第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)B 会場(2階 203, 204)10:40〜11:40

一般口演 3: 二分脊椎

座長: 阿部俊昭、吉岡 進

O3-2

無症候性脊髄脂肪腫の手術適応
Surgical indication for asymptomatic spinal lipoma

井原 哲 (IHARA Satoshi)、松村 明

筑波大学 脳神経外科

【はじめに】無症候性脊髄脂肪腫に対する予防的手術の是非は議論が続いており本邦でも前方視的多施設共同調査が行われている。当施設での無症候性脊髄脂肪腫の手術適応と成績を報告する。【方法】手術適応の決定には臨床症状、MRI所見、泌尿器科医による尿流動態検査、リハビリテーション科による下肢運動機能評価を参考とし、症候性脊髄係留、脊髄空洞症の存在、尿流動態検査上の異常所見があれば手術適応とした。加えて無症候性であっても脊髄円錐高位がL3以下の明らかな脊髄係留も予防的手術適応とした。2009年4月から2010年1月までの10ヶ月間に10名10件の脊髄脂肪腫初回手術を行った。性別は男児5名女児5名、手術時平均年齢2歳2ヶ月(2ヶ月〜6歳6ヶ月)、病型は脊髄円錐部脂肪腫5名、終糸脂肪腫3名、クラリーノ症候群2名だった。手術は球海綿体反射(BCR)モニタリング、直接刺激神経マッピング下に脊髄脂肪腫切除術、脊髄係留解除術を行った。脊髄脂肪腫の減量にはPAL-1を用いた。【結果】10名中5名が無症候性であり、病型では脊髄円錐部脂肪腫4名、終糸脂肪腫1名だった。3名に脊髄空洞症を認め、脊髄円錐部脂肪腫は全例尾側型でS2以下までの脊髄係留を呈していた。術中BCRが減弱したものはなく、周術期合併症、後遺障害も認めていない。【考察・結論】脊髄円錐部脂肪腫は終糸脂肪腫に比べて有症状化する可能性が高いため、まず細心の注意をもって微細な症状を見逃さないようにしなくてはならない。その上でも無症候性の場合、上記の手術適応としたが予防的手術の安全性を示唆する結果だった。ただし手術リスクを最小化するためには利用可能な術中神経生理学的手技を最大限利用すべきである。なかでもBCRモニタリングは排尿機能をほぼリアルタイムに把握できるため非常に有用である。

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