診療のご案内


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  • EUSによる膵臓・胆道疾患の診断
  • EUS-FNAによる診断
  • EUS-FNAを応用した治療
  • 経口胆道・膵管鏡検査による診断
  • 総胆管結石の内視鏡治療
  • 慢性膵炎・膵石症の非手術治療

超音波内視鏡検査(EUS)は、内視鏡胃カメラの先端に超音波観測装置(エコー)を装着した特殊な内視鏡機器です。EUSはCTや腹部超音波検査よりも、膵臓を詳しく観察できる検査機器の1つです。5年生存率が8%、最も手ごわいと言われる膵がんも、1cm以下で発見されれば5年生存率は80%です。

こうした「早期の膵がん」を見つけるのに不可欠な検査がEUSです。その他にも、膵嚢胞や胆嚢ポリープの治療方針を決める上でも重要な情報を得ることができます。

当院では培われた経験をもとに、最新鋭(注)のEUSで的確な診断を提供します。

写真:EU-ME2 PREMIER PLUS (注)2019年現在

超音波内視鏡で対象病変を観察しながら針生検を行うのが超音波内視鏡下針生検(EUS-FNA)です。これまで病理診断のための検体採取が難しいとされてきた膵臓や縦隔・腹腔内のリンパ節・腫瘤の検体採取が安全かつ簡便に行えます。

当科では世界各国で指導実績を有する医師のもと検査を実施しています。

膵臓の嚢胞や膿瘍、胆管閉塞に対して、外科手術ではなく、超音波内視鏡(EUS)を使ってチューブを留置し、排液する治療法を行っています。

1, EUS-FNAを用いた膵臓嚢胞ドレナージ



2, EUS-FNAを用いた胆管閉塞に対する各種治療

極細径の内視鏡を胆管や膵管内に直接挿入して内部を観察する最新機器を導入しました。胆管や膵管は直接内視鏡で見ることが困難でしたが、この機器を用いることで、詳細な観察だけでなく、異常な病変部の組織を直接採取することができます。

当科ではこの新規胆管鏡を常に装備し、CTやMRIなどの検査で診断困難な胆管・膵臓の病変の診断を随時行っています。

ほぼすべての総胆管結石が、外科手術を行うことなく内視鏡的に治療できます。

一般に治療が難しいと言われる巨大な結石や胆管にはまり込んでいる結石、胃切除後でも、経口胆道鏡や小腸内視鏡、EUSなどを用いて治療します。

慢性膵炎の痛みの原因となる膵石や主膵管の狭窄に対して、経口胆道鏡での結石破砕、内視鏡的なチューブ留置や結石除去を行っています。

Biliary&Pancreas

  • 内視鏡診断・治療
  • 早期食道癌の内視鏡治療
  • 早期胃癌の内視鏡治療
  • 早期大腸癌の内視鏡治療
  • 機能性消化管疾患
  • 炎症性腸疾患

当院では早期癌の内視鏡治療に関するご紹介のほか、緊急の上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査に加え、カプセル内視鏡や、ダブルバルーン内視鏡検査を用いた小腸内視鏡検査を行うことが出来ます。

【1】精密内視鏡検査

当院は診断・治療困難と言われた患者様が、紹介受診される医療機関の1つです。

しかし、ご紹介頂いた全ての患者様が内視鏡で治療できるわけではありません。そのため、一人ひとりの診断に時間をかけ、治療内容についても丁寧な説明を心がけ、診療にあたっています。

 内視鏡の画質・性能が向上したため、いままで発見されなかった早期癌が発見されています。しかし、内視鏡で切除するためには、病変の範囲・そして深さなどを正確に診断する必要があります。当院では最新の検査機器を用い、経験豊富な内視鏡専門医による診断を行っています。

 そのため、治療適応と術前精密検査のために当院でもう一度内視鏡検査を受けて頂く必要があります。

高精細拡大内視鏡の使用と、正確な病変範囲診断


超音波による癌浸潤評価と大腸癌拡大診断


下記コンテンツもご覧ください。

・早期食道癌の内視鏡治療

・早期胃癌の内視鏡治療

・早期大腸癌の内視鏡治療



【2】消化管出血に対する対応

胃や十二指腸、大腸からの出血は通常の検査で対応可能ですが、小腸からの出血は診断・治療に苦慮します。

最近は血液の凝固を抑える薬が処方される場面が増え、原因不明の消化管出血の患者様も増加しています。

当院では、あらゆる消化管出血に対応できる設備と、経験豊富なメディカルスタッフで対応しています。

食道静脈瘤・胃潰瘍からの出血では内視鏡止血術で対応しています


バルーン内視鏡・カプセル内視鏡は緊急可能な体制を作っています


近年小腸出血が増加しています。出血だけでなくあらゆる小腸疾患の診断・治療で、数多くの検査経験と診療実績があります。




【3】日帰り大腸ポリペクトミー

当院では大腸内視鏡検査とポリープ切除術を日帰りで行っています。特に休みがなかなか取れない方に向いています。

いままでの入院治療と同じ方法で切除しますが、病変の大きさや治療後出血の程度によっては入院となる場合があります。

また検査前日に専用の検査食を食べることで、通常2リットルの下剤を1.5リットルに減らして検査を行っています。

検査食の使用で通常の3/4に下剤を減らしています。少し大き目のポリープであっても日帰り手術をしています。※個人差あり

便潜血陽性(大腸癌検診)を指摘された場合、ぜひ当院にご相談ください。

食道癌の内視鏡治療、特に内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD)は難易度の高い治療法です。また病変の大きさが大きいほど、治療後の合併症を起こします。当院で多くの治療実績があります。


食道ESDが難しい理由として...

