜外麻酔併用(CSEA):Epiで補足することが前提なら、より少量(8mg; 1.6mL以上)でも可能
    • いずれにせよ、その投与量を選択した結果として高率に起こりうることを予測し、対応することが肝心!
      過小投与 → 麻酔不足(疼痛・不快感・筋緊張 → 嘔気・嘔吐、血圧上昇、不穏、手術継続困難など)
      過量投与 → 血圧低下(→ 嘔気・嘔吐)、呼吸困難(感)、意識障害など

    今回のポイント


    • D-dimer cut off 値は1.0 μg/ml .
    • D-dimer の特性を理解し, 身体診察を含むwells スコアと組み合わせて除外診断を行う.
    • Wells スコア低確率・中確率 + D-dimer 高値 or wells スコア高確率 → 画像診断.

    今回のポイント


    • 産後出血(postpartum hemorrhage: PPH)を減らすためには十分な子宮収縮を得る必要があるが、子 宮収縮薬には全身性の副作用があり、そのことを認識して適切な量を使用することが求められる。
    • 帝王切開での子宮収縮薬の投与法に関するガイドライン
      ・少量のオキシトシン投与で十分な子宮収縮が得られるという報告をもとに作られている。
      ・予定帝王切開と、陣発後の帝王切開で子宮収縮薬の投与法を分けて提示している。

    今回のポイント


    今回のポイント


    • 大量出血では非常に早い段階から希釈性凝固障害だけではない凝固止血障害を伴う
    • 特にフィブリノゲンが最初にcritical level まで減少する可能性が高く,早期からの十分な補充が重要
    • トラネキサム酸,フィブリノゲン製剤を上手く使用し,輸血投与比を意識した血液製剤投与を心がける
    • プロトロンビン複合体製剤(PCC)はワーファリン服用患者など限定的な症例で投与推奨あり
    • フィブリノゲン製剤やPCC などは薬事承認が得られていないため,off-label 使用となる

    今回のポイント


    • 周術期死亡率は1980 年代には40%前後であったが、2000 年台には0~3%にまで低下している。
    • 診断においては発作性の頭痛や発汗、および高血圧の併発が(ホルモン検査より)鋭敏な指標となる。
    • 術中、高血圧に対してフェントラミン(レギチーン®)を使用する際は、作用開始までの時間(1~2 分)と作用持続時間(3~10 分)が長いことに注意する。(ニトロプルシドはそれぞれ瞬時/1~2 分)
    • 副腎静脈遮断後、腫瘍摘出後は低血圧とともに低血糖にも留意する。

    今回のポイント


    • 硬膜外カテーテル先端の位置を常に疑ってかかるべし。
    • 硬膜外麻酔分娩を安全に行う最大のポイントは、少量分割投与と開始後30 分間の観察である。
    • 麻酔開始以降1-1.5 時間ごとに「分娩進行、鎮痛効果、血圧、下肢運動、放散痛」について確認する。
    • [最近の話題] The Dural Puncture Epidural Technique:CSEA をmodified した方法で、硬膜穿刺は行うが、くも膜下に 薬液を注入しない手技のことである。除痛効果は、CSEA より遅いが硬麻単独より速く、片効きの割合は硬麻単独より低い。 CSEA より低血圧にならず、掻痒感が少ない。

    今回のポイント


    • 気道刺激症状や、高濃度投与による交感神経刺激作用に注意する
    • 麻薬や筋弛緩薬など適切に併用することでデスフルランの特性を生かす
    • PONVリスク患者には積極的にTIVAの選択肢も

    今回のポイント


    • 緊急手術症例や妊婦、その他胃排泄能が低下している症例では、事前に胃内含有量を確認することで より安全な気道確保法を選択できる。
    • 胃管が適切に挿管され胃内容物のドレナージが出来ているか判断できる。
    • 体表から胃までの深度が浅いケース、新生児や幼児症例では特に有用。

    今回のポイント


    • 小児気管チューブの深さを決定する方法は確立されていない
    • 適切な深さとして受け入れられている定義
       胸部レントゲン写真による気管チューブの先端が気管分岐部より0.5cm頭側と両側鎖骨中線の間
    • 片肺引き抜き法:片肺になるまで挿管した後に2cm引き抜く
    • 気管チューブサイズ x 3 (cm):①実際に使用された気管チューブサイズを用いる方法②PALSガイドライン③Broselow-Typeに基づく方法
    • マーキング法:気管チューブの深さマークに基づいて深さを決定する方法
    • 年齢:12 (or 13)+年齢(歳)/2、身長:5+身長(cm)/10、体重:8+体重(kg)/2
    • Kinoshitaの式(カフ付きチューブ)
        ①5.5+身長(cm)/11、体重:9.5+体重(kg)/3、11+年齢(歳)x3/4

    今回のポイント


    • プローブ:TCD 専用でなく経胸壁心エコーで用いるセクター型で可能
    • 欠点:描出困難(アジア系高齢女性で50%)
    • 描出window:側頭骨、後頭、頸部、眼球の4 か所
    • 描出できれば:脳血流、正中偏位、頭蓋内圧も

    今回のポイント


    • 当院手術室での(手作り)吸入回路組み込み方法について改めて説明する
    • 組み込み自体は写真の通りにやってもらえば簡単にできるので、ぜひ積極的に使用されし
    • 使用に際しては注意点がいくつかあるので以下に詳細を記す(パーツを絶対に捨てないこと!)

    今回のポイント


    • 血液弾性検査は比較的速やかに凝固因子の欠乏、血小板の低下、線溶反応の亢進などを手術室、ICUなどで調べることができる検査である。
    • TEG6s(R)が保険償還されることに伴い、当院でも多分採用されます。
    • 移植、心臓手術、外傷など大量出血を伴うことの多い場面において、血液弾性検査を行うことで輸血製剤の使用量の減少や、術後出血の減少、腎機能障害の減少など有用な報告が数多くされており、今後は当然行うべき検査として取り扱われることが予想される。

    今回のポイント


    • 現在普及している挿管困難用のブレードについてそれぞれの特徴を知る。
    • 通常の喉頭鏡とは異なるブレードの挿入方法に慣れておく。

    今回のポイント


    • 気管分岐部を正確に同定できる.
    • 病変のある区域気管支に気管支を誘導できる.

    今回のポイント


    • 抜管は麻酔管理において導入時の気道確保とならび重要な場面である。
    • 確立されたエビデンスは多くなく、現時点でガイドラインとしてはDifficult Airway Society のものだけである。
    • 個々の状況により最善策は変わりうるが、基本は抑えておこう。

    今回のポイント


    • 縦隔鏡視下食道切除術のメリットは非開胸
    • 心臓圧排に伴う循環不全・不整脈
    • 気縦隔+気腹 → 気胸・.皮下気腫に伴う高二酸化炭素血症および緊張性気胸

    今回のポイント


    • 周術期の末梢神経障害の3 大原因は手術体位、区域麻酔、手術操作である。
    • 周術期の末梢神経障害の発症頻度は0.04-0.14%程度であり、米国の麻酔関連の訴訟のうちの15~16%を占めている。
    • 主要なものとして、尺骨神経麻痺、腕神経叢麻痺、橈骨神経麻痺、腓骨神経麻痺、坐骨神経麻痺、外側大腿皮神経麻痺などがある。
    • 上肢の障害は全体の約6 割で、下肢に比べ発生率が高い。
    • 手術体位について正しい知識と適切な合併症予防対策を理解し、患者の安全を守る必要がある。

    今回のポイント


    • HPV は肺手術における分離肺換気時の酸素化を考える上で重要である。
    • 静脈麻酔薬はHPV を抑制しないが、吸入麻酔薬は濃度依存性にHPV を抑制する。
    • 低濃度であれば吸入麻酔薬でもHPV を抑制することなく使用できる。
    • 抗炎症作用の側面では、吸入麻酔薬で長期的な患者予後に有利な点も期待できる。

    今回のポイント


    • 抗血小板薬や抗凝固薬、鎮痛方法、手術様式の変遷に伴い、硬膜外ブロックを施行する機会は減っている。
    • 麻酔科医である以上、硬膜外ブロックの技術を衰えさせてはならない。
    • 解剖学的な事項や手技的な事項について、ここでは再確認する。

    今回のポイント


    • 心不全症状がある妊婦、前回妊娠時に診断を受けている場合は要注意
    • 帝王切開を全身麻酔で管理する際は導入時、術中に十分な鎮痛を行う
    • 帝王切開をCSEA で管理する際は、脊髄くも膜下腔に投与する局所麻酔薬を可能な限り少なくすることが望ましい

    今回のポイント


    • 腹腔神経叢や内臓神経に薬液を注入することで内臓感覚を支配する神経を遮断し、上腹部の内臓に 由来する疼痛を緩和させるブロックである。
    • 適応:悪性腫瘍による上腹部痛・背部痛、慢性膵炎など
    • 利点:交感神経を遮断するので、感覚・運動神経障害を生じない。欠点:体表の痛みには効果がない。 低血圧をきたすので、全身状態が不良の症例には施行困難。

    今回のポイント


    • ベンゾジアゼピン系鎮静薬はオピオイドとの併用で鎮静度が深くなる。
    • フルマゼニルでベンゾジアゼピン系薬剤の拮抗を行うと再度鎮静される可能性がある。
    • プロポフォールによる病棟鎮静は、手術麻酔に用いるよりも低用量で可能となる。
    • チオペンタール(ラボナール)は長時間の持続投与を行うと覚醒までに要する時間が急速に延長する。

    今回のポイント


    • 術前評価:肥満は高リスク。
    • 呼ばれる理由:挿管失敗、酸素化換気困難(救急、ICU)、気管切開関連トラブル(ICU)
    • 確認:チェックリスト(案)を活用し、いつもの手術室内に近い環境を作る。
    • ETCO2 波形:挿管から抜管まで推奨。蘇生中のETCO2 フラットは食道挿管。
    • 計画:自分での対応範囲と応援を呼ぶタイミングをとりつく前に決定しておく。

