第16回日本神経内視鏡学会 抄録
The 16th Annual Meeting of the Japanese Society for Neuroendoscopy

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第1日目、12月4日(金)D 会場(3階 ホワイエ お城側)13:35〜14:05

ムービーセッション 3: くも膜嚢胞 2

座長: 佐久間 潤

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内視鏡下開窓術後にトルコ鞍空虚症候群を来したトルコ鞍内くも膜嚢胞の一例

吉村政樹 (YOSHIMURA Masaki)、岩井謙育、古下尚美 1、楠木 誠 2

大阪市立総合医療センター 脳神経外科、大阪市立総合医療センター 耳鼻咽喉科 1、中村耳鼻咽喉科 Nakamura ENT clinic 2

【はじめに】まれな症候性鞍内くも膜嚢胞に対して内視鏡下手術を行い、術後にトルコ鞍空虚症候群を呈した一例を経験したので報告する。【症例】52歳男性。主訴は視力低下。2008年4月頃から視力の低下を自覚していた。2008年12月に右突発性難聴の精査で下垂体部病変を指摘された。視野障害や、明らかな内分泌学的症状の自覚はなかった。視力は右眼0.09(1.5)、左眼0.15(1.5)であり、Goldman視野計にて軽度の両耳側視野障害を認めた。内分泌学的所見はGH低値、PRL軽度高値を示した。CTでは鞍内から鞍上部に及ぶ嚢胞性の低吸収域を認め、石灰化は認めなかった。同病変はMRIでは15mm×20mm大の薄い壁を有する嚢胞性病変であり、視交叉を圧排していた。嚢胞内部はT1強調像で髄液より軽度高輝度、T2強調像では高輝度を示した。Gd-DPTAにより嚢胞壁は造影されなかった。術前診断はラトケ嚢胞を第一に考え、内視鏡下両側経鼻到達法による嚢胞開窓術を行った。鞍底の骨削除を行うと白色の拍動する膜が露出し、これを切開すると髄液様の内容液が流出した。嚢胞上部に鞍隔膜の拍動が見られたが、髄液の漏出所見はなかった。鞍内に少量の腹壁脂肪を挿入し、鼻粘膜および鋤骨にて鞍底形成を行った。病理診断はくも膜組織であった。術後、視野障害の改善を認め、新たな内分泌機能障害を認めず退院したが、術後1.5か月後に尿崩症を来し、二次性トルコ鞍空虚症候群と診断し、腹壁脂肪と大腿筋膜によるchiasmapexyを行った。術後、尿崩症の改善はなかった。【結語】症候性鞍内くも膜嚢胞はまれであり、T1強調像で低輝度を示すラトケ嚢胞との鑑別は困難であるが考慮すべき疾患である。二次性トルコ鞍空虚症候群を来す可能性があり、注意を要する。

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