のどの病気
長らくおまたせしました、
耳、鼻の病気に続き、のどの簡単な解剖と働き、
のどの代表的な病気について説明させていただきます。
いびきに関する質問が多いため、
これに関しては特にくわしく説明しました。
ここに出ていない病気もたくさんあります。
1. のどの解剖
口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)に分けられる
2. のどの働き
口腔:かむ
味わう
ことばを発音する
咽頭:食事のとおりみち
呼吸のとおりみち
細菌やウイルスに対する関所(扁桃などリンパ組織が豊富)
喉頭:食事と呼吸の行き先をふりわけるポイント
食事は食道へ
呼吸は肺へ ・・・・ 間違えるとむせてしまう
声をだす
3. のどの代表的な病気
いびきのはなし
いびきは、呼吸のとおりみち(上気道)が狭いため、
咽頭の粘膜どうしがこすれあって発生します。
気道の狭い程度が軽いうちは、たかがいびきですむのですが、
重症の 場合、パートナーが一緒に寝ることを拒む場合もあるようです。
また寿命を縮めるもとにもなります。
外国の文献では、パ ートナーがどれだけ苦労しているかでいびきの重傷度を判定しているものもあります。
太い首、たっぷりのあごの下のお肉がいびきをかくひとの特徴
気道が狭くなる原因には、
のどちんこと俗に呼ばれる口蓋垂が長いこと、
扁桃腺の 肥大があること、
舌の付け根が肥大していることなどがありますが、
ベースに肥満が あることが多いようです。
体重増加により咽頭にもお肉がつきすぎてしまうわけです。
体重がさほど多くない方でも、
家系上、あごの下とのどにお肉がつき、
家族みんなで大い びきをかく場合もあります。
たかがいびきだけの話であれば、笑い話ですまされますが、
近年、寝ている 間に呼吸が停止し、心臓に負担がかかり、
突然死の原因のひとつとなる可能性が指摘されました。
過度の肥満がめだつ西洋では、特に注目されています。
寝ている間に呼吸が停止する病態を
専門的には睡眠時無呼吸症候群と呼ばれます。
正 しく診断するためには
寝ている間の呼吸、心電図、血中酸素濃度などを調べる必要
があります。
しかし、特に設備がなくともパートナーの話をうかがい、
のどを診察させていただければ、ほぼ間違いなく診断できます。
いびきの治療は、
肥満がある場合はまず減量を試みていただきます。
糖尿病をもつ成人の患者さんで、食事療法で減量されると
ともにいびきが軽くなったケース があります。
手術による治療は
減量がうまく行かない場合、
時間に余裕がない場合、
重症で急を要する場合に検討し ます。
具体的な方法は、
扁桃腺をとり、
長い口蓋垂を短くし、
余分な咽頭粘膜を切り取り、
最後に粘膜を縫合します。
手術テクニックとしては、特別なものはありません。
普通に扁桃腺の手術を行っている耳鼻科の施設であればどこでも可能です。
入院期間は2週間みておけばまず大丈夫でし ょう。
痛みは術後2-3日はあるでしょうが、
うまく鎮痛剤を使ってもらえれば耐えら れないほどではありません。
費用は扁桃腺の手術とほぼ同じです。
保険がききますので、費用のことはあまり心配いりません。
-いびきのおまけのはなし-
以前、新聞にいびきの治療として
口を閉じるテープが宣伝されていましたが、あれは非常に危険です。
いびきをかく人が大きく口をあけて寝るのは、
酸素不足をなんとか 解消しようとして、身体が必死におこなっていることです。
それを妨げるのは自殺行為 に近いものだと思います。
味覚の異常
☆ 味覚がないとさみしい食生活・・・
味覚は舌の味蕾(みらい)と呼ばれる部分で感じます。
甘い、辛い、酸っぱい、苦いなど
味覚の分担が味蕾ごとにわかれています。
味覚の分担の、舌の上での位置は一定していません。
味覚異常の原因のひとつとして
微量元素の亜鉛(あえん)の不足が知られています。
扁桃炎
扁桃は、免疫に重要なリンパ組織の集まりです。
口から入ってくる細菌やウイルスの情報をキャッチし、
身体の免疫系が抗体を作るための情報を提供しています。
左右に大きな口蓋(こうがい)扁桃がみえる