    今回のポイント


    • 第3 世代HES 130/0.4/9 ボルベン® の、周術期使用の是非に関する議論はまだ混沌としている
    • 現時点でのエビデンスを(あくまで個人的にざっくり)整理すると、
      • 周術期に、低リスク患者に対して使用する分には、明らかな合併症は増やさない可能性が高い
      • とはいえ、大量に使うとやはり危険(腎障害、長期死亡リスク↑)なので20 ml/kg までが無難か
      • 使用することによる明らかな利点が見えてこない…“5%アルブミンの代わりにする”のが現実的?
    • 【結論】 急な出血やHAT 脱血時など使用場面を限定し、常に『有効性を意識して』使うべきと考える

    今回のポイント


    • 本邦における補助人工心臓の種類、適応について大まかに把握する。
    • 患者の状態によっては緊急手術で装着しなければならないこともある。
    • 基本的には移植への待機的手段であるが、今後は在宅治療としての適応が拡大する可能性がある。

    今回のポイント


    • 肥満妊婦の定義は妊娠前BMI 25 以上
    • 妊娠関連合併症、胎児合併症、手術時間、弛緩出血リスク等々
    • 予定帝王切開術であればベストはCSEA。DAM カートはスタンバイ。
    • Ramp 体位は有用。
    • CSEA 施行時の超音波の活用。

    今回のポイント


    • アルコールによるアレルギー反応はまれではあるが、即時型・遅延型接触性皮膚炎を来す。
    • アルコール過敏があるときには、すべての医療行為時にはアルコール製剤を排除する。
    • 「アルコール消毒で皮膚が赤くなる」=「アルコール過敏」ではない。
    • 「アルコール過敏」の際にはアルコール飲料を飲んだときの症状の発現や、アルコール綿で皮膚消毒し たときの発赤以外の症状の有無を確認する。
    • アルコールアレルギーの際にはグルコン酸クロルヘキシジン水などを使用した皮膚消毒を行う。

    今回のポイント


    • 周術期の失明(perioperative visual loss:POVL)は極めてまれだが重大な合併症である
    • 腹臥位脊椎手術や心臓血管手術で比較的多く発症する
    • 腹臥位、頭低位、ジャックナイフ位はIOP 上昇の高リスク
    • POVL 発症予防に努め、発生したら眼科医にコンサルト

    今回のポイント


    • 挿抜管時, 小児麻酔は要注意
    • LMA を使用している時こそ浅麻酔を避ける
    • 喉頭痙攣で死に至る事は無い(?)が合併症予防のためにも早期の解除を

    今回のポイント


    • 転換性障害(Conversion Disorder)は、様々な欲求や心理的葛藤が抑圧されて、精神症状として意識されることなく、身体症状として表現されるものをいう。随意運動機能や感覚機能の障害が認められるが、それに見合った神経学的・医学的所見がない。
    • てんかん(癲癇)とは、異なる疾患である。

    今回のポイント


    • 換気可能なCormack IIb-IIIa に有用
    • Cormack IIIb-IV には有効性低下
    • 声門上器具、ビデオ喉頭鏡、一部ファイバーと組み合わせて
    • 酸素投与忘れずに
    • 26cm 以上入れてはならぬ

    今回のポイント


    • 補助循環装置毎の特徴を理解しよう
    • 注意すべき共通の合併症は四肢虚血、塞栓症、感染、溶血
    • IABP はタイミングが命!

    今回のポイント


    • 針を刺入するからには、針による末梢神経障害を把握しておくべし。
    • 超音波ガイド下で神経ブロックを行うからには、画面上にブロック針をしっかり描出しながら進めるべし。
    • 神経刺激装置で神経ブロックを行うからには、適切な条件下で行うべし。それと同時に、限界も知っておくべし。

    今回のポイント


    • 原因は肝炎、アルコール性肝疾患、胆道閉塞、薬剤性など。肝機能障害がある場合とない場合がある。
    • 肝機能障害がある場合は凝固障害、脳症、門脈圧亢進症→消化管出血の可能性を念頭に入れる。
    • 閉塞性黄疸の場合はビリルビン値が5mg/dL 以下となるまで減黄を行ってから手術を行う。
    • 急性肝炎合併患者の手術は延期する(開腹手術の死亡率10%)
    • 肝硬変患者の周術期死亡率はChild A で10%、B で30%、C で80%(非手術時でそれぞれ 4、14、50%)

    今回のポイント


    • シバリングが生じると酸素消費量は500%増加する。
    • シバリング発生により低酸素血症、頭蓋内圧亢進、眼圧亢進、創部痛の増悪などが生じる。
    • シバリングは体温調節性、非体温調節性およびこれらが混在したものに分類できる。
    • 体温調節性シバリングは覚醒時の低体温や体温調節中枢の閾値間域(セットポイント)が高温領域に移 動している場合に生じる。予防法は積極的加温、NSAIDs の投与。
    • 非体温調節性シバリングはμ受容体刺激の急激な消失、疼痛などのストレス刺激によるシバリング閾値 の上昇により生じる。予防法はマグネシウム、ケタミン、クロニジン、ドキサプラム、ペチジンの投与や opioid transition。

    今回のポイント


    • 肥満患者の生理学的特徴(呼吸生理)を理解しよう。
    • Difficult airway の予測と麻酔導入。
    • 術中呼吸管理はPEEP 10 cmH2O, Tv 6-10 mL/kg, FiO2 0.4-0.8,
      リクルートマニューバーは40-50 cmH2O 7-8 sec。
    • 肥満手術と主な合併症およびそれを示唆する所見

    今回のポイント


    • 急性・慢性心不全診療ガイドラインが改訂された。
    • 今回の改訂で心不全は4 つに分類された(HFpEF, HFmrEF, HFrEF, HFpEF improved)。
    • 心機能は収縮能と拡張能で評価される、収縮能だけでなく拡張能も見よう!
    • 左房の拡大は何らかの障害がある可能性が高い。
    • 右心機能は心不全患者の予後を決める重要な因子
    • 心エコー結果でEF の値だけみて「EF が保たれているから大丈夫」とは言わないようにしよう。

    今回のポイント


    • 手術や麻酔は特に高齢者や発達期の脳においては何らかの障害を残すことが示唆されている。
    • 術後認知機能障害(POCD)は手術後新たに生じた認知機能の障害で通常可逆的である。
    • 術後予後不良因子であり社会復帰率や死亡率にも関与する。
    • 高齢者、術前からの認知機能障害、うつ病、低教育レベル、大手術、長時間手術、術後痛、感染、呼吸器合併症、アルコール摂取、脳血管疾患の既往などでリスクが高い。
    • 術後の予後に影響することは明らかになってきたが、現時点でPOCD の明確な機序は明らかになっていない。予防・治療法が確立されていないことが大きな問題となっている。
    • POCD の発症に「脳内炎症」が関与している可能性が報告されている。
    • INVOS やNIRO、BIS モニターを使用しPOCD 発生が軽減できる可能性を示した報告がある。

    今回のポイント


    • 麻酔中の体温管理は、周術期の全身管理として非常に重要である。
    • 深部温プローブセンサーで測定される核心温(深部温)の測定原理は熱流補償式体温測定である。
    • 人工心肺使用心臓手術の人工心肺前後における使用では、肺動脈温との差は平均-0.23℃と大きくなかった。

    今回のポイント


    • 術後視力障害(postoperative visual loss:POVL)の頻度は約6 万分の1 と極めて稀である。
    • 原因として多いのは虚血性視神経症(ischemic optic neuropathy:ION)。
    • 腹臥位による脊椎手術におけるION の頻度は他の手術に比べ目立って高い。
    • 腹臥位手術の危険因子:
       →長時間手術、Wilson 型フレームの使用、大量出血、肥満、膠質液輸液の割合が低い、男性。
    • 他、網膜脈中心動脈閉塞症(Af 患者)、皮質盲など。
    • POVL は複合的な要因で起こると考えられるため、慢心せず麻酔に臨もう。

    今回のポイント


    • ナルデメジン(スインプロイク(R))は、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(peripherally-acting mu-opioid receptor antagonist:PAMORA)である。
    • ナルデメジンは、消化管のμオピオイド受容体に結合し、オピオイド鎮痛薬に拮抗することによりオピオイド誘発性便秘症(opioid-induced constipation:OIC)を改善する。
    • ナルデメジンは1 日1 回朝食後に内服されることが多く、麻酔科医は術前指示を出す責任者の一人として知っておくべき下剤である。
    • オピオイド鎮痛薬の鎮痛作用に影響する可能性は低い。

    今回のポイント


    • 高齢者のみではなく小児でも起こり得る
    • 入院期間を延長させ、QOL を下げ、長期間の認知機能低下に影響し、死亡率にも影響する
    • 予防にα2 アゴニスト(dexmedetomidine)が有効かもしれない
    • 防ぐには適切な麻酔(深すぎない)、十分な鎮痛が重要である

    今回のポイント


    • 大血管の手術では、脊髄の虚血による(主に)下半身の麻痺が重篤な合併症のひとつとして挙げられる
    • 大動脈遮断・低潅流によるAdamkiewicz 動脈の血流の途絶が最も大きな原因とされる
    • ただし、前脊髄動脈はAdamkiewicz 動脈だけでなく複数の側副血行路からの血流も受けていると考えられている(Collateral Network Concept:CNC)
    • 予防・治療は肋間動脈・腰動脈の再建、潅流圧の維持、脳脊髄液ドレナージ、ナロキソン・ステロイド・マンニトール投与、貧血・低酸素予防、血糖管理など
    • 遅発性に生じることもあるが、遅発性の方が予後・治療反応性がよいとされる

    今回のポイント


    • 羊水塞栓症(amniotic fluid embolism : AFE)は、発症頻度が10 万分娩に6 例とまれではあるが、日本の妊産婦死亡の主要な原因である。最近ではニアミス症例やDIC・難治性弛緩出血の中にAFE が含まれる症例があると考えられており、実際の頻度はもっと高いと指摘されている。
    • AFE は予知が困難で、突然の発症から急激に病態が悪化するため、救命が困難になる可能性が高い。呼吸・循環動態を可能な限り維持できるよう管理し、速やかにDIC 治療を開始する。疑った時点でマンパワーを確保する。

    今回のポイント


    • ペインクリニック外来ではもちろんのこと、周術期に遭遇する可能性が高いものについて復習しておこう
    • 以下の4つについて、現時点でのエビデンス(のごく一部)を紹介する
        ① 気管支喘息 ② アナフィラキシーショック ③ 急性肝不全 ④ ワルファリンの作用増強
    • いずれも結論を出すにはまだ早いが、麻酔科医として用心するに越したことはなく、漫然と投与しない!