 ① 食道は内腔が狭く視野が十分でない
 ② そのため内視鏡操作するスペースが小さい
 ③ また食道の壁は薄く、破れやすい
 ④ 周囲には心臓や大動脈、肺などの重要臓器がある危険部位

当院では安全な方法で食道ESDを行うために、2010年から全例でハサミ型ナイフ(SBナイフ)を用い、手術室で全身麻酔下による治療を行うことで、術中合併症が極めて少ない治療を行っています(2017年までに重篤な術中合併症は0例)。


ハサミ型ナイフ(SBナイフ)による安全な食道ESD法

(左:SBナイフショートタイプ、右:SBナイフjrタイプ)

ルゴールで食道癌の場所を特定し、周囲にマーキングを行います。

粘膜切開は、ハサミで把持して電気で切開していきます。誤った場所を挟んでいる場合は掴み直しができるため非常に正確に切ることができます。粘膜下層の剥離も狙ったところを挟んでから通電し剥離するため、誤って筋層を切ることがなくなります。

筋層に傷がほとんど付かず、きれいに切除が出来ます。かなり大きな病変も内視鏡で切除は可能ですが、適応については個人差がありますので相談して決めます。




食道ESD後狭窄に対する狭窄予防対策

病変の大きさがある程度になると、切除後に食道が狭窄して、食事が通らなくなる術後合併症があります。

 ・病変が3/4周以上に及ぶもの

 ・病変の長さが5cmを超えるもの

従来狭窄に対しては、内視鏡的バルーン拡張術(狭窄部を風船で無理やり拡張する方法)で1カ月に2回の拡張で多い場合10回以上の拡張術が必要です。

3/4周を超える病変を切除すると狭窄していまいます。

狭窄部をバルーンで広げますが、このとき食道が裂けて孔が空いてしまうことがあります。そのため、拡張はゆっくりと時間をかけて繰り返し行う必要があります。


ステロイド内服による狭窄予防

最近当院では、ステロイド薬を服用して狭窄を予防する方法を採用し、良い成果を上げています。ステロイドには副作用もありますので、全ての人が適応になるわけではありません。最適な治療法については患者様と相談して決定致します。

3/4周を超える病変でもステロイド内服治療により狭窄が少なく治ります。バルーンによる拡張はほぼ必要としません。

範囲診断が難しい時の工夫

胃癌の場合、最新のシステムであっても診断が困難な場合があります。このような病変では、範囲を誤ると胃癌を取り残してしまう危険性が高いため、難しい場合は富山大学に紹介されます。

当院では「酢酸NBI法」を用いて、早期胃癌の範囲診断をより確実なものにしています。

↑通常の観察方法(左)では範囲の決定が困難であるが、酢酸NBI法(右)では境界が鮮明に浮き上がった。

この研究内容は、日本消化管学会総会ワークショップで発表し、評価されました。



高度な治療技術を要する早期胃癌の治療例

①巨大な病変

この胃癌は胃体下部前壁~小彎~後壁にかかる大きな病変でした。また範囲診断も困難で前述の「酢酸NBI法」で範囲を決定しています。

大きな胃癌でしたが一括で切除でき、完全治癒切除でした。



②瘢痕病変

噴門部小彎の病変は治療困難部位といわれていますが、さらに潰瘍瘢痕を伴った早期胃癌では治療難易度が高くなります。これら治療困難病変に対しても当院では適応について相談し、可能な限り内視鏡治療を行います。

写真は潰瘍治癒後の状態で写真中央で少し凹んでいます。この瘢痕部分では病変と筋層が硬い組織で癒着しているため、病変剥離時に胃穿孔を起こす危険性が非常に高まります。

偶発症なく一括・治癒切除でした。

③治療困難な部位の病変

弓窿部は、内視鏡を反転させても病変部分に直接アプロ―チすることができず、内視鏡治療をする中で最も治療困難な部位です。

この症例は噴門部から弓窿部にかけての大きな病変で、図のようなマーキングを行いました。電気メスで切開が困難な部位ではハサミ型ナイフを用いて治療の工夫をしました。

この部分も筋層は薄く剥離時に容易に露出します。また非常に出血も多い部分であり、相当な経験と技術が必要な病変です。


2cmを超える腫瘍や早期大腸癌の治療

2cmを超える大きな腫瘍では従来の方法では病変をひとまとめに切除(一括切除)が困難です。切除できる大きさに分割して切除する方法(分割切除)もありますが、きわめて再発率が高いことが知られています。

これらの理由から大きな病変は無理に切除をしないで、当院に紹介されるケースが多くなっています。


大腸悪性腫瘍粘膜下層剥離術(大腸ESD)

当院では、病理組織または内視鏡所見で大腸癌と診断された患者様に、大腸ESDを積極的に行っています。

盲腸部の約25mmの腫瘍で中心陥凹部に早期癌を認めました。
病変の重みを利用して、病変の裏側を内視鏡で剥離していきます。

病変の裏側にもぐりこみながら剥離します。この時、潜り込みやすいように患者さんに体位変換をしてもらいながら剥離を進めていきます。



しかし重力がうまく利用できない時も・・・

体位変換

図のように体位変換して病変がめくり返る場合もあれば、効果が無い時もあります。誰かが病変の一部を引っ張ってくれていれば...
内視鏡は一本しか入りません。誰かに介助してもらうこともできません。



治療時間の短縮と安全性が向上しました

病変の一カ所を常に引っ張っておく内視鏡治療具(S-Oクリップ)を採用し、より短時間でより安全な治療を行っています。

クリップにバネが付いており、切除病変をバネの力で引っ張る

病変の周りの粘膜を全て切開しておきます。

病変の一部にS-Oクリップをつけ手前に引っ張ります。こうすることで患者さんの体位変換も必要なく、また一定の力で病変粘膜が引っ張られるため、スピーディーで安全な粘膜剥離が可能になりました。

治療成績

治療時間の短縮と一括切除率が、従来の重力を用いた方法よりも成績がよくなったという結果です。(2018年米国消化器内視鏡学会での発表スライドより引用;GroupAが従来法, GroupBがSOクリップ使用群)

米国内視鏡学会報告の詳細はこちらからご覧になれます。


見た目では異常がないのに腹部症状を生じる疾患を総称して機能性消化管疾患と呼びます。 胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、慢性便秘症が代表です(図1)。