扁桃はスポンジのようにすきまの多い構造をしています。
そのため、扁桃には細菌が住みつ
きやすい欠点があります。
からだが健康なときはなんともないのですが、
抵抗力、免疫力が低下すると、
扁桃に住みついている細菌が元気を出して、悪さをします。
細菌が身体に悪さをするパターンはふたつあります。
ひとつは、風邪をひくくたびに扁桃がはれてつよい痛みと高熱がでるもの。
急性化膿(かのう)性扁桃炎です。
もうひとつは扁桃に住みついた細菌が、つねに毒素を放出し続け、
扁桃からはるか離れた 心臓や皮膚、腎臓などに
病気が発生するものです(病巣感染)。
病巣感染のひとつ 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の手足
近年は、昔のようにむやみに扁桃腺の手術をすることはなくなりました。
採血や誘発 テストなどの検査をおこない、
扁桃の身体に対する影響をよく評価した上で手術が必要かどうか検討します。
扁桃の手術には、術後出血の危険性が常にあるので、
2週間程度の入院と安静が必要になります。
飲み込み(嚥下:えんげ)の障害
食事を飲み込む動作は、
舌、咽頭、喉頭の神経、筋肉が微妙に働きあっ ておこなわれています。
どれか、ひとつにでも不都合が生じると、
食事が飲み込みにくい、むせてしまう、などの症状が出現します。
特に大事なのは、喉頭のふた(喉頭蓋:こうとうがい)のはたらきです。
気管の入り口、喉頭とそのふた(喉頭蓋)
喉頭蓋は、食事が肺に入るのを ブロックする役割をしています。
飲み込みのトラブルで、いちばん多いのは神経の障害です。
のどの神経は脳から直接分布しているため、
脳の出血や梗塞によって飲み込みの障
害が生じます。
また、ぜひ注意が必要なのは、
腫瘍、とくに悪性腫瘍がないかどうか確認しておくことです。
痛みをともなわない腫瘍もあります。
のどの異常が気になる方は、
近くの耳鼻 科で内視鏡による検査をぜひ受けておくことが必要です。
声の出るしくみ
きれいな声がでるためには、
喉頭の右と左にある、ふたつの声帯がよく動き、
まんなかでぴったりとすれ合うことが必要です。
声帯の動きが悪い、
左右の声帯がぴったり合うことがさまたげられると
声のかれ(嗄声:させい)が生じます。
息を吸うとき 声を出すとき
反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)
声がかれる原因のひとつに、
声帯の神経の麻痺があります。
反回神経麻痺と呼ばれます。
反回神経麻痺では、声帯の動きが悪いために声がかれます。
反回神経は脳から心臓の近くまで下ったのち、
再び上にのぼってくる不思議な走行をしています。
この神経のとおりみちには、肺、食道、大動脈など大事な臓器が目白押しです。
肺や食道の腫瘍や動脈瘤があると、反回神経麻痺が生じます。
反回神経麻痺による声のかれは、重大な病気を警告します。
声帯ポリープ
声帯がぴったりあうのをさまたげる病気には、
ポリープや腫瘍がありま す。
声帯ポリープは、
大声の出しすぎや、咳のしすぎなどで生じます。
左の声帯ポリープ
喉頭癌
喉頭癌はヘビースモーカーに発生します。
過去にたくさん喫煙した経験があり、最近声がかれてきたなと思うかたは、
早めに 耳鼻科で内視鏡検査を受けたほうが良いでしょう。
運良く早期の喉頭癌であれば、声を 失うことはまずありませんから。
右の進行した喉頭癌
のどの違和感
のどに何にもないはずなのに、痰がからむような違和感がいつもある
という症状を 訴える患者さんがたくさんいらっしゃいます。
ほとんどは実際の病気は何もなく、
ややノイローゼぎみになっていらっしゃる方です。
女性で貧血がひどい方、
男性でヘビースモーカーの方も、
のどの違和感をよく 訴えられます。
注意しなければならないのは、
まれに咽頭や食道の入り口に腫瘍が存在する場合があ
ることです。
まず、耳鼻科で内視鏡検査をうけ、
必要に応じて食道造影などの検査を受けたほうがよいでしょう。
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