第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第2日目、6月5日(土)E 会場(2階 特別会議室)13:10〜13:35

デジタルポスター 10: 血管障害 2

座長: 小野成紀

P10-3

胎児MRIのみでは診断困難であった出血発症の脳動静脈奇形の一例
A ruptured arteriovenous malformation case, diagnostic limit on the basis of prenatal Magnetic Resoance Imaging

江口盛一郎 (EGUCHI Seiichiro) 、藍原康雄、山口浩司、川島明次、岡田芳和

東京女子医科大学 脳神経外科

【目的】胎児期MRIの導入に伴い出生前診断は飛躍的に進歩を遂げたといえるが,中には診断困難な症例も依然認められる.今回我々は胎児期超音波,MRIで確定診断に至らなかった出血発症の先天性脳動静脈奇形の症例を経験したので報告する.
【症例】在胎30週に母子健診で行った胎児超音波にて右側脳室拡大を,35週の同検査で右大脳半球の形成不全を指摘された患児.38週で胎児MRIを施行,右大脳半球に出血を伴う巨大嚢胞性病変が確認された.頭蓋内圧亢進症状はなく在胎39週3日で経膣自然分娩にて出生,Apgar score 8/9であり出生時神経学的異常所見を認めなかった.日齢7で頭部MRI,MRAを再度施行しMRIにて右大脳半球を占拠する巨大嚢胞と右側頭極に動脈瘤を疑うflow voidを確認,MRAで右MCAに瘤状陰影を認め先天性脳動脈瘤破裂による嚢胞内出血を伴う巨大くも膜嚢胞を疑った.日齢14で頭部3DCTAでも瘤状影を確認したが確定診断に至らず,脳動静脈奇形の可能性も考え日齢20に脳血管撮影を施行,右MCAからの流入血管をもつ脳動静脈奇形との診断に至った.日齢24の時点で神経内視鏡にて出血腔内の観察後,開頭にてnidus摘出術を施行した.術中所見では嚢胞下に圧排され退化した脳組織を認めクモ膜下出血も呈していた.術後経過良好で現在通院リハビリを行っている.
【考察・結語】新生児での出血性脳血管障害において脳動静脈奇形は頻度が高く再出血時の死亡率は高い.しかし在胎期に確定診断に至ることは稀であり,胎児MRIのみでは精度的にも限界がある.胎児期に発見された頭蓋内出血には脳血管撮影も含めた精査の必要が示唆されたが,その必要性及びリスクから検査施行時期決定に至るには総合的な治療指針の検討が必要と考えられた.

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