    今回のポイント


    • 三環系・四環系抗うつ薬は、術後せん妄を減少させるメリットがある。
    • SSRI・SNRI は出血が増える場合があるため注意する。術後痛緩和に対する効果が注目されている。
    • 抗Parkinson 病薬は継続する。ただし、MAO-B 阻害薬は2週間以上休薬する。
    • 認知症関連薬は、現時点では継続するメリットがない。
    • ベンゾジアゼピン系は、せん妄のリスク因子となるが、急激な中止は離脱症状を引き起こす。
    • 精神病薬は継続する場合がほとんどだが、薬物相互作用や、中止する場合は離脱症状に注意する。

    今回のポイント


    • 声門上器具(SGA)の利点と欠点を理解して適切に使おう
    • 当院で採用されているi-gel とair-Q の違いを理解しよう
    • ただ突っ込めばいいと思っていませんか!?→適切な挿入方法を覚えよう
    • 挿入困難な要因とその対策を覚えよう
      →SGA 挿入困難要因は換気挿管困難因子と共通する!CVCI の時にSGA が簡単に入ると思うな!!
    • 換気困難は浅麻酔で起こる
    • SGA とレミフェンタニルは抜群に相性が悪い
    • 咽頭マスクを介した気管挿管のやり方を確認しておこう

    今回のポイント


    • 敗血症患者における全身管理は麻酔科医にとって必須の知識!
    • 敗血症の循環管理において、乳酸値の推移:乳酸クリアランスは重要な指標となる
    • 乳酸値が簡便に測定できない場合は、中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)を指標にしてもよい
    • 血糖値は144-180 mg/ml が目標
    • 血糖値の測定は動脈血の血液ガス分析器での計測が推奨される
    • 敗血症患者における発熱に対して、ルーチンの解熱療法は推奨されない
    • 敗血症患者における低体温に対しては、緩徐に復温することは推奨される
    • 見かけの血圧ではなく、「循環」を改善する管理を目指そう

    今回のポイント


    • 本邦における全領域のSSI 発生率は約6%、消化器外科領域は全SSI 発生例の88%を占める。
    • SSI の危険因子は、ASA-PS3 以上、創分類 (汚染および感染創)、手術時間延長、糖尿病、高度肥満、低栄養、喫煙、術中輸血など。一方、腹腔鏡手術はSSI 発生を軽減する因子。
    • 予防抗菌薬投与は執刀前60 分以内、術後は不要。
    • 術野消毒はアルコール含有クロルヘキシジンが推奨される。
    • 周術期管理は、血糖コントロール( <150 mg/dL)と保温( >36℃)。高濃度酸素はなんとも言い難い。

    今回のポイント


    • カフの機能は主に以下の二つ。
        (1) leak をなくし陽圧換気を可能にする。
        (2) 気管壁との間をシールして口腔内分泌物の気道内へ流入を防ぐ。
    • 一般的にカフ内圧は25mmHg 未満にすべきと考えられている。25-30mmHg を超えると気管粘膜下の血流が阻害されるためである。
    • カフ圧は可能な限り低く保つべきである。適切な換気条件でリークが生じない最小限のカフ内圧にする。
    • 挿管の合併症、Tapia 症候群では迷走神経と舌下神経が障害される。

    今回のポイント


    • 右から挿入されたCVC の先端は気管分岐部よりも上方の”Zone B”に留置する。
    • 右内頸静脈穿刺では13~15cm、右鎖骨下静脈穿刺では13~15cm が目安。
    • 右内頸静脈から挿入する場合は身長(cm)/10-2 cm とするのが良さそう。
    • 左から挿入されたCVC の先端は”Zone A”に留置し、届かない場合には”Zone C”に留置する。
    • 左内頸静脈穿刺では18~20cm、左鎖骨下静脈穿刺では16~18cm が目安。

    今回のポイント


    • PSL 換算で5mg/day 以上かつ3 週間以上の服薬歴がある患者は周術期ステロイドカバーの検討が必要
    • 手術の侵襲に応じてステロイドカバーの投与量は異なる
    • 視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系の抑制が考えられる患者の原因不明の循環不全は副腎不全を鑑別に挙げる必要がある

    今回のポイント


    • 妊娠女性は深部静脈血栓症(DVT)を5 倍生じやすい。
    • 産科の区域麻酔による硬膜外血種の頻度はまれ(1:200,000~1:250,000)だが、抗凝固療法中ではリスクが3 倍上昇する。常に区域麻酔と抗凝固療法のリスクとベネフィットを考慮する。
    • 周産期の抗凝固療法の有無について把握し、適切な麻酔方法を選択しなければならない。
    • 最近のコンセンサス(③)ではヘパリン皮下投与では投与量によって中止時間を決定し、APTT や抗Xa 因子の測定をして区域麻酔のリスク分類を行う方法が提唱されている。
    • 低分子ヘパリンの使用に関してはガイドラインごとに一貫しておらず、慎重な対応が求められる。

    今回のポイント


    • 超音波ガイド下A-line 確保は穿刺困難症例に対して有用である
    • 穿刺前のプレスキャンが何より大切!
    • A-line や末梢V-line 確保はSweep scan technique > Swing scan technique
    • 成功のための3 つのポイント
      ① 入る場所を刺そう:直線化している部分、石灰化の少ない部分
      ② 逆血は気にしない:逆血は内筒が入ったことを示すが、外筒が入っているかは不明
      ③ 外筒が内腔に入ったか確認しよう:短軸・長軸の両方を使いこなす
    • 深い動脈(上腕動脈など)を狙う時は末梢の虚血と神経損傷に注意
    • まずは簡単な症例からtry していこう

    今回のポイント


    • 妊娠の循環に与える変化を理解し、心疾患合併妊娠のリスクを適切に評価しよう
    • 周産期合併症の頻度と種類を理解し、帝王切開や無痛分娩における麻酔管理を行う必要がある
    • 妊娠前のリスク評価としてCARPREG スコア,ZAHARA スコアの有効性が示されている
      →2018 年にCARPREG スコアがup date され、CARPREGⅡrisk score が発表された

    今回のポイント


    • 2016 年FDA 「3 歳未満の小児や妊娠第3 三半期に、全身麻酔薬や鎮静薬を繰り返しまたは長時間(3 時間を超えて)用いると、小児の脳発達に影響を及ぼす恐れがある」
    • 上記警告は、過去15 年間の動物実験やヒトの後方視的研究に基づくものであるが、臨床現場からの批判は多く、それを否定する報告も存在する。しかし、最新の大規模疫学研究や脳画像研究からも、全身麻酔薬の 暴露が何らかの長期的影響を及ぼす可能性を否定することはできない。
    • 麻酔科医は、胎児~幼児への麻酔薬の長期的影響について、頭の片隅にとめておく必要がある。

    今回のポイント


    • 全身麻酔中の血圧回復の基本戦略は、輸液負荷と昇圧薬の投与である。
    • それに対するノルアドレナリンの有効性は評価され、フェニレフリンに取って代わるものかもしれない。
    • 安易に使用していないか!?; 血管収縮薬として、フェニレフリンが無効な場合にノルアドレナリンを使う。
    • 正しく使用しているか!?; 原則、中心静脈からのみ投与しなければならない。
    • (どの薬もそうであるが・・・)メリットのみならずデメリットも熟知した上で、有効に使用すべきである。

    今回のポイント


    • 日本アレルギー学会から「喘息予防・管理ガイドライン 2018」が発表された。
    • 現在喘息治療の中心となっているのは吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2 刺激薬であり、ステロイド内服まで行われている患者は重症と考えてよい。
    • 予定手術の際はFEV1.0 とピークフローを予測値または自己最良値まで改善しておくことが望ましい。
    • 喘息の既往のある小児では上気道感染後4~6 週間手術を延期する。
    • 症状のコントロールが不十分で緊急を要する手術の場合は術前・術中にステロイドを点滴静注する。
    • 術中発作時は通常の発作時の治療の他、セボフルランの濃度を上げる、短時間作用性吸入β2 刺激薬を気管チューブから吸入させる、I:E 比を延長させる等の対応を行う。

    今回のポイント


    • 麻酔科医がHAT を適切に施行することで、大量出血時の同種血輸血を回避できるかもしれない
      ⇒ これまで当科でやってきたHAT には、まだまだ改善・発展の余地が残されている
    • 採取の基本: この患者は(等容性)血液希釈にどこまで耐えられるのか?・・・・麻酔科医が判断!
    • 返血の基本: 明らかな出血がコントロールされた後、薄い方(後に採取した血液)から順に返す!
    • エホバやRh (-) 症例はもちろん、他の非心臓手術でもHAT 使用を積極的に検討してみては・・・??

