第16回日本神経内視鏡学会 抄録
The 16th Annual Meeting of the Japanese Society for Neuroendoscopy

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第2日目、12月5日(土)A 会場(3階 メインホール) 8:30〜9:50

シンポジウム 3: 内視鏡手術は顕微鏡手術を凌駕したか: 下垂体手術

座長: 佐伯直勝、喜多村孝幸

2A-S3-4

被膜を意識した下垂体腺腫に対する内視鏡手術 —下垂体腫瘍摘出術における完全摘出の指標—
Endoscopic endonasal transspehnoidal approach for pituitary adenoma, the indicator of the total removal

矢野茂敏 (YANO Shigetoshi)、河野隆幸、工藤真励奈、秀 拓一郎、倉津純一

熊本大学大学院 医学薬学研究部 脳神経外科

【背景】内視鏡手術は顕微鏡手術に比較して、明らかに広く明るく見えるが、立体視ができない困難さや微細な構造を観察しにくいなどの指摘もある。われわれはこれまでに310例の内視鏡単独手術を行ってきたが、顕微鏡手術に劣らない微細な観察や残存腫瘍の確認がむしろ容易であることを実感している。今回、内視鏡の利点を生かした被膜の観察に注目し、下垂体腫瘍摘出術において内視鏡下でいかに完全摘出を確認できたかを検討した。【対象・方法】内視鏡単独で手術を行った下垂体腺腫症例190例のうち、被膜に注目して摘出した非機能性腺腫74例、GH産生性腺腫36例、PRL産生性腺腫28例を対象とした。非機能性腺腫について、摘出後の被膜確認の程度と術後画像上の腫瘍残存の有無を比較した。機能性腺腫について被膜を摘出したものの割合とホルモン正常化率を比較した。【結果】非機能性腺腫74例のうち、被膜を全体的に確認できたものは47例(63.5%)であった。このうち被膜を全周性に確認できた35例中34例(97.1%)で術後に腫瘍の残存を認めなかった。一方、被膜の部分的確認に終わった症例は、27例中13例(85.2%)で腫瘍の残存を認めた。GH産生性腺腫36例中、被膜を確認し摘出した27例中25例(92.6%)で術後GH正常化が得られたのに対し、被膜を摘出しなかった9例では4例(44.4%)で正常化を認めた。PRL産生性腺腫28例中、被膜を摘出できた24例中21例(87.5%)でPRLの正常化を認めたが、被膜を摘出しなかった4例のうち正常化を認めたものは1例のみ(25.0%)であった。【結論】内視鏡を用いることにより、上方、側方の腫瘍被膜確認が可能となった。機能性腺腫の被膜摘出も確実に行えるようになり、正常化率が向上した。完全摘出の指標として摘出後の十分な被膜の観察が重要であり、内視鏡手術は優れた手段と考えられた。

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