胃食道逆流症(以下GERD)は、胃内容物が食道に逆流し、胸やけや呑酸(どんさん)の症状を認める疾患です。 典型的な内視鏡所見は、食道と胃の境界部分に潰瘍やびらんを認めます。GERDの原因の多くは胃酸の逆流であり、 H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬で胃酸分泌を抑制することで症状は改善します。 通常のプロトンポンプ阻害薬では胃酸抑制が不十分な場合は、近年使用できるようになった、 更に強力に胃酸を抑制できるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)を試みています。
胸やけなどの症状が存在するにもかかわらず、内視鏡検査で異常を認めない場合は非びらん性胃食道逆流症(以下NERD)といい、胃酸抑制薬の効果が乏しく、当院では、唾液分泌障害、膵液逆流、または、胃運動異常の合併を念頭に、 患者さん一人ひとりの病態に応じた治療に取り組んでいます。

胃の痛みや食後の飽満感などの症状を認めるにもかかわらず、画像検査で異常がない場合は、機能性ディスペプシア(以下FD)といいます。胃の弛緩反射の異常や、神経の過敏症、社会的因子、ピロリ菌感染などが関与していると考えられています。ピロリ菌に感染している場合はピロリ菌除菌のみで症状が消失する場合があり、まずは、除菌治療を行います。それでも、症状が残存する場合は、胃の痛みには胃酸抑制薬、食後の飽満感にはアセチルコリン分解酵素阻害薬などを試み、それでも、効果不十分な場合は、当院の特徴でもある「西洋と東洋医学の融合」の点からも漢方薬や、抗うつ薬などを試み、患者さん一人一人に最適な治療方法を提供します。

下腹部痛あるいは腹部不快感などの症状と関連する便通異常を認めるにもかかわらず、画像検査で異常がない場合は、過敏性腸症候群(以下IBS)といいます。下痢が主体の場合は、セロトニン阻害剤、便秘が主体の場合は、近年使用できるようになったグアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストを試み、発酵しやすい食事の制限や生活指導を行っています。

本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態と慢性便秘症が定義されました。大腸がんや、薬剤性便秘などを除外し、排便姿勢を指導します。腹痛、腹部不快感のある便秘は便秘型過敏性腸症候群として、発酵しやすい食事の制限とグアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストを試みます。排便回数が減少し、便が固い場合は、食物繊維の摂取と共に、 年齢、性別、心機能、腎機能など個々人に合わせてちょうどよい便の硬さになるように緩下剤(マグネシウム剤、PEG剤、ラクツロース、クロライドチャネルアクチベーター、胆汁酸トランスポーター阻害剤、グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト、大建中湯)を調整します。それでも、不十分な場合は、漢方薬を含む刺激性下剤を短期間使用します。排便自体が困難な場合や、残便感が強い場合は、直腸の感受性自体が低下している可能性があり、胆汁酸トランスポーター阻害剤を試したり、バイオフィードバック療法などが必要になる場合があります。

機能性消化管疾患に関わる研究のまとめを図2に提示しました。興味のある方は、以下のリンクより参照ください。 (別ページが開きます。スマホ版に対応していない場合もあります。)


1) Fujinami H, et al., Aliment Pharmacol Ther, 2008
2) Mihara H, et al., J Physiol, 2011
3) Suzuki N, et al., Dig Dis Sci, 2015
4) Yamawaki H, et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol, 2014
5) Mihara H. et al. WJG 2016
6) Mihara H. et al. Helicobacter 2017
7) Mihara H. et al. PLOS ONE 2018

1.炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の患者数は増加の一途

本邦の炎症性腸疾患患者は毎年増加しており、2017年報告の全国疫学調査(難治性疾患克服研究事業)によると、 潰瘍性大腸炎が22万人、クローン病が7万人と推定されています。当院の患者数も増加してきており、 潰瘍性大腸炎患者約140人、クローン病患者約90人が定期通院されています。その多くが地域の診療所、 総合病院からご紹介いただいた患者様です。

難病情報センター(http://www.nanbyou.or.jp/)から引用


2.小腸内視鏡検査の進歩が診断の精度を上げています

2000年以降の小腸内視鏡検査の進歩により、クローン病の小腸病変の評価は格段に精度が上がりました。 今や小腸内視鏡検査はクローン病診療に必須と考えられます。我々の施設では、バルーン内視鏡検査、 カプセル内視鏡検査 ともに約100件/年の診療実績があります。

 ▲カプセル内視鏡検査
 ▲バルーン内視鏡検査


3.抗TNF-α抗体製剤の出現により治療目標が変化しました

潰瘍性大腸炎、クローン病は原因不明の慢性疾患であり、根本的治療がありません。 メサラジン製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、栄養療法などで治療されますが、 治療に難渋し入退院を繰り返す場合や手術を必要とする場合もあります。しかし、 最近の治療薬の進歩によりその頻度は少なくなってきました。 特に、2000年代に臨床応用された抗TNF-α抗体製剤が特にクローン病の診療を激変させました。 手術を必要とする患者数は減少し、何よりも患者様の生活の質が大きく向上しました。 治療目標は、臨床的寛解(日常生活を送れる)から内視鏡的寛解(粘膜治癒、内視鏡で観察して腸に炎症がない状態)に変わりました。 内視鏡的寛解が手術を必要とする患者数を減らすこともわかっています。



4.続々と新規治療薬が登場しています

インフリキシマブ(抗TNF-α抗体製剤)から始まった生物学的製剤も新規薬剤が次々に承認されています。 アダリムマブ(抗TNF-α抗体製剤、潰瘍性大腸炎、クローン病)、ゴリムマブ(抗TNF-α抗体製剤、潰瘍性大腸炎)、 ウステキヌマブ(抗IL-12/24 p40抗体製剤、クローン病)、ベドリズマブ(抗α4β7抗体製剤、潰瘍性大腸炎)が現在使用可能です。 生物学的製剤以外でもpH依存型メサラジン製剤(潰瘍性大腸炎)、ブデソニド注腸フォーム剤(既存のステロイドに比して全身性副作用が軽減、潰瘍性大腸炎)、 トファシチニブ(JAK阻害剤、潰瘍性大腸炎)が承認されました。治療の選択肢が広がると同時に適切な治療選択の必要性が増しています。
新しい薬で良好な治療効果を得るには、専門機関を受診する必要があります。私たちは新規治療薬を適切に選択して患者様の生活の質を保つよう努めております。