    今回のポイント


    • ケイセントラは人血漿から生成される血液凝固因子4つ(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)とプロテインC/Sを含む乾燥濃縮人プロトロンビン複合体(4-Factor PCC:Prothrombin Complex Concentrate)
    • Vit.K拮抗薬投与患者における重篤な出血時・重大な出血が予想される緊急手術が必要な時に適応
    • DIC患者には禁忌→過凝固状態を誘発または悪化させる可能性があるため
    • 薬価は1000U/40ml/V製剤で65225円と高額!取扱には注意
    • 濃縮製剤なので輸液負荷が少なく、迅速に投与できる
    • PT-INRを正常化(<1.3)する平均時間は4-Factor PCC=65min、FFP=255minとかなり早い
    • 重篤な副作用として血栓塞栓があり、使用時は必ずその後の抗凝固療法再開について考慮する

    今回のポイント


    • 妊娠中の麻酔薬・手術では先天奇形や死産の頻度は不変だが早産や子宮内発育遅延・新生児死亡の頻度は増加したとの報告もあり、麻酔薬や術式との関連は明らかではない。が、避けたほうが無難。
    • 普段使用している麻酔薬は、妊娠中の全身麻酔でも比較的安全に使用できる。
    • 出生後、最初の3-4 日は母乳の量が少ないため、投薬の影響は一般的に少ない。
    • 眼科や歯科など早期退院できる手術では授乳再開のタイミングについて情報提供できれば親切。
    • RID(Relative Infant Dose)が10%以下であれば安全。
    • 半減期が短く、蛋白結合率が高く、経口生体内利用率が低く、高い分子量の薬剤を使用する。

    今回のポイント


    • 鮭精子から分離される強アルカリタンパク物質である。
    • 急速投与により、低血圧を生じる。また、アナフラキシー反応、アナフラキシー様反応、肺血管収縮反応を引き起こす。
    • 術プロタミン/ヘパリン総投与量の最良比は0.73!?
    • ヘパリンリバウンドにも注意が必要。
    • インスリン製剤にもプロタミンは含まれている。
    • プロタミン自体は抗凝固作用を持つため、過量投与には注意が必要。

    今回のポイント


    • 投与部位により最高血中濃度や、持続時間などが異なり、血中濃度の上昇にタイムラグが生じる。
    • 局所麻酔薬の血中濃度上昇に伴い段階的に中枢神経症状が出現することが知られている。
    • 血中濃度に影響を与える因子:麻酔薬の量、ブロックの種類(投与部位)、麻酔薬の特性(脂溶性・タンパク結合率)、低タンパク症、アシドーシス、アドレナリン添加の有無
    • 局所麻酔薬を使用する場合には必ず局所麻酔薬中毒を頭の片隅に。

    今回のポイント


    • 2007年より麻薬指定された静脈麻酔薬。投与時に血圧低下しにくいためショック患者の麻酔導入等で用いられる。
    • 鎮静・鎮痛作用をもつ。体性痛に有効で難治性疼痛にも有用。
    • 静注も筋注も可能(※静注用:10mg/mLと筋注用:50mg/mLでは濃度が異なるので注意)。
    • 投与後に血圧上昇、心拍数増加、脳圧上昇、眼圧上昇を認める。
    • 禁忌:高血圧(収縮期160mmHg、拡張期100mHg以上)、非代償性重症心不全、脳血管障害、脳圧亢進症、けいれん患者。
    • 悪夢は小児より成人、男性より女性に多い。ベンゾジアゼピン併用で悪夢の頻度が減少するとされる。
    • m-ECTの麻酔薬として注目されている。
    • 麻酔深度の判定が困難でBISは高値となる。

    今回のポイント


    • PONV 予防のためのドロペリドール投与は手術終了時が望ましい。
    • ドロペリドール投与時に最も注意する有害事象はQT 延長。
    • 既知のQT 延長がある患者に対してドロペリドールの投与はもちろん禁忌。加えてQT 延長を起こしやすい疾患を持つ患者や薬物が投与されている患者に対しても慎重に投与する必要がある。
    • 低用量(1.25mg 以下)の投与ではQT 延長と因果関係がないとする報告もある。過度に恐れる必要はないが投与前後の心電図モニタリングは必須。
    • 血圧低下、錐体外路障害といった有害事象にも注意する。

    今回のポイント


    • 麻酔により体温の再分布が起こり、体温は低下する。
    • 全身麻酔だけでなく、脊椎麻酔や硬膜外麻酔によっても体温は低下する。
    • 全身麻酔と区域麻酔を併用した場合は単独の場合よりも体温がさらに低下しやすい。
    • 体温の低下により①薬物効果の遷延(吸入麻酔薬、筋弛緩薬など)、②出血傾向、③感染、③シバリング、④呼吸抑制、⑤血糖値上昇、⑥腎機能低下の有害作用がある。
    • 虚血性心疾患患者ではシバリングの予防が大事。
    • 麻酔中の体温維持には、導入前の加温、室温の維持、輸液の加温、吸入ガスの加温・加湿(人工鼻)、温風対流装置、アミノ酸輸液が効果的。

    今回のポイント


    • PecsⅡブロックにより、術後24 時間以内のオピオイド使用量は減り、NRS は軽減する
    • PecsⅡブロックでは乳房外側領域の鎮痛は得られるので乳房切除術の腋窩郭清などに有効
    • PecsⅡブロックにTTP ブロックを併用すると、内側領域の鎮痛もカバーできるという報告あり
    • エコーガイド下で行うので合併症は少なく、比較的容易に行える

    今回のポイント


    • 虚血型に対しては血行再建術が勧められる(ガイドライン グレードB)。血行再建術によりTIA改善、脳梗塞のリスク軽減、術後ADL改善、長期的脳機能予後の改善が得られると報告されている。
    • 出血型は、虚血型と比し血行再建術の有用性についてエビデンスが蓄積されていない。
    • JAM(Japan Adult Moyamoya) Trial(多施設無作為比較試験):出血型もやもや病患者を、両側大脳半球への直接血行再建術を行う群と内科的治療のみを行う群とに無作為に割り付けし、その後の5 年間の主 要エンドポイント(再出血発作を含むすべての医学的有害事象)の発生率を比較した。手術群3.2%/年、非手術群8.2%/年であり、手術群において有意な低下がみられた(カプラン・マイヤー法、p=0.048)。
      ⇒ JAM Trial は、出血型もやもや病に対する血行再建術の有用性を示した報告である。しかし、“手術群においても、3.2%/年の有害事象が発生する!”ことに注目し、今後もやもや病患者を担当する場合には、たとえ術後であっても慎重な麻酔管理が必要であると考えるべきである。
       ちなみに未破裂脳動脈瘤の全例調査(UCAS Japan)では、年間出血率は0.64%/年、瘤が5 mm 以上では、1.1%/年と報告されている。

    今回のポイント


    • レミフェンタニルは調節性に優れた超短時間作用型オピオイドである
    • 血中濃度を意識して適切に使用、導入や術中の血圧上昇を防ごう!
    • 定常状態における効果部位濃度(Ce)は投与速度(μg/kg/min)×係数(40 歳:20-30、80 歳:25-40)
    • 定常状態の濃度に上昇するまでの時間は10-15 分!手術の進行を予測して濃度を変化させよう!
    • 効果部位濃度が下がる速度は早い!最後までしっかり鎮痛しよう!
    • 換気や循環に対する影響(副作用)を熟知しよう!
    • 術後鎮痛はしっかり!レミフェンタニル誘発性鎮痛耐性の予防をしよう!

    今回のポイント


    • マスク換気困難は、全身麻酔導入時の気道確保困難で重篤な転帰となりうる。
    • 心構えは出来ているか!?; マスク換気困難の予測が難しいとの報告もあり、“換気不可”の場面が突然やって来る可能性がある。
    • 対応法を知っているか!?; “換気不可”の場面に備えて、対応法を把握しておくべきである。
    • 導入時、疎かにしていないか!?; 低酸素血症防止の点で、pre-oxygenation は最も有効とされている。

    今回のポイント


    • 脊髄モニタリングは,脊椎手術・脳神経外科手術・大血管手術において神経機能温存に有用である
    • 麻酔は神経(シナプス)に作用するため,モニタリングに影響する
    • 大まかな原理と麻酔の注意点を把握し,良好なモニタリング環境を提供しよう

    今回のポイント


    • 近年正期産は、早期正期産、満期正期産、後期正期産と分類されるようになった。
    • 早期正期産児は満期正期産児よりも、急性期において呼吸器系の有病率が高い。
    • さらに、発達遅滞や教育支援を要する割合も高いという報告がある。
    • 選択的帝王切開時期を一律に何週がよいとは決定できないが、37週以降ならばよいと判断するのはすすめられない。諸外国では、新生児リスクの観点から、帝王切開時期は39週以降が望ましいとされていることを、麻酔科医は理解しておかなければならない。

    今回のポイント


    • 肺手術後の間質性肺炎急性増悪の発生頻度は4.4~27%と報告され、死亡率も高い。
    • 術後急性増悪の因子として、広範な肺切除、男性、急性増悪の既往、術前のステロイド使用、KL-6 高 値、%FVC 低値、%DLCO 低値など。
    • 麻酔管理における急性増悪のリスク因子は、長時間の人工換気、高い吸入酸素濃度、大きい一回換気 量、輸液過多が報告されている。
    • シベレスタット投与に関しては予防効果にエビデンスはないが大きな有害事象の報告もなし。

    今回のポイント


    • 『産科危機的出血への対応指針2017』を見ても、麻酔科医が何をすべきなのか結局よくわからない
    • 下図は臨床麻酔2018-3からそのまま転載したもの(・・・なので、ただの参考図)で、注目点は、
        - 常位胎盤早期剥離、羊水塞栓の重要性が強調されている
        - 非常に具体的かつ現実的な行動・数値目標が記載してある
    • 若手はひとまずこれをそのまま覚えるのもあり⇒ そのうち当院バージョンを作製し掲示したい(提案)

    今回のポイント


    • 経食道心エコーは非心臓手術での麻酔管理においても有用である!
    • 循環管理に対して特に有用なview は5 断面! ⇒ 動画供覧 で解説します
    • 食道静脈瘤や上部消化管出血など食道に病変がある場合は禁忌なので注意が必要

    今回のポイント


    • 母体心停止直後に帝王切開(Perimortem cesarean delivery)を行うと母児両者の救命が期待できる
    • AHA(2015)、ヨーロッパ蘇生協議会、日本蘇生協議会のガイドライン、SOAP(Society of Obstetric Anesthesia and Perinatology)合同声明のいずれも、母体蘇生におけるPMCD の考慮を推奨している
        - 妊娠20 週以降(子宮底が臍高以上)の妊婦が心停止に陥ったらすぐに準備を開始する
        - 心停止後4 分(蘇生開始4 分後)自己心拍が回復しないとき、PMCS の開始を考慮する
        - 母体救命目的のPMCS の施行には、胎児の生死は問わない
    • ただし、日本で実際に行うには、インフォームドコンセントが最大の障壁になると考えられる・・・

