第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)C 会場(2階 202)12:45〜13:15

デジタルポスター 1: 腫瘍 1

座長: 香川尚己

P1-3

著明な石灰化を伴った巨大小児テント上退形成性上衣腫の1例
A pediatric case of huge supratentorial anaplastic ependymoma presenting with massive calcification

堤 佐斗志 (TSUTSUMI Satoshi) 、鈴木まりお、三島有美子、野中康臣、阿部祐介、安本幸正、伊藤昌徳

順天堂大学 医学部付属順天堂浦安病院 脳神経外科

(はじめに)小児テント上上衣腫は通常脳室外に存在、石灰化しやすく、発見時に巨大腫瘍であることが多い。今回我々は術前診断が困難であった小児テント上退形成性上衣腫を経験したので報告する。(症例)16歳男性。既往・家族歴に特記事項なく成長・発達は正常。約1ヶ月の経過で出現・増悪した頭痛、嘔吐を主訴とし近医小児科受診、脳腫瘍を指摘され当科紹介となった。初診時意識清明、右同名半盲、うっ血乳頭、軽度右上下肢麻痺を認めた。頭部単純CT上、左後頭頭頂葉に著明な石灰化・周囲脳浮腫を伴う径8cm大の腫瘤を認めた。骨条件CT上、頭蓋冠は一様な菲薄化を示した。頭部MRI上、T1, T2WIともに不均一な信号を示す髄様構造を示した。脳室系との交通は明らかでなかった。造影剤により髄様構造の外層部のみが増強効果を認めた。術前診断として未分化神経外胚葉性腫瘍, 神経上皮性腫瘍(DNT), 髄芽腫、AT/RT, 希突起神経膠腫等を想定し開頭腫瘍摘出術施行。腫瘍は一部脳表に露出していたが大半は皮質下に存在、周囲脳との境界は比較的明瞭であった。腫瘍直上部の皮質静脈は``red vein``の所見を呈しており、腫瘍内での動静脈瘻の形成が考えられた。腫瘍は不均質な硬度で易出血性であったが、最終的に全摘出し得た。腫瘍と脳室系との交通はみられなかった。病理診断は退形成性上衣腫であった。(考察)上衣腫の外科治療は可能な限り全摘出を原則とする。未だ有効な化学療法は確立しておらず、放射線治療の有効性も一定の見解が得られていない。一方で組織学的な悪性度と生物学的悪性度、および予後が相関しにくい腫瘍でもある。本症例においては著明な腫瘍内石灰化・頭蓋冠の一様な菲薄化といった慢性の経過を示す所見と、悪性腫瘍を示唆する術中および病理所見との間に乖離がみられた。術後後療法についても考察を加える。

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