第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)D 会場(2階 201)13:15〜13:45

デジタルポスター 5: 水頭症

座長: 三木 保

P5-1

異常な頭囲拡大を伴わない全前脳胞症の臨床経過
Clinical course of holoprosencephaly without abnormal enlargement of head circumference

牛島隆二郎 (USHIJIMA Ryujiro) 、永田 泉

長崎大学病院 脳神経外科

【目的】全前脳胞症の多くは、成長にともなって水頭症が進行するためシャント手術を必要とする。その際に頭囲拡大の有無で手術の適応が判断されることが多いが、そのうち視診・計測上頭囲拡大が顕著でない全前脳胞症症例の臨床経過を検討し、今回文献的考察を加えて報告する。
【方法】2003年以降に当院で治療を行った全前脳胞症のうち、乳児頭囲発育曲線上異常な頭囲拡大を示さなかった4症例を対象に、臨床経過を検討した。
【結果】対象症例群の診断は出生時に産婦人科もしくは小児科で確定しており、4例ともSemilobar型であったが、当科初診時年齢は1日〜49ヵ月であった。出生時頭囲は26.0〜33.8cm、全例で髄液腔拡大の進行を認めたが、頭囲の異常な拡大は全く認めずまた大泉門が早期に縮小・癒合しており膨隆をきたすことがなかったため、臨床状態の変化として把握し得たのはてんかん発作の増悪のみであった。全例で圧可変式バルブを用いた脳室腹腔シャント手術を施行したが、初回手術時年齢は2〜51ヵ月で頭囲は31.5〜44.0cmであった。術後フォローアップ期間は5〜24ヵ月で、全例で脳実質容積の良好な増加が得られずに硬膜下血腫を合併したため、シャントバルブ設定圧の変更を要した。4例ともてんかん発作の軽減がみられたが、その他の神経学的所見や全身状態に明らかな改善がみられず、1例が誤嚥・低酸素血症で死亡した。
【結論】一部の全前脳胞症では、頭囲拡大をきたすことなく髄液腔の拡大と脳実質の菲薄化が進行していくが、外表所見や臨床症状に大きな変化がみられないため発見と治療が遅れる可能性があった。頭囲の変化は水頭症増悪の指標にはなり得ないため、出生前後に診断が確定した時点から、定期的な画像評価と早期の手術方針決定が必要と考えられた。

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