Gastroenterology

  • 急性肝炎・急性肝障害
  • 慢性肝炎の治療
  • 肝硬変の治療
  • 肝癌の治療
  • ラジオ波焼灼療法
  • 塞栓療法
  • 化学療法
 急性肝炎・急性肝障害には肝炎ウイルス(A型、B型、C型、E型など)、自己免疫性、薬物性などの原因によるものや、原因不明のものもみられます。こうした肝障害の多くは自然に軽快しますが、中には重篤化し、様々な臓器合併症や肝不全にいたるものもみられます。
 当科では可能な限り原因を明らかにし、適切な治療を目指しています。そのため積極的に肝組織生検検査も行い、免疫組織化学的手法なども用いて原因の検索を行っています。
 出血傾向や腹水などにより通常の経皮的肝生検が行えない場合は経頚静脈的肝生検も放射線科と共同して行っております。

 B型肝炎、C型肝炎はウイルスの同定とその増殖メカニズムが明らかとされたことから新規の治療薬が開発されており、積極的に治療導入を行っています。重症例に対しては血漿交換療法を含めた集学的治療を行い、肝移植への橋渡し治療を行い、治療成績の向上を目指しています。

 本邦における慢性肝炎の最大の原因であったC型肝炎ウイルスは、これまで1年以上のインターフェロン治療でも半数程度しかウイルス排除ができませんでしたが、今や最短8週間の1日1回の内服(直接作用型抗ウイルス薬:Direct-Acting Antiviral (DAA)でウイルス排除がほとんどの患者さんで可能となりました。当科では積極的にDAA治療を行いその効果を検討しています。

HCV排除率


 また本邦を含むアジア地域に多く患者がみられるB型肝炎ウイルス感染に対しては、肝疾患の進行の程度や肝炎の状況を把握し、適切に治療(核酸アナログ治療)を行っております。若年者においてはインターフェロン治療を含めた核酸アナログシ―クエンシャル療法などの適応も検討しています。自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎なども肝組織生検結果をもとに確実な診断を目指し、診断に基づいた治療を行っています。
 肝臓は沈黙の臓器といわれるように自覚症状に乏しく、肝硬変の状態で発見されることも多くあります。肝硬変への進行自体も自・他覚所見に乏しく発見困難な場合もあります。当科では、肝組織生検検査に加え、様々な血液マーカーやエコーなどを用いた非侵襲的診断法でその進行度を診断し、適切に治療介入を行っています。

肝線維化

肝硬変が非代償化すると腹水、肝性脳症、消化管出血など様々な重篤な症状を呈することがありますが、新規治療薬を積極的に用いて治療成績の向上を図っています。また肝硬変は脳、肺、心臓、腎臓、腸管、筋肉、精神など全身(心)に及ぶ病態であり、トータルマネジメントを目標に治療を行っています。

腹水

↑難治性腹水治療における既存の利尿剤の減量による生存への効果
出典: Tajiri, et al. Dig Dis 2018




腹水

↑顕性肝性脳症におけるカルニチンの脳症改善効果と脳症再発効果
出典: Tajiri, et al. JNSV 2018




1例1例に対して丁寧に、そして最善の治療法を行うことを目標としており、その良好な治療成績を学会や論文で報告しています。

 肝臓にできるがんの90%は肝細胞癌で、その他肝内胆管癌、混合型肝癌、神経内分泌癌、リンパ腫、転移性肝癌などがみられます。当科では、外科、放射線科との毎週の合同カンファレンスを行い、個々の症例に対し最適な治療方針を決定しています。

肝癌の治療

患者様一人ひとりに対して丁寧に、そして最善の治療法を行うことを目標としており、その良好な治療成績を学会や論文で報告しています。



●下記のコンテンツもご覧下さい。
 ・ラジオ波焼灼療法
 ・塞栓療法
 ・化学療法

 ラジオ波焼灼療法(RFA; radiofrequency ablation)は、経皮的(症例によっては腹腔鏡下、開腹下)に電極を病巣に挿入し、電極周囲を460KHzのラジオ波により誘電加熱し、癌を壊死に陥らせる方法です。1回の焼灼で約3cmの範囲の壊死効果が期待でき、アルコール注入療法などに比べ、はるかに容易にそして確実に病変を治療できることから、現在では肝癌局所治療の中心となっています。
 2004年4月から保険収載され全国で広く使用されるようになりましたが、当科では保険収載前の2000年よりRFAを導入しており、肝細胞癌、転移性肝癌に対し積極的にRFAを施行しております。年間60~100例の症例にRFAを実施しており、県内トップの実績があります。病変の検出・同定の際には造影エコー法やCT/MRI画像をもとにしたV-naviシステム、さらにはCT/MRI画像をデータ解析した仮想超音波像を使用し、より確実な病変の検出を図っており、基本的には肝臓内すべての病変が対象となります。
 治療に際しては、通常のエコーで描出不良な病変や消化管など他臓器に接した病変に対しては人工胸水・腹水を作成した上で、より安全で確実なRFAを施行しております。さらに、血管近傍の病変などに対しては肝動脈カテーテルを用いた肝動脈化学塞栓療法を併用し、治療効果の向上を図っています。また3㎝をこえる大型の病変に対しても、同時に複数本の電極を穿刺したりすることで積極的に治療を行っています。

治療の実際: 横隔膜下の3㎝を超える病変の治療例です。
 ①人工胸水を使用して病変がみえてきますが、肝硬変もあり描出は不明瞭です。
 ②ソナゾイド造影エコーを行うと病変がはっきり確認できます。
 ③人工胸水を通過し最終プランニングを行います。
 ④複数本RFA針を穿刺します(この場合は3本穿刺)。
 ⑤焼灼を行ったあと(通常10分以内に終了)

