第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)A 会場(3階 メインホール)14:30〜15:45

シンポジウム 3-1: 周産期における諸問題(胎児診断)

座長: 橋本信夫、坂本博昭

S3-1

脳神経外科治療における胎児MRIの役割
A role of fetal MRI in neurosurgery

原田敦子 (HARADA Atsuko) 1、西山健一 2、吉村淳一 2、岡本浩一郎 2、藤井幸彦 2、淡路正則 3、稲川正一 3

新潟医療センター 脳神経外科 1、新潟大学脳研究所 脳神経外科分野 2、新潟大学医歯学総合病院 放射線科 3

【目的】本邦における胎児MRIの役割は、人工妊娠中絶や胎児手術を念頭においている欧米とは異なる。脳神経外科治療からみた今日的な役割を、自験例から考察する。
【方法】対象は2001年1月から2009年12月の9年間に新潟大学医歯学総合病院で胎児MRIを撮影した妊婦312例。うち中枢神経系異常の精査目的が66例 (21%)、その他の胎児異常が135例 (43%)、母体異常が111例 (36%)であった。MRI撮像時の在胎週数は平均27.1(6−40)週, MRI撮像は1.5テスラでT1WI,T2WI,heavy T2WIを行った。出生後手術の有無, 予後を後方視的に分析した。
【結果】中枢神経系異常を指摘された66例中出生して追跡評価が出来たのは46例(70%), 死亡例が16例(24%), 転帰不明が4例(6%)。死亡16例中3例は人工妊娠中絶であった。平均追跡期間は41ヶ月(1−107ヶ月)。出生46例中、8例は胎児MRIで正常と診断され,全例で発達異常を認めなかった。胎児MRIで異常を指摘された38例中22例(58%)で脳神経外科手術が行われ、うち20例は出生前から手術が必要になると予測することが可能であった。手術症例の内訳はキアリ奇形9例、水頭症3例、全前脳胞症3例,嚢胞性疾患2例、脳腫瘍2例,その他3例であった。手術は、生後平均26.9(0-333)日目に行われており,17例(85%)は生後14日以内に手術が施行された。手術施行22例の予後は、死亡1例、重度障害10例、中等度5例、軽度3例、正常3例であった。重症度は大島分類を用いて身体発達、精神発達両面から評価した。手術未施行の16例は、重度2例、軽度3例、正常11例であった。
【結語】胎児MRIで正常と診断された症例では、発達異常を認めなかった。手術症例の殆どは、胎児MRIにより出生前から手術の必要性が予測できた。その結果、出生前から適切なinformed consentが可能でかつ出生後の外科治療を速やかに開始し得た。

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