研究課題 | 「認知症本人と家族支援のためのWebサイト」の充実と教育的活用の効果に関する研究 |
研究代表者 | 竹内登美子 |
超高齢者社会に突入したわが国においては、「認知症本人とその家族に対する支援」に関する研究、及び認知症ケアに関する教育等は、非常に緊急度の高い重要な課題です。 本研究は、2009―2012年度の文部科学省基盤研究(B)に採択された、『認知症本人と家族支援のための「健康病・介護体験の語り」Webサイトの構築と評価』の成果を発展させる取組みです。2013年7月に公開した「認知症本人と家族介護者の語りWebサイト」及び「そのWebサイト構築の基である語りのアーカイブ」を、一般の人々、認知症ご本人とご家族、さらに看護学生の方々に活用してもらい、その影響や教育効果を明らかにします。また、新しい教育プログラムの可能性を探究するという目的を掲げて、認知症に関する情報不足の解消と看護学教育の充実を目指しています。 |
「認知症本人と家族介護者の語りデータベース」を作成し、「健康と病の語りディペックス・ジャパン」が運営するWebサイトhttp://www.dipex-j.orgに公開しました。
研究課題 | 認知症本人と家族支援のための「健康・病・介護体験の語り」Webサイトの構築と評価 |
研究代表者 | 竹内登美子 |
わが国全体における認知症患者は、現在170万人と推計されており2025年には倍増する見込みです。この数値はあくまでも推計であり、わが国全体の認知症有病率の実数は未だ把握されていません。また、健康問題だけでなく雇用不安をも抱える若年性認知症を含む認知症の人が、どこでどのような暮らしをしながら、どのような医療・介護サービスを受けているかといった実態も十分には把握されていません。このような状況の中、認知症の人やその家族が抱える不安や悩み、そして介護者の負担は増大し続けており、「認知症本人とその家族に対する支援」に関する研究は、非常に緊急度の高い重要な課題だと考えています。 研究代表者である竹内は、老年看護学を専門とする大学教員です。共同研究者には精神看護学、社会学、薬学、臨床心理学、老年医学等の専門家がおり、認知症の人と家族の介護体験をとりまく個別的状況や、各地の文化に対応した思考プロセスを掘り下げて、深まりのある質的データとして提示できるように話合いを重ねて来ています。 初年度はインタビューガイドの作成等の準備に費やし、2年目となった本年4月からインタビューを開始しました。12月末現在で、6名の認知症の人と10名の家族介護者からお話を伺うことができました。言葉が消えていく不安感、昨日まで出来ていたことが急にできなくなる事に戸惑う家族の思い、そのような状況だからこそ強まった絆等、認知症の人や共に暮すご家族の日常が胸に迫ります。表情や声の調子等の情報が加わった語りは、同じような状況にいる人々や、高齢社会の新しい文化を創造しようとする人々に、多くのヒントを提供してくれることでしょう。早期に病気と向き合い適切な対処がとれるようになること、早期治療や介護サービス利用等に向けた意思決定の助けになること、更には一般の人々の認知症に対する偏見が改善することも期待しています。 今後、認知症の方と家族介護者を合わせて50名程のインタビューを行い、最終的にはデータの二次利用を目的としたデータベースの構築によって、学術研究や保健医療教育を支援したいと考えています。 |