    今回のポイント


    • パーキンソン病は手術を契機に悪化することがあり、術後の合併症も多く報告されている。
    • 悪性症候群やセロトニン症候群だけでなく呼吸障害や、誤嚥性肺炎等により非パーキンソン病患者と比 較し優位に院内死亡率が高い(7.3%vs3.8%)。
    • 特にMAO-B 阻害薬内服中の患者ではセロトニン症候群に注意が必要である。
    • レボドパ合剤100 ㎎に対し、レボドパ50-100 ㎎を手術当日朝に投与することが推奨されている。
    • 時間的猶予がある場合には神経内科への対診依頼を(重症の場合は特に)。

    今回のポイント


    • 緊急手術時や大量出血時に輸血在庫欠乏や患者用の輸血製剤が届かない状況はありうる。
    • 可能な異型適合輸血を知っておくことで危機的状況を回避できることがある。

    今回のポイント


    • 第3 世代HES 130/0.4/9 ボルベン® の適応や副作用に関しては未だ議論の尽きないところである
    • 『HES はダメ!エビデンスがある!!』と言う人は、この有名な2 編の内容を誤解しているかもしれない
        ① 6S study (NEJM 2012: 重症敗血症患者を対象とした臨床研究)
        ② CHEST study (NEJM 2012: 重症ICU 患者を対象とした臨床研究)
    • そのような威嚇(?)に負けない(?)ためにも、麻酔科医はある程度正しく理論武装する必要がある
    • 結論から言えば、これらの論文から周術期のHES 使用が有害であるとは言えず、むしろ正しく使えば、
      患者に利益をもたらす可能性がある(2013 年以降のエビデンスの構築についてはまた次回・・・?)

    今回のポイント


    • ペースメーカーの基本モードを理解する。
    • ペースメーカー植え込み患者の手術中の設定を理解する。
    • テンポラリーペーシングの設定変更が必要な状況と対応を理解する。

    今回のポイント


    • 生体腎移植か献腎移植か、血液型適合か不適合か、レシピエントは透析導入前か後か、レシピエントに心血管系その他の合併症があるか否かで腎移植術の輸液・輸血戦略は異なる。
    • CVP あるいはFloTrac センサーによるSVV 値およびHct 値と収縮期血圧などを指標とすることが多い。
      吻合血管declamp までに有効循環血漿量を十分保持したうえで、初尿の得られやすい血圧を維持する。
    • 以前は生理食塩水あるいは1号液が主流であったが、近年は乳酸リンゲル液や重炭酸リンゲル液、状況によってはHES製剤の使用も行われるようになってきた。
    • 輸血の種類にも注意が必要(AB 型のFFP や洗浄赤血球液:WRC が必要な場合も)。

    今回のポイント


    • 敗血症の循環管理はまずは輸液!複数のモニタリングを組み合わせて輸液反応性を評価する
    • 初期輸液に反応しない時、循環作動薬の第一選択はノルアドレナリン(NA)
    • NA で不十分な場合、輸液不足or 心機能低下or 末梢血管抵抗低下が制御できていない、のどれが原因なのか考える
    • 緊急手術で術前心機能評価がされていない事が多いので、TEE を積極的に使用しよう
    • 心機能低下が原因ならアドレナリン or ドブタミンの使用を考えよう
    • 末梢血管抵抗低下が原因なら、バゾプレシンを使用しよう
    • 輸液と鎮痛が十分なのに頻脈が続く時、βブロッカーの使用は予後を改善するかもしれない
    • 輸液と循環作動薬を使用してもショックが遷延する場合、少量ステロイドの使用は弱く推奨される
    • 乳酸値やScvO2 の経時的変化で治療の評価を行う
    • 腎保護を目的としたループ利尿剤/hANP/ドパミンは使わない

    今回のポイント


    • OC とVTE の関連は1961 年に初めて報告され、現在ではOC/LEPの内服で活性化プロテインC(APC)抵抗性の状態をきたすことがVTEにつながる大きな要因と考えられている。
    • 2012 年のFDA 報告によるとVTE 発症リスクはOC 非服用者で年間1 万人当たり1-5 人に対し、OC服用者では同3-9 人である。
    • NAで不十分な場合、輸液不足or 心機能低下or 末梢血管抵抗低下が制御できていない、のどれが原因なのか考える
    • 30分を超える手術では、少なくとも4週間前からOC/LEPは中止する。
    • 術後2 週間以内での内服再開は禁忌とされている。
    • 過去にはOC/LEPが中止されておらず手術が延期された例として医療安全情報に取り沙汰されたこともあり、当科としての対応も検討する必要がある。
    • OC/LEP使用者は患者携帯カードを持っているのでそれで確認可能と思われる。

    今回のポイント


    • 輸血は臓器移植である。感染症、副反応(第17 回参照)、医療経済の面で安易な使用は推奨されない。
    • 周術期貧血の術中投与トリガー値はHb 値7〜8 g/dL とすることが推奨されている (Grade 1A)。
    • 血小板輸血について周術期は血小板数5 万/μL 以上を維持する (Grade 2D)。
    • 新鮮凍結血漿(FFP)の投与にあたり、投与前にPT・APTT を(大量出血・DIC ではFib も)測定する。

    今回のポイント


    • どんなブロックでも一緒だが、体位やベッドの高さ、エコーポジションで失敗すると敗北確定である
    • TAP ブロックをよく効かせるためのメソッド
    • ① 局所麻酔薬の基本的な考え方は薄く、多く!(例:片側0.2%アナペイン30mlぐらい)
      ② いわゆる 『TAPB』 とは、後方アプローチを指す ⇒ なるべく後方(背中側)に薬液を注入する
      ③ 注入する層は、もし迷ったら深い方に! 効果は、深い(腹横筋内)>>浅い(内腹斜筋内)
      ④ Th6-9 領域の鎮痛が必要な場合、肋骨弓下TAPB や腹直筋鞘(RS)ブロックを適宜追加する
    • 局所麻酔薬中毒には要注意!施行後30分間は観察が必要! (治療は第25回勉強会資料を参照)

    今回のポイント


    • 予防接種と全身麻酔との関連を調べたエビデンスレベルの高い臨床研究はなく、その実態はわかっていない。「予防接種と手術との間隔をどのくらいあければよいのか」ということを示したガイドラインやコンセンサスは現時点でない。
    • 予防接種後問題となるのは副反応であり、多くは接種部位の痛み、発赤、紅結、発熱などで、まれかつ重症なものとしてアナフィラキシー、けいれん、脳炎・脳症がある。副反応の種類や発症時期はワクチンによって異なるが、ほとんどの副反応は不活化ワクチンであれば2 日以内、生ワクチンであれば1-2 週間以内に出現する。
    • 以上より、予防接種から全身麻酔までに必要な間隔は、不活化ワクチンであれば2 日(3 日前接種であれば可)、生ワクチンであれば3 週間(2 週間の場合は要相談)とするのが妥当か・・・・。

    今回のポイント


    • 肺動脈カテーテルは有用な循環動態モニターである
    • 一方で、致死的な合併症を引き起こす侵襲的モニターであり、その適応は熟慮する必要がある
    • 安全に適切な位置へカテーテルを挿入する方法論と合併症への対応を熟知する必要がある
    • 何より大切なのは、得られるデータを管理に正しく反映する事が出来るだけの知識である
    • 肺動脈圧、肺動脈楔入圧、右房圧、心拍出量、混合静脈血酸素飽和度、血液温が得られる
       ⇒ 体血管抵抗や酸素供給/需要に思いを馳せよう
    • 肺動脈楔入圧を得られた深さから1cm 抜く(たわみを取る)、人工心肺が始まる前に1-2cm 抜く(心臓が 小さくなるため)、自己心拍再開した直後の肺動脈圧に注意(先当たりしやすいタイミング)
    • 肺動脈損傷を疑う気道出血を認めた場合は健側肺を保護するため速やかに分離換気へ
       ⇒出血は吸引せずタンポナーデにすることで止血が期待できる、らしい
      ★その際は脱血量を増やして肺動脈への血流を少なくするとさらにやり易い

    今回のポイント


    • replantation toxemia(再接着中毒症)とは、長時間の温阻血におかれた切断肢を再接着した場合に ショックを含む全身状態への悪影響を生じた状態。
    • replantation toxemia では壊死筋からの代謝産物が体循環に入り、高カリウム血症による心停止、代謝 性アシドーシス、ミオグロビン血症による腎不全などを生じる(≒Crush Syndrome:圧挫滅症候群)。
    • 四肢が温存可能かを予測するためにMangled Extremity Sererity Score (MESS) 等の指標が用いられる
    • 重症の四肢コンパートメント症候群もreplantation toxemia とほぼ同様の病態を呈する。
    • 近位四肢切断の再接着術は緊急透析が可能な施設で行う。

    今回のポイント


    • 手術2週間以内のURI はPRAEsの発生リスクは3.72 倍!という報告も・・・。
    • 術前検査での炎症マーカーはPRAEsの予測因子にはならない!
    • 術前検査の時点でURI があれば2-4 週間後まで手術を延期する。
    • 手術当日にURI が発覚した場合は発症2週間以内なら延期。2-4週間以内なら最長6週間は気道過敏性が亢進している、と認識しつつ麻酔する。
    • 前投薬は鎮静剤よりも気をそらせる方法がよい(おもちゃ、シール、ゲームなど)。
    • 抜管前のステロイド投与は有効かもしれないが有意差はない。お守りとして使う程度にしておく。

