第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第2日目、6月5日(土)A 会場(3階 メインホール)14:10〜14:40

特別講演 1: 柳澤隆昭 先生

座長: 峯浦一喜

SL4

小児脳脊髄腫瘍治療の進歩 - どこに希望を見出すか

柳澤隆昭

埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 小児脳脊髄腫瘍部門

小児脳脊髄腫瘍は、小児がんで白血病につぐ頻度をもつ小児期最大の固形腫瘍である。小児脳脊髄腫瘍は、小児がんにおける死亡の最大の要因となっているばかりでなく、小児がんによる障害・後遺症の最大の要因にもなっており、救命と Quality of Life(QOL)の向上は世界に共通した急務である。これらふたつの目標の達成を妨げる要因として、小児脳脊髄には 100種類を越える、生物学的にも臨床的にも異なる腫瘍からなり、多くが稀少がんであることがあげられる。更に、治療による障害への配慮から、腫瘍の種類のほかに、年齢、発症部位によって診断・治療の方法が大きく異なってくるため、適切な診断・治療の選択がしばしば複雑で困難となることがあげられる。こうした問題の克服のために必要なことは何か?それは、歴史を振り返れば明らかである。世界における小児脳脊髄腫瘍の治療の進歩は、他の小児がんと同様に、治療のセンター化による稀少疾患診療経験の集積と診療レベルの向上を背景に、疾患別の治療、年齢別の治療が、複数の診療拠点施設共同の臨床試験として試みられ、上記2つの目標が、長い時間をかけて達成されてきたものである。日本においても同様の拠点化の必要性は広く認められながらも、小児がん診療全般において公にこれが推進されることはなかった。

われわれは、平成19年わが国はじめての小児脳脊髄腫瘍を専門とする診療部門として、自らセンターとなることを志し出発した。脳脊髄腫瘍を専門とする脳外科医と小児科が同一科の中で診療し、関連他科の医師と共同して世界の標準を満たした集学的治療を行うと同時に、さまざまな神経症状、精神症状、内分泌症状、心理社会学的問題に包括的に対応するために、出発当初より、多職種チームによる診療体制を展開してきた。わが国の医療事情の中で、果たして小児稀少疾患のセンター化は可能なのか、3年間の歩みを報告し、希望の拠り所を明らかにする。

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