令和6年10月1日付で内科学第一講座教授を拝命しました加藤将と申します。当講座は富山大学医学部の前身である富山医科薬科大学の講座として昭和51年4月に初代矢野三郎教授の下開講され、第二代小林正教授、第三代戸邉一之教授と引き継がれ、内科学の中でも主に糖尿病代謝・内分泌内科学、リウマチ・膠原病内科学、呼吸器内科学の3つの分野の診療、研究に取り組んでまいりました。そしてこの度、ご縁をいただき私が第四代教授として着任いたしました。歴史・伝統ある講座を富山大学医学部創立50周年という節目に引き継ぐこと、身に余る光栄です。
私は富山県富山市出身で富山県立富山中部高等学校を卒業するまで富山で育ち、北海道で25年、スイス・チューリッヒで2年、医学、内科学、リウマチ・膠原病学の研鑽を積み27年ぶりに故郷に戻ってまいりました。高校時代はバスケットボール、大学時代はクロスカントリースキーに部活動として携わり、現在は基礎スキーおよびバックカントリースキーが趣味です。その他、上肢の運動も兼ねピアノを少々弾きます。
近年、診療の専門化および診療科の細分化が進み、いわゆるナンバー内科が少なくなりました。一方で、おそらくはその反動、補填として、総合診療に代表される統合のニーズも確実に生まれてきています。「専門性」という言葉は、しばしば「総合性」と対比されて語られることが多いため、この2つが mutually exclusive(相互排他的)であるという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、私はそうは考えていません。現在学生・研修医の皆様には、どの専門分野に進まれても、高い専門性と高い総合性を兼ね備えた医師を目指していただきたいと考えています。
もう1つ、学生・研修医の皆様にお伝えしたいのは、「なぜ?」を大切にしてほしいということです。実習や研修に取り組む中で多くの疑問が湧いてくると思います。その「なぜ?」をぜひ大切にしてください。たとえすぐに答えが見つからなくても、問いを持ち続ける姿勢そのものが大切です。そして可能であれば、疑問を解決する方法として、研究に触れていただきたいと思います。研究にも、基礎研究、橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、臨床研究などさまざまな分野があります。ここでも専門性と総合性を兼ね備えられたら理想的です。
皆様は毎年4月から5月にかけて富山県砺波市で開催される「となみチューリップフェア」をご存じでしょうか。色とりどりのチューリップがそれぞれに咲き誇りとても美しい光景が広がりますが、不思議と全体としても調和が取れているのが印象的です。富山大学医学部第一内科も、一人ひとりの個性と多様性が輝きながら、全体として調和の取れた教室でありたいと願っています。私自身も、良き医師、良き内科医を一人でも多く育てられるよう、全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。