    今回のポイント


    • 術中の筋弛緩の管理は大切!術中筋弛緩が必要な手術は十分な筋弛緩を維持しよう!!
    • 残存筋弛緩は術後合併症を増やす!退室時には筋力が完全に戻っていることが求められる!!
        ⇒ この二つを満たすには筋弛緩モニターを使用せざるを得ない・・・
    • 筋弛緩の効果は個人差が大きい!入れてから〇分以上経過しているから大丈夫、は根拠レス
    • 筋弛緩モニターは測る場所が大切!術中管理は皺眉筋、覚醒時評価は母指内転筋(末梢)で測る!!
    • 筋直接刺激による筋収縮を避けるため、皺眉筋で測る時は出力を30mA以下にする
    • SGX の使用量は実体重換算!高度肥満は実体重換算でも過少投与になることがあるので注意
    • 透析患者に対するSGX 使用は必要量のみに留めるべき
    • 全身状態によっては再クラーレ化が起きる事を念頭に筋弛緩を拮抗する必要がある
    • 過量投与は推奨されない!何も考えずに200mg 入れるのではなく、必要量を考えて使いましょう!!
    • SGX のアナフィラキシーは10 分以内が多い、投与後10 分は退室させない!
    • SGX を使わずに返すにはそれなりの根拠と覚悟が必要
        ⇒TOF 比>0.9 を保証する臨床所見は舌圧子の噛みしめテストくらいしかない

    今回のポイント


    • 大動脈弁狭窄症の患者は麻酔により心原性ショックや致死的不整脈を引き起こすので非常に危険!
    • 麻酔薬が大動脈弁狭窄症に与える影響を理解すれば、重症例にも対応可能。
    • Af, 不整脈、MR, EF 低下、SV 低下などのオプションがある場合は要注意。

    今回のポイント


    • 経鼻挿管による鼻出血は、時に大量出血をきたし致命的となる合併症である。
    • 出血部位は前方(Kiesselbach 部位)と後方(翼口蓋動静脈叢)があり、後方では大量出血となる。
    • 鼻出血の原因は、鼻出血の既往、鼻中隔弯曲、鼻茸手術歴、アレルギー性鼻炎、そしてチューブの無理な挿入である。
    • 口腔外科手術では全顎CT により鼻中隔の弯曲はある程度確認できるため事前に確認する!
    • 鼻翼損傷の予防のためにも、経口挿管より1〜2 サイズ小さいものを選択する。
    • 綿棒での前処置の際に、通過性や方向を確認する。血管収縮薬は十分に(5 分)染み込ませること!
    • チューブ抵抗時には無理に進めず、また抜去もしない。圧迫止血で止まらないなら耳鼻科コンサルト!

    今回のポイント


    • オキシコドンは、モルヒネ製造過程で得られるデバインから作られる半合成オピオイドで、主にμオピオイド受容体を介して発現する。
    • CYP3A4 により12-39%がノルオキシコドン (鎮痛活性無) 、CYP2D6 により1%未満がオキシモルフォン(鎮痛活性有)となる。オキシモルフォンにはオキシコドンの14 倍程度の鎮痛活性があるとされているが、濃度が極めて低いため鎮痛効果にはほとんど関与していない。未変化体尿中排泄率は、約5.5-19%である。
    • 経口オキシコドンの生体内利用率は速放製剤で60-87%、徐放製剤で50-87%である。
    • 腎不全患者にも比較的安全に使用できるため、オピオイド導入を経口オキシコドンから開始するという症例が増えてきている。
    • 近年、モルヒネでは治療が難渋する骨転移痛や神経障害性痛に対して、オキシコドンが比較的高い有効性を示すことが報告されてきている。

    今回のポイント


    • PDPH の発生をなるべく予防したければ、やはり、ペンシルポイント針を用いるべき
    • 硬膜穿刺後、6~72 時間後に発症する。座位・立位で増悪し、臥位で改善する頭痛が特徴
    • 治療の基本: まずは保存的加療(NSAIDs、安静臥床、カフェイン飲料、漢方薬…? etc.)
         ⇒ 1 週間程度で治らない場合に、患者と相談しブラッドパッチを適応するという流れがいいか
    • ただし、複視(外転神経麻痺)が見られた場合は、ただちにブラッドパッチで治療する必要がある

    今回のポイント


    • オピオイド急性鎮痛耐性とはオピオイド投与中に鎮痛効果が急に得られにくくなること、痛覚過敏とはオピオイド使用後に刺激に対する痛みの閾値が低下する現象と理解されている(この2 つを明確にわけることは不可能であり、意味がないとされる)。全てのオピオイドにおいて起こり得るが、レミフェンタニルにおいて顕著である。
    • レミフェンタニル誘発性急性鎮痛耐性及び痛覚過敏については、徐々に機序、発症要因、予防法等が解明されつつあるが、未だ結論には至っていない。
    • レミフェンタニルの投与量/時間との相関は認められていないが、高用量・長時間投与でリスクが増大すると考えられている(レミフェンタニル ≧0.3γ・・・0.2-0.25γとする報告もある)

    今回のポイント


    • 2015年に急性腹症診療ガイドラインが作成された。
    • 最近、急性腹症で手術となる患者に対しアセリオが投与されてくる例が多くみられるがこのガイドラインの存在が大きいと考えられる。
    • 今回は本ガイドラインの中でも鎮痛、特に使用機会の多いアセトアミノフェンについて取り上げてみたい と思う。
    • 急性腹症患者へのアセトアミノフェンの使用は、最大で15-30分おきに計4000 ㎎まで可能となっており、添付文書(4-6 時間空けての投与を推奨)よりもアグレッシブな投与が推奨されている。

    今回のポイント


    • 骨セメント使用時に一過性の血圧低下を生じることは周知の事実であるが、ときに急激な血圧低下、低酸素血症、不整脈を生じ、術中急変し死亡する症例も報告されている(bone cement implantation syndrome ; BCIS)。
    • BCIS 発生危険因子として、肺高血圧症、心機能低下(NYHA class 3-4)、病的骨折の存在、内側型大腿骨頚部骨折の存在、long-stem arthroplasty 実施があげられる。
    • BCIS のハイリスク症例では、術前の心機能評価、術式変更(セメントレス等)、保存療法の検討、モニタ(A-line 挿入やセメント使用時etCO2・SpO2 を注意して観察する)、昇圧剤の準備等対策が必要である。

    今回のポイント


    • 術後(気管挿管に伴うと考えられる)、披裂軟骨脱臼を発症した1例を経験した
    • 披裂軟骨脱臼は稀な合併症であるが、治療開始時期が機能改善の度合いを左右するため、麻酔科医はこの存在と対処方法を知っておく必要がある
    • 術後に高度の気息性(息が漏れる)嗄声や咽頭痛(とくに嚥下痛)が認められた症例は、要経過観察!
      ⇒ これらが7 日以上遷延する場合、速やかに耳鼻咽喉科へコンサルトを行う(…主治医と協議する)!

    今回のポイント


    • 内服薬の管理は、周術期のメリット・デメリットを理解して判断する。
    • 継続が推奨されるものは、スタチン(強いエビデンスあり)・β遮断薬・α2作動薬・Ca拮抗薬。
    • ACE阻害薬、ARBについては中止が推奨されていたが、近年、慢性心不全患者や高血圧患者で継続が妥当とされてきた。
    • 利尿薬は、降圧目的(サイアザイド系)であれば継続が推奨される。
    • スタチン以外の脂質異常症治療薬は中止しても差し支えない。
    • 狭心症治療薬、抗不整脈薬のエビデンスはないが継続が一般的である。
    • ジギタリスは継続が推奨される。
    • カテコールアミンは血行動態に合わせて継続する。

    今回のポイント


    • 高齢化や慢性疾患の増加、医療におけるテクノロジーの進歩による医療の高額化に伴い、医療資源は有限なものとしてとらえられるようになった。そのため、生命予後の改善など伝統的なアウトカム指標のみでは医療評価は不十分であり、QOLのような患者立脚型のアウトカム指標が必要となってきた。
    • 健康関連QOLとは 「疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタルヘルス、活力、痛みなど)や、毎日行っている仕事、家事、社会活動にどのようなインパクトを与えているか」を示すものであり、測定するために多くの尺度が開発された。

    今回のポイント


    • 頻度:日本麻酔科学会へ報告された周術期アナフィラキシーは18,600例に1例
      (しかし体感的には2,000例程度と考えている人も)
    • 医原性のアナフィラキシーショックは、平均5分で心停止に至る(食物などでは30分)
    • まずは原因物質の除去、気道確保と100%酸素投与、急速輸液、アドレナリン、できるだけ採血
    • 周術期のアナフィラキシーに対してはアドレナリンの静脈注射が推奨されている
    • 治療により循環が安定した後も二相性反応に備えて6~24時間のモニタリング
    • 確定診断としての皮膚テストは発症から4~6週間後に行う

    今回のポイント


    • 緊急事態は突然やってくる!気道管理アルゴリズムを理解しよう!!
    • 気道確保の場面をグリーンゾーン・イエローゾーン・レッドゾーンに分けて考える
    • カプノグラムの波形をよく見よう!自分のマスク換気の質が分かります(V1-V3)[まずはグリーン]
    • マスク換気が困難な場合、まずは筋弛緩薬の投与が推奨される
      → 鎮静剤だけでマスク換気ができるか確認する事はあまり意味がない
    • 筋弛緩薬を投与しても改善しない場合、PEEPを付加しよう
      → 麻酔器の人工呼吸器を用いて両手マスク換気(PCVモード、PIP<15、PEEPは高めに)が推奨
    • 同一施行者による同じ方法の挿管tryは2回まで!駄目ならまずはLMA。[ここからイエロー]
    • 常に自発呼吸の再開を考慮→SGX16 mg/kg
    • LMAによる換気が困難な場合、外科的気道確保を考える[レッドゾーンへ]
    • ミニトラックは練習すればするだけ早くなる
    • 気道トラブルは秒単位で状況が変わる!必ず人を呼ぼう!

