第38回日本小児神経外科学会
The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery

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第1日目、6月4日(金)A 会場(3階 メインホール)17:00〜18:00

特別企画 2: 外傷 - 虐待

座長: 山崎麻美、荒木 尚

ゲストコメンテーター: 市川光太郎

SP2-1

乳児硬膜下血腫の検討 —本当に虐待でないのか?—
Analysis of infantile acute subdural hematoma -Abuse or Accident? -

朴 永銖 (PARK Young-soo) 1、西尾健治 2、藤本京利 3、弘中康雄 1、本山 靖 1、中瀬裕之 1、奥地一夫 2

奈良県立医科大学 脳神経外科 1、奈良県立医科大学 高度救命救急センター 2、岡波総合病院 脳神経外科 3

【はじめに】我々は本学会において、乳児硬膜下血腫、とりわけ虐待例での治療の困難さについて発表してきた。最近経験した症例をもとに受傷背景について、特に虐待の有無について検討したので報告する。【対象・結果】06年1月から10年1月の間に当院へ搬送された乳児硬膜下血腫のうち、虐待もしくは虐待の可能性を強く疑心した11例。平均は5.4ヶ月(1-8ヶ月)、男児9例/女児2例であった。1例はCPAで搬送され、8例(72%)が痙攣重積状態で救急搬送された。眼底出血は全例に認められた。初療段階で、児の身体所見(打撲痕など)から虐待が強く疑われたのは2例のみであり、明らかに両親の態度も粗暴・乱暴であり逮捕起訴された。繰り返し受傷機転を聴取する過程で虐待が判明したのが7例であり、Shaken Baby Syndrome(SBS)を強く疑ったが指導相談所が虐待の可能性が極めて低い判断されたのが3例となった。虐待に至った原因として、育児の疲れによる母親の加害が2例、児の病気が要因と考えられたのが2例、母親の療育能力欠如が2例、父親の無知な揺さぶりが1例、原因不明が1例であった。6例に手術治療が行われ、低体温—バルビツレート(H-B)療法が7例に導入された。CTにて広範囲LDAは両側が9例、片側が2例に生じ、転帰はGR:2例、MD:1例、SD:6例、D:2例となった。【結語】最近の症例では、両親の“単純な”暴力による事例は少なく、育児上の悩みやトラブルが原因となっている場合も多く、搬送時から入院経過中に至るまで深い洞察力(時には強い疑心)を持たなければ虐待を見逃されてしまうケースもある。また、典型的なSBSを疑ったが児童相談所が“虐待でなし”と判断された例もあり、重大な問題であると考えている。

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