腹水

 肝臓は肝動脈と門脈の2重支配となっている特殊な臓器であり、肝動脈塞栓療法が可能です。この方法は多発肝細胞癌では世界的な標準療法となっています。細経のマイクロカテーテルを病変近傍の栄養血管まで誘導し、リピオドール(油性造影剤)と抗癌剤を混和した薬液とゼラチンなどの塞栓物質を用いて治療します。当科では通常の方法で効果が乏しい場合や肝予備能が不良な場合には、薬剤溶出性の球状塞栓物質(新規の塞栓物質)を用いたり、バルーン閉塞し薬物を選択的に腫瘍内に注入したりすることで治療効果の改善を図っています。こうした血管治療は放射線科に依頼する消化器内科も多いですが、当科では自科中心で治療を行っており、患者さんの個々の病態、疾患背景を考慮した治療を行っています。


 肝がんは他臓器の癌に比べ、化学療法抵抗性が強く、また慢性肝疾患を背景に発症することから肝臓の機能が低下していることが多く、全身化学療法の成績は極めて不良でした。分子標的薬が進行肝細胞癌に対して初めて生存延長のエビデンスを示し、2009年から使用可能となりました。近年さらに複数の分子標的薬が登場し、また免疫チェックポイント阻害剤も使用可能となってきます。
 当科では治療成績の更なる改善を目指し、分子標的薬と他の治療法を組み合わせた集学的治療を行っております。治療効果によっては切除やRFAを組み合わせたコンバージョン治療を行い、治癒を目指します。また肝胆膵グループとしてJCOGなどの全国臨床研究グループに参画し、治療の標準化や最新治療法の導入も行っています。

Hepatology

  • 造血幹細胞移植
  • 多発性骨髄腫
  • 悪性リンパ腫
  • 急性白血病

1.造血幹細胞移植とは

1)骨髄移植
 骨髄中に全ての血液細胞の源となる「造血幹細胞」が存在することが知られ、これを骨髄機能が低下した患者に輸注する骨髄移植は70年代から臨床応用が始まった。免疫抑制剤や感染管理などの支持療法や、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF) などのサイトカインによる造血刺激などの技術が確立してきた。血縁者ドナーが得られない患者のために英国で74年に骨髄ドナーバンクが設立され、わが国でも1991年日本骨髄バンクが発足し普及した。

2)末梢血幹細胞移植
 末梢血中にも造血幹細胞が増加する事が知られ、化学療法やG-CSF投与により末梢血に動員しされた幹細胞を採取し、 骨髄と同様に輸注する方法が末梢血幹細胞移植である。


2.造血幹細胞移植の種類

造血幹細胞移植には自家Autologousおよび同種Allogeneicがある。自家移植とは患者自身の造血幹細胞を凍結保存して、 治療後に再輸注するものをいう。同種移植とは血縁者または非血縁者から提供された造血幹細胞を輸注するものをいう。 供給源によって骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血移植がある。
骨髄末梢血臍帯血


3.当科における試み

当科では主に悪性リンパ腫や骨髄腫患者に対して自家末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT) を行っている。 自家末梢血幹細胞移植は自家骨髄移植に比べて血球回復が速やかであり、移植片への腫瘍細胞の混入が少ないこと、 骨髄採取に比べ採取が容易であるなどの利点を有することから急速に普及し自家骨髄移植に取って替わってきた。 当科ではB細胞リンパ腫例に対しモノクロナル抗体による腫瘍細胞の除去(浄化)を併用した採取法を試みている。


4.今後の課題

当科では(血縁者間)同種骨髄/末梢血幹細胞移植を準備しており、スタッフの教育などを進め、2003年5月に倫理委員会の承認を得た。 今後は適応ある患者に対して一般診療として同種移植を行う予定である。 そのために意欲的なスタッフを募集している。また移植症例数が増えると骨髄バンク登録施設に認められ、バンクからの(非血縁者間) 同種末梢血幹細胞移植が行え、更には臍帯血移植、 ミニ移植などの新たな移植の技術を樹立することにより、より多くの患者に安全で有効な治療を提供することが期待される。
 腰が痛い…。皆様どこの科を受診されますか?普通は整形外科を受診されることが多いと思います。 腰痛は原因がわからないことが85%にものぼるとの報告(厚生労働省班調査)もありますが、がんからくるものも一部あります。 代表的なものはすい臓がんや、前立腺がんですが、血液疾患でも腰痛で発症するものがあります。それが多発性骨髄腫です。 図に示す4大症状のうち、約半数の患者さんが骨の痛みで発症する血液がんです。




 難治性の病気であり、かつてはこの病気になってしまうともって3年ですということをしばし患者さんにお伝えしました。 しかし、図2に示します様にここ10数年で次々と新しい薬剤が出現し、血液のがんの中では目覚しい治療の進歩が得られている疾患でもあります。 現在発症からの生存の中央値(全ての患者さんの生存期間を並べて真ん中にくる数字)が6年を超えてきています。 当院でも発症後10年を超える患者さんが増えてきており、将来的には完治を望める可能性も出て参りました。



 ただ、やみくもに治療をすれば良いというものでもありません。図3に示します様にこの病気は年配の方に多い疾患です。 どうしても状態の良くない患者さんに強い治療を行うと逆にさまざまな障害が出ることもしばし経験します。 当院では患者さん個人にあった治療を選択(2種類のお薬がいいのか、それとも3種類のお薬がいいのか等)し、 長く生存して頂きたいのはもちろんのこと、その中でも患者さんらしい生活が営める期間をより長くとれるよう治療のお手伝いをして参ります。

 富山県の中でも多くの患者さんの治療を経験している担当医が専門外来にて治療に当たらせて頂きます。 また、多くの臨床試験などに参加し、更なる治療成績の向上に向け、全国の施設と連携し最新の治療を提供して参ります。 腰痛だけでなく、倦怠感(だるさ)など他の症状とともなう方など、是非かかりつけの先生を介して紹介頂ければと存じます。