    今回のポイント


    • 硬膜外麻酔による麻酔分娩時に起こる合併症のなかで、それが直接の原因となって妊婦が死亡するのは、主に局所麻酔薬の異所誤注入である(以下の2つ)!
       ⇒ 基本的には蘇生治療がメインとなるので、発生した場合は麻酔科医が活躍できる可能性が高い
        ① 血管内誤注入 (⇒ 局所麻酔薬中毒)
        ② くも膜下誤注入 (⇒ 高位麻酔 ⇒ 全脊麻)
    • 治療の重要ポイントは以下の5つ
        ① 初期治療としてルート確保、酸素投与、適切な換気(アシドーシスを避ける)、痙攣の治療など
        ② 意識レベルが落ちて、呼吸が怪しければ迷わず挿管・人工呼吸!
        ③ 局麻中毒が疑われる場合、躊躇せずにイントラリポス®静注を!(ICUに常備してある)
        ④ 心臓が止まったら心マ、ボスミン!(ただし、少々注意が・・・後述)
        ⑤ 妊婦では常に子宮左方転位を忘れずに!最悪、死戦期帝王切開も考慮すべし

    今回のポイント


    • ロクロニウム(Rb)を直接包接することで筋弛緩を拮抗する薬剤(FDAは2015年にやっと承認)
    • 使い方は浅い筋弛緩(TOF>2)で2mg/kg、深い筋弛緩(PTC一桁)で4mg/kg、緊急拮抗で16mg/kg
    • 分子量は2178、ロクロニウムの分子量は610なので、計算上はSGX200mg=Rb56mg(約60mg)
      →抜管後の再挿管は、Rb1V分が無効になることを考慮してRbを投与して挿管
    • 体内では代謝されず、95%が腎排泄(Rb-SGX包接体も95%が腎排泄)
      →腎傷害患者、特に透析患者には注意が必要。可能な限り筋弛緩モニターを使用したほうが良い
    • アナフィラキシー(結構重症)の報告は2.8/10万人、発症例は5分以内が70%、10分以内が90%
      →必要以上の量を入れない、投与後は観察が必要
    • ネオスチグミン→SGXの順番で使うとAch受容体の脱感作が起こるのでやめたほうが良い

    今回のポイント


      《術前管理》
    • 投与中のオピオイド総量を把握する
    • 心電図・電解質をチェックする
    • 原則として、使用中のオピオイドを術前に中止しない
    • 必要に応じてオピオイドの投与経路変更を行う
    • 《術中管理》
    • 必要に応じてフルストマック対応とする(←事前に便通コントロール状況の確認を行う)
    • 術中オピオイド必要量を示す明確な指標はないが、オピオイドの必要量は増加することが多い
    • 《術後管理》
    • 術後のオピオイド投与量を増量するだけでなく、他の鎮痛法(硬膜外麻酔や末梢神経ブロック)を併用して、オピオイドの必要量を減量する

    今回のポイント


    • 手術によって侵襲が加わる部位、深さ、広さが異なり、損傷される組織はさまざまである。手術侵襲が加わった組織(①筋肉②腹膜(胸膜)③骨髄(骨膜))によって創部痛が影響を受けることが実験的に証明されている。
    • 手術による痛みを管理する際、侵襲の範囲だけではなく、深さや損傷される組織を考慮する必要がある。

    今回のポイント


    • 顕性の甲状腺機能亢進症及び低下症の妊婦合併頻度は, 各々0.1-0.4%及び0.3-0.5%とされる
    • 甲状腺機能異常はいずれも流産・妊娠高血圧症候群・胎児発育不全・死産など種々の周産期合併症 の原因となる
    • Basedow 病はhCG(妊娠7-11 週がピーク)の甲状腺刺激作用により妊娠初期に増悪する
    • 薬物の影響に関して妊娠4-15 週は形態的異常, 16 週以降は機能的異常が問題となる
    • 胎児心拍数モニタリングは麻酔の影響に対する胎児の自律神経反応を予測できる
    • 手術侵襲に対する交感神経系の過剰な反応を抑制できるよう十分に深い麻酔維持が重要

    今回のポイント


    • プレセデックス(一般名:デクスメデトミジン / DEX)は近年使用報告が増えてきている鎮静剤
    • 強力かつ選択性の高い中枢性α2 アドレナリン受容体作動薬であり、GABA を介さない鎮静作用を示し、さらに痛みや不安の抑制、ストレスによる交感神経系亢進を緩和する。
    • 適応は①集中人工呼吸中および離脱後の鎮静、②局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静(局麻の気切やSp・BB などの区域麻酔をしている時の鎮静、で使用可能)
    • 200 ㎍/ 2 ml 製剤で、生食48 ml と混合して使用、添付文書上の使用方法は6 ㎍/kg/hr で10 分間ローディング、その後は0.2-0.7 ㎍/kg/hr で調整
    • おすすめの使い方は(体重)ml/hr(=4 ㎍/kg/hr)で10-15 分ローディング、その後0.4 ㎍/kg/hr で開始
    • ローディング中は血行動態の変化に注意が必要(血圧変動・徐脈)

    今回のポイント


    • 2016年2月、米国集中治療医学会から新しい敗血症の定義が発表された(Sepsis-3)
      これによると敗血症は、
         ① 感染症に対する制御不能な宿主反応によって引き起こされた、 ② 生命を脅かす臓器障害で、
         ③ 臨床的にはSOFA score 2点以上で定義される
    • 実際に使用するための重要ポイントは以下の5つ
         ① ICU外で感染症を見たらqSOFA score (3変数:各1点)をカウントする
           ⇒ ② qSOFA 2点以上(Sepsis疑い)で、1点と比較して死亡率が3~14倍に !
         ③ ICU管理中の患者ではSOFA score (6変数:ちょっと複雑)をカウントする
           ⇒ ④ SOFAベースラインから2点以上の上昇(Sepsis確定)で死亡率10% 以上 !!
         ⑤ 敗血症性ショックと診断された場合、その死亡率は40% 以上 !!!

    今回のポイント


    • 輸血副反応は急性輸血副反応と遅発性輸血副反応に分けられる。
    • 急性:溶血性輸血副反応(HTR)、非溶血性発熱反応(FNH)、細菌感染症、アナフィラキシー、
      皮下の過敏性反応(蕁麻疹等)、循環負荷(TACO)、輸血関連急性肺障害(TRALI)
    • 遅発性:遅発性溶血反応(DHTR)、輸血後GVHD
    • 麻酔管理に影響を及ぼす非溶血性副作用は血小板製剤と血漿製剤で多い。
    • 急性溶血性輸血副反応(AHTR)は血液型不適合輸血によるものが最も多く、遅発性(DHTR)は不規則抗体によるものが多い。HTRを完全に予防することは不可能とされている。

    今回のポイント


    • 生体反応を予測する麻酔分野のTCI理論なんて、まだまだ発展途上である。
    • 単回投与(短時間の点滴)の薬物動態なら、1-コンパートメントモデルの理解で十分戦えます。
    • 濃度変化の傾向をイメージすることは重要である。Context-sensitive half timeの概念はその理解の一助となる。

    今回のポイント


    • L3/4(どっちか迷ったら下の方から)、正中アプローチ、tubing up (3.5-) 4cm!
    • S領域に効かせるのが大事!分娩2期に痛がる。
    • 最初の投与で範囲を広げるのが重要(硬膜外針から直接投与、座位をとるなど工夫)
    • S領域への効きが悪い場合、カテーテルを1cm引き抜くと改善することが多い
    • 初回投与 0.1-0.2%アナペイン 5ml + フェンタニル 0.5-1.0ml × 3-4 回(5分ごと)
    • 初回投与(急激な鎮痛)が効いてくる頃(20-30分後)に子宮の過収縮(陣痛の波が治まる前に次の波がかぶる)により胎児徐脈が発生することが結構ある
    • 持続 0.08%アナペイン + フェンタニル2μg/ml 8-10 ml/hr
    • 緊急C/Sで無痛分娩のカテーテルを使う場合
        2%xylocaine 3 ml×5回 or 5ml×3回 (適宜、メイロン1ml、フェンタニル1mlなどを混ぜる)

    今回のポイント


    • 電気的除細動に抵抗性のVT / VFの治療における第一選択はアミオダロン、ニフェカラント
    • アミオダロンはKチャネル遮断薬だが、Naチャネル・Caチャネル・β遮断の効果を合わせ持つ
    • 適応は
      ① 生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合(心室細動と血行動態が不安定の心室頻拍)
      ② 電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍
    • 術中に使う時はDCかけても戻らないor繰り返すVT / VFに対して→②のときが多いだろう
    • 初回投与は300mg(2A)を5%TZ 20mlに希釈して急速静注、持続する場合は150mg(1A)を追加投与
    • 再発予防の維持量は750mg(5A)を5%TZ 500mlに希釈し17ml/hで投与(約0.5mg/min)
    • ①で使う時は150mgを5%TZで希釈して10分間で投与、維持量は一緒
    • 海外では心房細動の治療にも使われる(洞調律維持+心拍数維持)→①と同じ使い方
    • 溶媒に生食を使うと沈殿するので注意、投与ルートは非吸着性ルートの使用が推奨される

    今回のポイント


    • オピオイドは細胞内シグナルを介して、Caチャネルの抑制およびKチャネルを開口することで痛覚伝導路の電気シグナル伝達を抑制する。脊髄-脳幹におけるシグナル伝達の阻害が主な鎮痛効果発現機序とされるが、シグナルの発生、認知、情動、行動、下行性抑制路にも関与している。
    • 弱オピオイドにはpartial agonistと、代謝によりfull agonistになる薬物(トラマドール, リン酸コデイン)がある。
    • ERASおよびopioid sparingにおいて経口トラマドール合剤の有効性を検討する動きがある。

    今回のポイント


    • 帝王切開に対する脊椎麻酔および硬膜外麻酔の注意点は、非妊婦に対するものと概ね同じである。
    • しかし当然ながら、妊婦に伴う生理的な変化および胎児に対する影響を常に考慮しなければならない。
    • 無痛分娩に対する硬膜外麻酔は、出産経過にも影響を与える可能性があり注意が必要である。

    今回のポイント


    • 妊産婦は脳卒中を起こしやすく、特に日本人は脳出血が多い(妊産婦死亡原因の第2位!を占める)
    • 日本産婦人科医会の報告では、脳出血による死亡の危険因子は 【収縮期血圧160 mmHg以上】
      ⇒ 帝王切開の麻酔中には、この点を十分意識して管理すべきである!
    • 脳血管異常合併妊娠やHELLP症例は言うに及ばず、Low riskな妊娠高血圧症候群症例でも注意を!
    • C/S(特に緊急)における、全身麻酔導入時に「血圧が上がるのは仕方ない」というのは、もう通用しない
      ⇒ フェンタニル or レミフェンタニルによる十分な鎮痛は、新生児APGAR score(5分値)に影響しない
      ⇒ 小児科医に「出生後数分間は、児の呼吸抑制が起こる可能性がある」ことは、事前に伝えるべきか
    • もちろん、覚醒・抜管時も血圧を上げないよう気を付けよう(最後まで気を抜かない、決して急がない)!
    • 脊椎麻酔でも、血圧が上がってくることがある ⇒ 主治医と相談の上、降圧を考慮(Ca拮抗薬など)
      ⇒ PIHに対するメチルエルゴメトリン静注は原則アウト、やるなら覚悟をもって、ゆっくりと投与!

