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第18回日本老年脳神経外科学会 抄録


第1日目 4月7日(木)富山国際会議場

一般演題 6: 高齢者頭部外傷・教育講演 16:30〜17:25 発表5分、討論2分、教育講演20分

座長: 小林 秀、片山容一

O-29

Pure cortical arterial injuryによる急性硬膜下血腫の検討
Analysis of ASDH due to pure cortical arterial injury

堀内 薫 HORIUCHI Kaoru
朴 永銖、飯田淳一、中瀬裕之、川口正一郎、榊 壽右

奈良県立医科大学 脳神経外科

【目的】高齢者に主として発症する、脳実質には挫傷は伴わず皮質動脈のみが損傷して生じる特殊な急性硬膜下血腫の特徴について検討する。【対象】手術中に出血源として皮質動脈のpin point bleedingが確認された30症例。年齢は42歳〜88歳で、平均73.9歳であり60歳以下は1例のみであった。【結果】原因不明の5例を除けば受傷機転はいずれもが軽微な外傷であり、受傷直後はほぼ意識清明であった。0.5-40時間(平均10.8時間)のlucid intervalの後に急激に意識障害が進行し救急搬送されている。来院時の意識レベルは、GCS平均7.4であり、GCS8以下の重症例が18例、瞳孔異常は19例に認めた。抗凝固剤もしくは抗血小板剤の服用:12例、慢性腎不全(HD):4例、肝硬変:3例と易出血状態が19例存在していた。また、脳梗塞、痴呆、パーキンソン病等のためにADLに介助が必要であった症例が16例であった。全例開頭による血腫除去を行なったが、GOSはGR:1例、MD:6例、SD:5例、PVS:2例、D:16例となり概して不良であった。死亡原因が二次性脳損傷によるものは5例のみであり、その他は全身合併症で死亡した。剖検を2例に行い、pure cortical arterial injuryを病理組織学的にも確認し得た。【考察】このような特殊なASDHは脳萎縮や脳動脈硬化が進行した症例に発生する。軽微な外傷後に数時間の意識清明期の存在は、外傷後引き続き出血が続いていた症例もある一方で、一旦止血機転が働いたところに易出血性状態が影響し再出血していた可能性が示唆された。外傷性脳実質損傷が無い血腫であるため、一見予後は良好であるものと考えられるが全身合併症にて不慮の転帰となる症例が多かった。


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