担当医:和田暁法
悪性リンパ腫は血液のがんです。全身のどこにでも発生し、発生した場所によって様々な症状を引き起こします。気になる症状があれば病院を受診することが重要です。最初は色々な科で精密検査が行われますが、生検と呼ばれる組織検査で悪性リンパ腫と診断された後は、血液内科が担当することになります。次に、病気がどの程度広がっているのか調べる検査を行います。その結果と、悪性リンパ腫の中でもどのタイプなのかによって治療法が決まります。治療の基本は抗がん剤療法ですが、放射線療法が組み合わされることもあります。現在は吐き気止めが良くなって、治療はずいぶん楽になりました。外来で抗がん剤治療を行うことも可能です。



悪性リンパ腫は血液のがん

悪性リンパ腫とはどんな病気?
例えば、肺の細胞ががんになれば肺で増えて肺がんになりますし、胃の細胞ががんになれば胃で増えて胃がんになります。そのような意味では、悪性リンパ腫はリンパ球のがんです。リンパ球はそもそも血液細胞ですから、悪性リンパ腫は血液のがんのひとつとして分類されます。血液のがんと言えば白血病を連想する方も多いと思いますが、悪性リンパ腫も血液のがんなのです。それで、悪性リンパ種も血液内科が担当することになります。

悪性リンパ腫の原因は?
基本的には原因不明ですが、一部の悪性リンパ腫では、EBウイルスやHTLV-1ウイルス、そしてヘリコバクター・ピロリなど、ウイルスや細菌との関連が知られています。また、関節リウマチなどの膠原病に使われるメトトレキサートというお薬が原因になることもあります。なお、悪性リンパ腫がご家族に感染したり、悪性リンパ腫になりやすい体質が遺伝することはありません。


気になる症状があれば病院へ

悪性リンパ腫の症状は?
そもそもリンパ球は血液の細胞ですから、血液の流れに乗って体じゅうのすみずみに回っています。ですから、リンパ球のがんである悪性リンパ腫は、体じゅうのあらゆる場所に発生します。悪性リンパ腫の細胞が首のリンパ節で増えると首のしこりとして自覚しますし、おなかの中のリンパ節で増えると腹囲の増加として自覚されます。脳で増えると認知症のような症状がでることもありますし、胃で増えると胃カメラ検査で発見されることもあります。微熱が続くこともありますし、寝汗や体重減少を自覚することもあります。発生する場所が様々ですから、症状も様々なのです。

早期発見する方法は?
胃がんや肺がんには早期発見のための検診がありますが、悪性リンパ腫の検診というのは聞いたことがないと思います。全身のあらゆる場所に発生しますから、悪性リンパ腫を確実に早期発見する方法はありません。首のしこりのように、体の表面から触ってわかる症状があれば早期に気づくこともありますが、お腹の奥深くに発生した悪性リンパ腫を自分で気づくことは困難です。しかし最近では自覚症状がないうちに、人間ドックの腹部エコーや胃カメラ、大腸カメラで発見されることもあります。

どのようにして発見される?
気になる症状があれば、まずは病院にかかることが重要です。自分が悪性リンパ腫かもしれないと思って血液内科にかかる人はいません。首にしこりがあれば耳鼻科を、微熱が続けば総合内科を受診することになります。それぞれの科で様々な精密検査が行われ、腫瘍があれば生検と呼ばれる病変の採取が行われます。採取された病変は病理医が顕微鏡検査で診断を下します。悪性リンパ腫という診断になれば、血液内科を紹介されます。悪性リンパ腫と診断された患者さんのほとんどは、血液内科へ紹介されるまで、いくつかの病院、いくつかの科を受診して、たくさんの検査を受けているのが実際です(▼下図)。

検査はどのように進められる?
血液内科に紹介されてから行われる検査は、病気の広がりを調べることが目的となります。病気の広がりによって、治療の方針が異なるからです。CT検査やPET検査などの画像診断は重要です。その他には、「マルク」と呼ばれている骨髄の検査が行われます。悪性リンパ腫の細胞は骨髄に入り込むことがありますので、病気の広がりを調べる上で重要な検査のひとつです。これらの検査を外来で行なって待機的に入院して頂くことが多いのですが、進行が早くて生命に危険な兆候が出ているような場合は緊急で入院して頂くこともあります。


治療の基本は抗がん剤

治療はどうする?
悪性リンパ腫の治療において手術という選択肢は一般的ではありません。悪性リンパ腫と同じ血液のがんである白血病に手術が行われないのと同じです。腫れているリンパ節を手術で取ったとしても、悪性リンパ腫の細胞はすでに血液の流れに乗って体じゅうに広がって、目に見えない転移があると考えられています。ですから、治療の基本は抗がん剤になります。点滴で血液の中へ投与された抗がん剤が、大きく腫れたリンパ節や目に見えない転移まで退治してくれることを期待しています。抗がん剤治療に放射線治療が組み合わされることがあります。

抗がん剤治療の種類は?
悪性リンパ腫は様々なタイプに分類され、それぞれのタイプで治療法が異なります。代表的なものとして、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とろ胞リンパ腫についてお話します。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は月単位で進行する中悪性度のタイプですから、のんびりしていることはできません。検査が終了したら治療が開始されます。抗がん剤治療の基本はR-CHOP療法になります。これは、リツキサン®、エンドキサン®、アドリアシン®、オンコビン®という抗がん剤点滴と、プレドニン®という内服ホルモン剤の組み合わせです。点滴は2日間、内服は5日間で、これを3週サイクルで繰り返します。病変が全身に広がっている場合は、この治療法を6回から8回繰り返します。広がっていない場合は3回行なって、放射線療法を組み合わせることが多いです。一方、ろ胞リンパ腫は年単位で進行する低悪性度のタイプですから、あわてて治療することはなく、病変が全身に広がっていても経過観察する場合があります。病気がさらに進行すると抗がん剤治療を開始します。これまでは上述したR-CHOP療法が行われていましたが、最近ではトレアキシン®が選択されることも多いです。これと組み合わせになるのはリツキサン®でしたが、2018年にガザイバ®が登場してからは、トレアキシン®とガザイバ®の組み合わせも選択肢になりました。

