教授からのメッセージ

高津先生お写真免疫システムは病原体に対する宿主の高次制御機構として発達進化してきました.今世紀に入り,免疫システムの作動と制御機構の研究が爆発的に進展し始めました.その特徴は病原体構成分子を識別する分子(TLRs, NLRs, RLRsなど)が同定され、それらを介する貪食細胞や免疫担当細胞の活性化が自然免疫系を活性化し病原体を排除するのみならず,免疫記憶を伴う獲得免疫の成立を制御することが分子レベルで明らかにされたことです.更に,近年TLRsなどが内在性のリガンドによって活性化されること,それが代謝異常を引き起こすことなどが明らかにされてきました.今後は免疫現象の理解を基盤として生命科学の基礎から応用にいたる迄の先進的な研究が推進され,免疫を制御し重篤な疾患の治療に結びつける天然物や化合物の幅広い探索研究が展開するであろうことは間違いありません.社会的にも,免疫病の予防,診断,治療及び創薬探索研究をグローバルに推進することが求められております.また,「くすりの富山」の更なる発展を目指して,ポストゲノム時代における創薬探索や育薬を学術的に支える技術の開発と人材育成が県民の皆様からも期待されていると思います.

富山大学大学院医学薬学研究部(医学)では免疫学講座を中心として活発に免疫学の教育・研究活動が展開されており,国際的に注目される研究成果も報告されています.和漢医薬学総合研究所におきましては,和漢薬の生物活性とその作用機序の解明を目指して,植物の遺伝子レベルの解析から有効成分の同定と生理活性の検索,作用機序の解明などの研究が活発に展開されており,国際的にも注目されています.先端生命科学研究センターでは,病態モデルマウスの管理・維持を通じて高次機能調節系の研究に多大な貢献をされています.

このような時代的および社会的な背景をもとに,平成19年4月に免疫バイオ・創薬研究講座(寄附講座)は富山県ならびに富山県内外の製薬企業様のご支援により開設されました.当寄附講座は免疫システムの作動と制御機構に関する基礎研究のみならず応用研究にいたる先進的な研究を推進するとともに,県内製薬企業との交流を通じて,富山県におけるバイオテクノロジーと医薬品開発研究を一層推進することを目指します.我々は目標達成に向け,総力をあげて研究活動を推進しています.また,富山大学での教育・研究活動にも積極的に参加し,富山大学における先端生命科学の教育・研究に貢献したいと思います.意欲的な研究者,学生の積極的な参加を期待しています.

富山大学大学院医学薬学研究部(医学)
免疫バイオ・創薬探索研究講座
客員教授  高津 聖志