第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)A 会場(3階 メインホール)8:20〜9:40

シンポジウム 1: 小児もやもや病の治療戦略

座長: 宝金清博、白根礼造

S1-3

小児期に発症し直接血行再建を行ったもやもや病症例の治療予後
Treatment results by direct bypass in pediatric moyamoya disease

坂本博昭 (SAKAMOTO Hiroaki) 1、松阪康弘 1、寺田愛子 1、吉村政樹 1,2、小宮山雅樹 2、石黒友也 2

大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児脳神経外科 1、大阪市立総合医療センター 脳神経外科 2

【目的】15歳以下で発症し直接吻合を中心とした血行再建を行ったもやもや病の治療結果を検討した。【方法】STAの前枝と後枝を使って2か所のSTA-MAC吻合術を行い、同時に側頭筋や硬膜を用いた間接血行再建を併用した。輸血により貧血を回避し、抗血小板剤は投与せず過呼吸を避けるように配慮した。血行再建は虚血症状を呈し主幹動脈の狭窄像を認める側の大脳半球に行い、虚血症状を呈さず主幹動脈の狭窄が軽度の場合は経過を観察した。【結果】対象とした61例(女40例、男21例)中、悪性脳腫瘍のため死亡した1例を除き、全例で術後3カ月〜21年(平均9年)の期間経過を観察し、22例は10年以上経過観察した。全例虚血症状で発症し、発症時の年齢は8カ月〜14歳(平均6歳)、治療時の年齢は2歳〜14歳(平均7歳)、現在の年齢は5歳〜26歳(平均15歳)で、4例は一側のみの血行再建である。術前に脳梗塞による麻痺、失語症など継続する神経症状は6例に認め、多発性脳梗塞巣を認めた9例に発達遅滞を認めた。周術期の合併症では、1例で反対側に脳梗塞が発生し、1例で側頭筋の腫脹と頭蓋内血腫のため再開頭を行い、いずれも神経症状は消失した。術後慢性期に一過性の虚血症状や頭痛を呈する例はあったが、軽快していったため血行再建を同側大脳半球に追加した例はない。また、MRI上で脳梗塞や脳出血は認めなかった。術前より認めた知能低下は残存したが麻痺や失語症は改善し、全例で日常生活は自立している。全例でSTAは触知でき、術後10年以上経過した例でMRAを行った17例中1例の一側を除いて吻合に用いたSTAは間接吻合に関与する外頚動脈系の血管よりも拡張し、吻合部の開存の所見を認めた。【結論】治療前の多発性脳梗塞が機能予後を左右する。直接吻合は術後長期にわたって維持され、これが新たな梗塞巣の発生を抑制すると思われた。

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