抗がん剤治療は副作用が怖い?
抗がん剤と言ってイメージされる代表的な副作用は吐き気だと思います。ただ、今は吐き気止めが良くなっているので、吐き気で苦しむことはほとんどありません。もう一つの大きな問題は脱毛です。特に女性の患者さんにとって髪が抜けるというのはショックなことですが、残念ながらR-CHOP療法で脱毛は避け難いのです。ただ治療が終わればまた生えてきますので、それまでは医療用の帽子やウイッグで対応してもらいます。一方で、上述のトレアキシン®には脱毛の副作用がありません。第1回目の抗がん剤治療は基本的に入院で行いますが、大きな副作用がなければ、第2回目以降を外来で行うことも可能です。

抗がん剤治療はよく効く?
悪性リンパ腫に対する抗がん剤治療は基本的に非常によく効きます。「抗がん剤は効かない」とか「抗がん剤は恐ろしい副作用がある」とか、週刊誌などの情報を鵜呑みにしている患者さんがいます。間違った先入観を捨てて、まずはこうすべきと決まっていることをしっかり行うことが大切です。また、「もう十分に生きたのでこのまま死なせてくれ」と言う、気の早い高齢の患者さんもいます。もちろん、高齢の患者さんでは抗がん剤治療のリクスは増しますが、抗がん剤の種類や量を工夫すれば治療は可能ですから、最初から諦めたりする必要はないと思います。


免疫療法の可能性

免疫療法の適応は?
本庶佑先生が2018年にノーベル賞を受賞して、オプジーボ®による免疫療法が改めて注目を集めました。しかし、オプジーボは一般的な悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)には適応がなく、適応があるのはごく限られた悪性リンパ腫(再発難治のホジキンリンパ腫)だけです。一方で、患者さんから採取した免疫細胞(T細胞)に遺伝子を導入し、リンパ腫細胞のCD19を目印として攻撃するように加工したCAR-T細胞を用いる免疫療法が、再発難治の悪性リンパ腫に効果があると確認されました。この治療法は近々日本でも可能になりますから、大きな期待を寄せています。



悪性リンパ腫についてこれだけは知って欲しいポイント


●悪性リンパ腫は血液のがんで、全身のどこにでも発生し、発生した場所によって様々な症状を引き起こします。
●様々な科で精密検査が行われますが、悪性リンパ腫と診断された後は血液内科が担当します。
●悪性リンパ腫の中でもどのタイプなのか、そして病気の広がりによって治療法が決まります。
●治療の基本は抗がん剤療法ですが、放射線療法が組み合わされることもあります。
●吐き気どめが良くなって、抗がん剤治療はずいぶん楽になりました。外来で行うことも可能です。


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  • 当科の腫瘍内科の特徴
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 胆道・膵臓がん

がん治療のスペシャリスト -消化器腫瘍内科-


 消化器領域における悪性疾患は、食道・胃・小腸・大腸がん、胆道・膵臓がん、GIST、原発不明がん等に対する薬物療法を中心とした診療と研究を行っており、 対象疾患は多岐に渡ります。このため、外来化学療法センターにおける当診療科の占める割合は常に院内全体の40%を超えています。

 治療方針の決定にあたっては、診療科内でのカンファレンスの他、キャンサーボードにおいて、外科・放射線科・病理など他科スタッフとの連携を密にして、 最適な治療を提供できる体制を整えています。また、新規治療の開発に携わるため、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、西日本がん研究機構(WJOG)、 北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)などにも所属しており、各がん腫における臨床試験や治験治療に積極的に参加しています。

 これらの体制を維持し、常に最新の医療を実践していくために、がん薬物療法専門医の取得はもちろん、High volume center への留学、 国内外の学会発表や論文作成、基礎研究等を通し、常に知識と技術を蓄積していく事を目指しています。 また、平成30年度より、臨床腫瘍部を中心に、がんゲノム医療推進センターが立ち上がりました。臨床腫瘍部との連携し、 正確な情報を提供した上で、希望された方には、積極的に遺伝子パネル検査を受けて頂き、遺伝子異常に基づいた治療提供を行っています。

詳しくは、「腫瘍内科」の各ページをご覧ください。

 当科診療科では、化学療法や化学放射線療法を積極的に行っています。
切除可能な食道がんの治療は、術前化学療法+外科切除が標準治療です。しかし、切除可能な食道がんと診断されても、 高齢・術後のQOL低下・全身状態を理由に手術を希望されない方もいます。 化学放射線療法は、抗がん剤と放射線治療を同時に行うことで食道がんを治療する方法で、体への負担が外科手術に比べて軽く、 食道の機能を温存することができます。特に化学療法が奏効した症例では、外科切除ではなく化学放射線療法でも十分に根治を期待できます(画像)。 現在、当診療科は国際共同治験に参加し、切除不能な食道がんを対象とした第Ⅲ相臨床試験を行っています。 従来のシスプラチンとフルオロウラシルの抗がん剤治療(FP療法)と比較して、ニボルマブとイピリムマブ、 FP療法とニボルマブといったチェックポイント阻害剤の有用性や安全性を検討した試験になります。 新たに食道癌見つかった患者様だけでなく、術後に再発した患者様も組織標本を採取できれば参加可能です。

 ▲抗がん剤と放射線の併用療法により治療効果が得られる場合があります。患者様個別に最適な治療法の提案と、 メリット・デメリット・副作用について丁寧な説明をもとに行っています。


現在進行中の多施設共同研究:

1. 治療歴のない切除不能進行性,再発又は転移性の食道扁平上皮がん患者を対象に, ニボルマブとイピリムマブの併用療法又はニボルマブとフルオロウラシル及びシスプラチンの併用療法を フルオロウラシル及びシスプラチンの併用療法と比較する無作為化第III相試験 (ONO-4538:治験)

2. 生体資料からの遺伝子発現プロファイルを用いた食道がんサブタイプ分類と治療効果との関連に関する臨床評価試験(success試験)

3. 臨床病期Ⅱ/Ⅲ期(T4を除く)胸部食道扁平上皮癌を対象としたDocetaxel+CDDP+5-FU (DCF) 併用療法による chemoselection後に化学放射線療法あるいは外科切除の第Ⅱ相試験

