号外 平成9年5月21日

携帯用気管支拡張剤は危険?

 平成9年5月20日の新聞(読売、朝日など)で、携帯用気管支拡張剤(正式には気管支拡張薬定量噴霧式吸入剤)の使用が小児における喘息死の原因になりうるとして、その使用を控えるように報道されました。このことは先月テレビで報道されたものと同じ内容です。
  今回問題なったのは一般名フェノテロール、商品名ベロテック(写真・左)です。具体的な内容は、日本小児アレルギー学会喘息死委員会が行った調査で1990年から1996年までに報告された喘息死亡例123例中に薬物過剰投与が死亡の原因と考えられるものが18例あり、そのうち11例が携帯用気管支拡張剤でした。その11例中7例が上記のベロテックを使用していたため、今回製薬会社より医師向けに警告という形で文書が配布されました。
 現在、気管支拡張剤には内服(錠剤、散剤、シロップ)、ネブライザーを用いた吸入用液剤、携帯用吸入器(写真)などがあります。一般的には、これらの薬そのものが危険であるというよりも使用法が不適切であるときに危険な状態になると考えられています。医師から処方を受けた場合には、充分な説明(単に吸入方法ばかりでなく、どんな時に使い、どんな時には使用してはいけないのか、などについても)を受けた上でお使いください。
 吸入用の気管支拡張剤は喘息を根本から治す薬ではありません。しかし、とりあえずの咳や軽い発作をおさめて発作の進展を阻止するという意味では大事な薬です。患者さん(特に思春期の喘息患者さん)のなかには、勘違いをして気管支拡張剤の吸入だけでなんとか発作を止めようとして一晩で携帯用吸入器を一本空にする人がいます。こんな使い方では、ベロテックに限らずどの吸入剤でも死につながる可能性があります。当科ではメプチン・エアーおよび小児用のメプチンキッド・エアー(写真・右)を処方していますが、充分に吸入方法を確認された上で使用してください。また、思春期以降のお子さんをお持ちの方は本人がどの位の頻度で吸入しているのかを時々話し合ってみてください。
 おおまかな目安として、携帯用吸入器が月に1本では足りない、1日に5回以上吸入する必要がある、といった場合には、喘息の基本的な治療法を見直す必要がありますので、外来医にご相談下さい。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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