第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第2日目、6月5日(土)B 会場(2階 203, 204)10:50〜11:20

一般口演 9: 基礎

座長: 秋山恭彦

O9-1

髄芽腫幹細胞に発現する遺伝子群の同定、発現解析とPMLを標的とした化学療法の効果
Transcripts analyses in CD133 positive medulloblastoma cells and the effects of targeting therapy against PML using arsenic acids

横田尚樹 (YOKOTA Naoki) 1, 2、谷 春雨 2、山本淳考 3、宮川 正 4、徳山 勤 2、難波宏樹 2

横浜サイバーナイフセンター 1、浜松医科大学脳神経外科 2、産業医科大学 脳神経外科 3、東京都立清瀬小児病院 脳神経外科 4

髄芽腫(MB)の治療は近年進歩をとげたが、なお多くのMB症例が髄腔内播種や再発のために不幸な転帰をとっており、分子標的治療等の新たなアプローチの開発が待たれる。腫瘍細胞の中でも一握りの癌幹細胞と言われる細胞群が腫瘍の増殖、再発、転移に重要な役割を果たしていることが示唆されてきたが、最近MBにおいても実際にそのような細胞群が存在していることが報告された。我々はMBの細胞株DaoyにおいてCD133陽性細胞の存在をFACSを用いて解析し、腫瘍幹細胞に相当する細胞群が存在することを見いだした。さらにCD133陽性細胞と非陽性細胞との発生関連遺伝子群の発現の違いをトランスクリプトレベルで解析したところ、Wntシグナルの構成要素であるc-myc, cyclinD1など細胞増殖に関与する分子群の発現が増強し、MAP2, astrotactin, Unc5Bなどの神経細胞やrohmbic lipに発現する顆粒細胞系譜の形質、あるいはCaspase4などの細胞死に関与する分子の発現が低下していた。さらに発現増強した遺伝子群の中に、前骨髄芽球性白血病の原因遺伝子であるPMLが含まれていた。PMLは亜ヒ酸によって蛋白質レベルで変性することが知られており、亜ヒ酸を用いた治療の臨床応用も行われている。Daoy細胞株やヒトMB症例の免疫組織学的な検索により、CD133とPMLの共発現を認めた腫瘍幹細胞と思われる細胞群が存在することが確認され、さらにDaoy細胞株を亜ヒ酸処理することにより、PMLが蛋白質レベルで発現低下し、in vitroのみならず特にin vivoで抗腫瘍剤に対する感受性が著明に高まることを見いだした。腫瘍幹細胞を標的とした亜ヒ酸を組み合わせた化学療法がMBにおいても有効な治療法となりうることが強く推察された。

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