第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)D 会場(2階 201)12:45〜13:15

デジタルポスター 2: 腫瘍 2

座長: 杢中正博

P2-2

笑い発作に対する小児視床下部過誤腫の新たな外科的治療戦略
A new surgical treatment strategy of pediatric hypothalamus hamartoma for gelastic seizure

藍原康雄 (AIHARA Yasuo ) 、久保長生 、堀 智勝、岡田芳和

東京女子医科大学 脳神経外科

【目的】視床下部過誤腫に伴う笑い発作は難治性であり、抗癲癇薬のみでの治療効果は低く、γナイフ、温熱凝固療法、外科的腫瘍切除術が治療選択とされる。いずれの治療も決定的ではなく、術後短期間での、笑い発作再発も多く報告されている。今回我々は、臨床経過を含め笑い発作に対する新たな外科的治療戦略について報告する。【症例】10歳男児。幼少時から10秒ほどの笑い発作様所見を認めていた。9歳頃より一点凝視・意識消失を伴う強直発作が出現、テグレトール300mg エクセグラン100mg内服開始した。この頃より陰毛・陰茎の発達が目立ち、真性思春期早発症の診断にてLH-RHアナログ投与開始された。強直発作はコントロールされたが、笑い発作は残存、平均10回前後/日まで増加した。頭部MRIにて、灰白質と等信号にて、Gd造影効果のない視床下部から第三脳室内、脚間槽へと進展する腫瘍性病変を確認した。【治療経過】前大脳半球間裂終板経由にて、第三脳室底部位における両側乳頭体前方の腫瘍付着部位を中心に腫瘍摘出を施行し、脚間槽との交通を確認し、腫瘍被膜を含めて離断を行った(病理診断:過誤腫)。術直後より、笑い発作は完全消失し、新たな視床下部下垂体系の傷害なく、記憶力も含め学童生活において改善が多く認められている(術後11ヶ月経過)。【考察・結語】視床下部過誤腫に伴う笑い発作に対し、外科的mammillothalamic tract離断術という新たな治療戦略を施行した。笑い発作治療では、過誤腫の摘出術率より、乳頭体と腫瘍接着部位の離断の重要性が示唆された。外科的離断術後、笑い発作は消失し、短期記憶温存下に精神発達遅延の予防が可能となった。今後、笑い発作に対する外科的治療法として、mammillothalamic tract離断術の有効性実証のためには、更なる症例検討及び長期術後フォローが必要であろう。

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