    今回のポイント


    • 麻酔導入時、短時間で筋弛緩作用を得て早期に気管挿管を完了させることは、低酸素血症の危険性、誤嚥に遭遇する可能性を減少させるため、患者の安全に寄与する。
    • 導入時のロクロニウム投与法には「ボーラス」・「タイミング」・「プライミング」というキーワードがある。
    • プライミング・プリンシプルは作用発現の遅い高齢者では有用性がある。
    • プラミングは筋弛緩作用が出現しない量で行う(近年はロクロニウム0.03mg/㎏が推奨されている)。

    今回のポイント


    • 近年では区域麻酔による帝王切開において漫然と酸素投与を行うことは推奨されない。
    • 母体と胎児の状況によっては高濃度酸素(FIO2 0.8以上)を投与することを検討する。
    • 硬膜外麻酔併用脊髄くも膜麻酔時は、術後に硬膜外腔へ麻薬を投与してもよい(過量投与に注意)。
    • 全身麻酔による帝王切開では、挿管時からレミフェンタニルを投与してもよい。

    今回のポイント


    • プラザキサ(ダビガトラン)の中和剤
    • 薬価は199,924円 / V!!製品は1箱につき2Vが入っている。1Vは2.5g / 50ml の製剤
    • 適応:生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時,もしくは重大な出血が予想される緊急を 要する手術又は処置の施行時におけるダビガトランの抗凝固作用の中和
      ⇒ 麻酔科が使うときは緊急で来た患者がプラザキサを内服していた時
    • 使用方法:1回5g(2.5g / Vなので2V使用)を急速静注 or 5~10 min / Vで点滴静注
    • 使用する際は前後でルート内を生食でフラッシュが推奨
    • 禁忌:この製剤に過敏症のある人、慎重投与:遺伝性フルクトース不耐症の患者 ⇒ 要は<特になし>
    • プラザキサ以外の抗凝固剤(ヘパリン、ワーファリン、Xa阻害)は使用可能
      ⇒ 中和した後にヘパリン化して人工心肺という事は可能だが、使うタイミングは難しい(後述)

    今回のポイント


    • 術中の麻酔深度の評価は主に患者のバイタル変動を指標としている。しかし、麻酔科医の経験や主観などに左右される。
    • Bispectral Index (BIS)により、脳波を簡便に解析し、意識状態を0~100までの数値で表すことができる。術中の至適麻酔深度は40~60とされる。
    • BISの有用性と限界を知り、正しく使用するためには、BISの原理を知らなくてはならない。

    今回のポイント


    • 過去の多くの報告から、ASA-PSが手術後の予後予測因子として有用であることが既に知られている
    • しかし、同一患者に対する分類が判定者(施設)によって異なることにより、信頼性が低いことも事実…
    • ASAはこの問題を解消するため、2014年~ホームページ上で、より具体的な記載(解説)を掲載した
    • その中で、これらの項目はちょっと意外に感じるかもしれない(素直に従うべきか、否か…??)
      • PS 3 : 肥満(BMI>40!)、安定(定期的に)している透析
      • PS 4 : 重症弁疾患、敗血症、急性腎障害(未透析)、3ヶ月以内のPCIや脳血管障害(TIAも!)
      • PS 5 : 圧迫所見を伴う頭蓋内出血、胸/腹部大動脈瘤破裂、重度外傷、特殊(末期的)な腸管虚血
    • また、他にもいくつかの問題がある。たとえば…
      • 肥満: 日本においてはBMI>35で麻酔困難症例! ⇒ PS3と判定するのは妥当な範囲であろう
      • 年齢: ASAの分類では、実は年齢は明記されていない! ⇒ 高齢者&小児の扱いで差が生じる
      • その他、主観的な要因(休日・夜間、重篤さ・Frailty、合わせ技一本!など)でPSが容易に変化する
    • 以上を理解した上で、少なくとも同一施設内で最低限コンセンサスを形成しておくことは重要だと思う

    今回のポイント


    • 2013年の心房細動治療ガイドライン改定から、CHADS2スコア1点から抗凝固療法の適応となった
      (プラザキサかエリキュース:DOAC)
    • CHADS2スコア2点以上もまずはDOACが推奨される
    • DOACのなかで、プラザキサは腎排泄率80%のため、腎機能によって休薬期間が違うので注意が必要
    • 手術侵襲と患者の状態に応じて、抗凝固療法の継続or中止を判断する必要がある
    • 歯科・眼科・皮膚科といった体表手術において抗凝固療法は継続が推奨される(classⅡa)
    • 弁膜症性心房細動にはワルファリンのみが適応。血栓形成の高リスク群であり、その中止の際は必ず
      ヘパリン置換を行う必要がある(自験例)
    • ペインクリニック学会から新しく出た「抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン2016」では手技の出血リスクを高リスク・中リスク・低リスクの3つに分類して、そのリスクに応じて休薬期間を定めた
    • 不必要な抗凝固療法の中止にはNO!と言える麻酔科医になろう

    今回のポイント


    • 最近、整形外科手術において、術前・術中に 『トランサミン静注して下さい』 と依頼されることが増えた
      ⇒ 麻酔科医として、それらのエビデンス(含:安全性)に関しても最低限知っておくべきであろう
    • トラネキサム酸(TXA)の出血量を減少させる有用性は現時点で『明らか』であり、最近では次の興味として投与時期・量・経路・副作用発現の危険因子といったものを検討する方向にシフトしている
    • その他、フェイスシールドによる気道へのアプローチ困難、追加ルート確保困難、腕神経叢障害など。
    • 重篤な副作用のうち、血栓症や急性腎不全に関しては、今のところ増えたという報告は無いようだ
    • 痙攣は死亡率の増加とも相関する重要な副作用であるが、これは用量依存的に起こると言われている
    • TXA投与時は、急激な血中濃度の上昇を伴うような投与法(= bolus)は避ける!
    • 腎機能低下症例や高齢、るい痩患者では特に注意が必要!

    今回のポイント


    • 腹腔鏡+頭低位、両腕の体側面への固定、フェイスシールドの使用、術者とのコミュニケーション困難などが全身麻酔管理の上でのポイント。
    • 腹腔鏡+頭低位:気道内圧の上昇、無気肺の増加、頭低位と高炭酸ガス血症による頭蓋内圧の上昇、眼圧上昇による失明の危険、気道浮腫、高度な皮下気腫、下肢コンパートメント症候群などの可能性。
    • その他、フェイスシールドによる気道へのアプローチ困難、追加ルート確保困難、腕神経叢障害など。
    • 麻酔導入前後からINVOSを頭部と下肢に装着して局所混合血酸素飽和度(rSO2)を測定し、脳血流・下肢血流の低下がないかモニタリングする。
    • ロボット操作時間(コンソール時間)や、出血量、rSO2値の低下がどの程度になった場合に、中断(ロールアウト)して開腹手術に移行することを提案するか検討が必要。

    今回のポイント


    • 現在の周術期における多くの治療介入(DOAもしくは類似薬、CCB、ACE阻害剤、N-アセチルシステイン(NAC)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、重炭酸ナトリウム、抗酸化剤およびエリスロポエチン(EPO)等)は腎保護に有用、もしくは腎障害を増大させるものでもない。
    • 術中の尿量から術後腎機能増悪は予想しえない。
    • hANPの使用はその中でも術後腎保護に影響を与える可能性はある。

    今回のポイント


    • PONVの明確な定義は存在しないが、概ね術後24時間以内のnausea and/or vomitingを指す。
    • PONVの発症率は検査前確率10%として、リスク1つにつきオッズ比2.0増えると考える。
    • 予防薬の効果は、オンダンセトロン、デキサメタゾン、ドロペリドール、経皮スコポラミン、ジフェンヒドラミンはいずれも相対リスクは 0.75くらいである。しかし本邦では、オンダンセトロン、パロノセトロンおよびアプレピタントは抗癌剤の悪心・嘔吐にのみに承認されており、周術期の適応はない。スコポラミンのパッチ製剤はない。
    • 突然死を誘発する可能性があることから、ドロペリドールは2001年にFDAから除外されている。
    • メトクロプラミドは他の制吐剤と比べて効果が弱く、推奨度は低い。
    • 当院での最善の予防策は、TIVA、術中は膠質液を使って輸液多め(目標15-30 ml/kg)、NSAIDsやアセトアミノフェンでオピオイド減量を目指して、ドロペリドール1.25mg静注、デキサメタゾン3.3mg静注、ジフェンヒドラミンとプロクロルペラジン内服指示(または胃管投与)、そしてとどめはミダゾラムで鎮静することである。

    今回のポイント


    • 乳児では原則無鎮静 or フェンタニル少量がよさそう (アトロピン併用すると better ! )
    • 当施設のファイバーでは、PentaxのFI-9RBS(OD: 3.1mm)が最も適する (⇒ ID: 3.5mm以上)
    • より細いファイバーもあるが(OD: 2.5mm…??)、画質・ピント的に意識下挿管に耐えるとは思えない
      ⇒ ID 3.0mm以下が必要なケースがあれば、耳鼻科やNICUに問い合わせが必要であろう
    • いずれにしても、うちでは経験がほぼ無いため、他科の協力は必須か。
      軽症例での練習も検討…??










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