4. ドセタキセルの治療歴を有する進行・再発食道癌に対するパクリタキセル毎週投与法の第Ⅱ相臨床試験
 消化器領域では、いち早くチェックポイント阻害剤(Nivolumab単剤療法)が保険適応となり、多くの方に導入してきました。 3次治療以降での長期著効例(Figure1)を経験する一方で、免疫関連有害事象や増悪例も経験しており、 効果予測因子の解析に取り組んでいます。また、胃がんの発症年齢が高齢化していることから、高齢者胃がんに対する治療開発や、 腹膜播種に対する治療開発に関連した臨床研究に参加しています。新たな標準治療への関わりとして、TAGS試験に参加し、 世界的な標準治療の確立に貢献しました。 (論文を外部リンクします)

 また、当診療科では、国立がん研究センター研究所との共同研究として、 胃の発がん過程における遺伝子異常のゲノム網羅的解析を行ってきました。臨床応用に向けて、 胃粘膜に蓄積したDNAメチル化異常を定量化して胃がんの発症を予測するコホート研究を行っています。


現在進行中の多施設共同研究:

1. 切除不能進行・再発胃癌に対するNivolumab単剤療法におけるHyperprogressive disease(HPD)の後方視的検討

2. 高度腹水を伴う又は経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌に対するmFOLFOX6療法の第Ⅱ相試験(WJOG10517G)
3. フッ化ピリミジン系薬剤を含む一次治療に不応・不耐となった腹膜播種を有する切除不能の進行・再発胃/食道接合部腺癌に対する weekly PTX+ramucirumab 療法と weekly nab-PTX+ramucirumab 療法のランダム化第 II 相試験(WJOG10617G)

4. 初回化学療法に不応の治癒切除不能進行・再発胃癌に対するイリノテカン/ラムシルマブ併用療法の第II相試験(HGCSG1603)

5. 高齢者切除不能・再発胃癌に対するS-1単剤療法とS-1/L-OHP(SOX)療法のランダム化第Ⅱ相試験(WJOG8315G)

6. 胃粘膜DNAメチル化レベルを用いた胃がん発生高危険度群の捕捉に関する前向きコホート研究(AMED)

 昨今の大腸がんにおける遺伝子解析により、大腸の左側と右側で大腸がんの成り立ちが異なる事が明らかとなり、 各種ガイドラインの治療方針に反映されています。また、奏効割合の高いFOLFOXIRI療法が大腸がん治療に導入され、 日常臨床での使用も定着しました。しかし、これらの化学療法においては、蓄積毒性の問題もあります。 富山県では様々な漢方薬が使用されますが、抗がん剤治療による神経毒性に対する支持療法として、 漢方薬の有用性を検証する臨床試験を行っています。
 最近では、MSI-Highの大腸がんに対するチェックポイント阻害剤の治療成績が多数報告されており、保険適応が待たれるところです。 同時にリンチ症候群に対する遺伝外来については、院内のみならず県内各医療機関との連携を強化していく必要があります。 また、当施設は消化器がんの遺伝子スクリーニングネットワークである、 GI-SCREEN-JAPAN の参加施設です。これにより、希少な遺伝子異常を持つ大腸がんを見つけ出すことで、新たな治療薬の開発に積極的に携わっています。


現在進行中の多施設共同研究:

1. GI-SCREEN-JAPAN

2. 切除不能進行・再発大腸がん初回化学療法例に対する FOLFIRI+ramucirumab療法とFOLFOXIRI+ ramucirumab療法のランダム化第Ⅱ相試験(WJOG9216G)

3. 消化器癌に対する全身化学療法施行時に発生した無症候性静脈血栓塞栓症に対するエドキサバンの安全性 および有効性を検討する多施設共同前向き介入研究(Excave試験)

4. FOLFOX plus panitumumab による一次治療抵抗または不耐となった RAS wild-type、切除不能進行・再発大腸癌に対する 2次治療としてのFOLFIRI plus panitumumab 療法の有効性に関する多施設共同第Ⅱ相試験 (PBP study)

5.大腸癌に対する oxaliplatin 併用の術後補助化学療法終了後6か月以降再発例を対象とした oxaliplatin based regimen の有効性を検討する第Ⅱ相臨床試験 (INSPIRE study)



 当院には、膵臓・胆道センター が開設され、 同センタースタッフを主体とした肝胆膵キャンサーボードで議論された上で治療方針が決定されています。
 現在、膵臓がんに対する化学療法としては、5-FU、イリノテカン、オキサリプラチンという注射薬を併用するFOLFIRINOX療法、 ゲムシタビンとナブパクリタキセルという注射薬の併用療法、S-1という内服療法などが行われています。 その中でFOLFIRINOX療法は効果も高い一方で、副作用も強い特徴がありますが、当グループでは、 このFOLFIRINOX療法を適切な量に調整して投与しても、効果と安全性が保たれることを調べる試験にも参加するなど、 安全で有効に治療が行える体制を整えています。 また国内トップの臨床研究グループである、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の肝胆膵グループの正式メンバーとして 新規治療開発にも協力しています。


現在進行中の多施設共同研究:

1. 根治切除後胆道癌に対する術後補助療法としてのS-1療法の第III相試験(JCOG1202)

2. 消化管・肝胆膵原発の切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)を対象としたエトポシド/シスプラチン(EP) 療法とイリノテカン/シスプラチン(IP)療法のランダム化比較試験 (JCOG1213)

3. 局所進行膵癌を対象としたmodified FOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法のランダム化第II相試験 (JCOG1407)

4. 遠隔転移を有するまたは再発膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法/modified FOLFIRINOX療法/ S-IROX療法の第II/III相比較試験 (JCOG1611)

5. 遠隔転移を有するまたは再発膵癌に対する一次治療 Oxaliplatin+Irinotecan+S-1 併用療法(OX-IRIS療法) の多施設共同医師主導前向き単群第 II 相臨床試験(HGCSG1802)

6. 76歳以上の切除非適応膵癌患者に対する非手術療法の前向き観察研究

Oncology