富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二(第二内科)

診療のご案内
循環器内科/腎・高血圧内科
第二内科トップ > 診療のご案内 > 循環器疾患 > 和温療法についてのご説明

心不全・閉塞性動脈硬化症に対する和温療法について

和温療法とは

主に慢性心不全や閉塞性動脈硬化症に対する低温サウナを用いた治療法を和温療法と呼びます。鹿児島大学を中心に500例以上の患者様でその安全性と有効性が確かめられ、いくつかの大学病院や基幹病院などで導入が進められています。これまで富山県で和温療法を導入した施設はありませんでしたが、当科で2007年10月から開始しました。

特徴
通常のサウナ(90℃〜100℃)とは異なり、60℃の乾式低温サウナでゆっくりと深部から体を温めます。このため熱刺激による血圧や心拍数の変化がほとんどなく、軽症から極めて重症の患者様まで安全に、心地良く治療していただけます。
なぜ効くのか
現時点ではそのメカニズムの詳細は解明されておりませんが、以下のことが考えられています。
  1. 血管拡張による心臓の負担軽減
  2. 血管拡張や血管新生などによる末梢循環の改善
  3. 精神的なリラックス効果
方法
当院の東5階病棟で以下のように行います。
  1. 血圧、脈拍、体重の測定
  2. 60℃に設定した低温乾式遠赤外線サウナ室に15分間入浴
  3. 出浴後リクライニングシートで30分間の安静保温
  4. 保温終了後に再度、血圧、脈拍、体重の測定
  5. 発汗で失われた水分の補給
  6. 導入時には1〜5を週4〜5回、以後週2〜3回で継続
注意点
  • 和温療法に要する費用はありません。ただし、通院や和温療法以外の治療や検査に要する費用は従来通り負担していただきます。
  • 患者様によって治療効果の程度は異なります。早い人では1〜2週目で効果が出る場合もあります。
  • 本治療は通常のサウナとは異なりますので、通常のサウナを用いて自己判断で上記のような治療をすることは危険です。
【導入(200710月)〜現在(20096月)までの当科における成績】

  和温療法を受けられた患者数(短期間を含む)
 計
50人 (30人、女20
 慢性心不全 
21人、虚血性心疾患 29
  和温療法の初回時の患者様の印象
   (
5段階評価;1悪い、2あまり良くない、3どちらでもない、4良い、5かなり良い)
   全
50人中 1;1人、22人、38人、433人、56

 慢性心不全患者の治療成績

総合評価(慢性心不全患者全
21人中);効果あり14人、不変7人、悪化0
(症状、心機能、運動耐容能のいずれかで改善を認めた場合を効果ありとした)

和音療法の効果1和音療法の効果2

上記のように心エコーで評価した心機能、6分間歩行距離、身体活動能ともに3週間の和温治療で改善が認められました。

和温療法が著効した一例

63歳 男性拡張型心筋症】

和温療法前3週間後4か月後

     和温療法前          和温療法3週後         和温療法4ヶ月後

レントゲン上、4ヶ月で心臓が著明に小さくなっている(心不全が改善している)のが分かります。

 この患者様は、和温療法導入以前の心不全コントロールが不良であった時期に不整脈(心室頻拍)を認めていたため、後にICD(植え込み型除細動器)を入れましたが、和温療法導入後は不整脈の出現はありません。もちろん和温療法以外の薬物治療はこの間変更しておりませんので、和温療法の効果と考えられました。

症例経過SF-36

 この患者様では、NYHA心機能分類や身体活動指数(SAS)などの心不全症状を表す項目、6分間歩行距離や最大酸素摂取量(peak VO2)などの運動耐容能を表す項目、ノルエピネフリン(NE)やBNPなどの採血で見る心不全指標、心エコー検査で評価した心機能のいずれでも改善が認められました。そしてSF-36で評価したQOL(生活の質)も改善しております。

【和温療法導入後の印象】

 慢性心不全に対する薬物療法は10数年前に比べると心不全の症状改善効果、生存率ともに飛躍的に進歩しておりますが、それでも薬のみでは治療困難な重症例にしばしば遭遇します。また、心臓再同期療法や運動療法などの心不全の非薬物療法も有用ですが、すべての重症心不全が適応になるわけではありません。

 そこで、以前より私どもが行っている酸素療法に加え、この和温療法という治療手段を得たことで、当科における心不全治療の幅が大きく広がりました。これまでの治療成績からも、和温療法は安全でかつ有効な治療法であるとの印象を強く持っております。

 和温療法は侵襲の少ない(多くの患者様にとっては心地の良い)治療であり、軽症から重症まで、そして心不全に限らず幅広い疾患を対象に治療を行うことができるという大きなメリットがあります。これからもこの治療を進めて行き、多くの患者様に効果を実感して頂きたいと思っております。どのような症例に特に有効であるのか、また和温療法の効果発現機序の詳細を明らかし、この治療を発展させて行きたいと考えております。

  このホームページをご覧頂いた患者様や医療従事者の方々で、和温療法に興味を持たれた方は是非当科へ御連絡(御紹介)頂きたいと存じます。

 現在当科では「薬物療法で治療不十分な慢性心不全患者様」「カテーテル治療困難な慢性完全閉塞(CTO)病変を持つ患者様」を積極的に治療しております。患者様を御紹介頂ける際には、「富山大学 第二内科 和温療法目的 能澤 孝 宛」に御紹介頂くか、または第二内科へ直接電話連絡(076-434-7297)して頂けますようお願い申しあげます。

 

和温療法の実際

1.浴衣型の病衣に着替えて、治療前の体重と血圧を測定します。 和温療法の実際1
2.低温サウナ(60℃)に15分入ります。
  • 外部と話しが出来ます。
  • ナースコールもあります。
  • 音楽を聴きながら行えます。
和温療法の実際2
3.低温サウナが終了したらソファに移り、30分間、タオルを全身に巻いて保温します。 和温療法の実際3
4.治療後に、体重と血圧を測ります。 和温療法の実際4
5.汗を拭いて、終了です。 和温療法の実際5

ページトップへ戻る