97年8月号 第7号

 すっかり夏休み。海へ、山へと子供たちにとっては楽しい毎日のことと思います。そんななか暑いからと言って一日家でファミコンをしているお子さんはいませんか?「夏にしっかり遊ぶ」これこそが、喘息発作の起こりやすい秋を迎える最良の準備です。そこで今回のテーマは喘息における水泳の効果です。

最近の話題「なぜ水泳は喘息に良いのか」

 「気管支が弱い」という言い方を医者も患者さんもよく使います。これは何を意味しているのでしょうか。気管支は肺の中の空気が通る管ですが、水道管のように硬いものではありません。管の周りを気管支平滑筋という筋肉が輪ゴムのように取り巻いており、喘息発作ではこの筋肉が収縮して気管支が細くなり(下図)、その狭い管を通して息をするために呼吸が辛くなったりゼーゼーという音(喘鳴)が聞こえたりするのです。喘息の患者さんではこの筋肉が収縮しやすくなっており、その状態を「気管支が弱い(ちょっとしたことですぐ発作をおこす)」と表現します。この筋肉の締りを緩くして気管支を拡げることにより、気管支を一定の太さに保つように働くのが自律神経(外向き矢印)です。気管支以外では血圧、発汗、腸の動きなどにおいて、自分の意思とは関係なく身体のバランスをとるように働いている神経です。生まれた時は未熟ですが、身体の成長と共に発達して思春期には完成されると考えられており、小児期の喘息が自然に治るのはこの自律神経の成熟によると考えられています。
 前置きが長くなりましたが、水泳が喘息に良い理由のひとつは水に入ることによって自律神経が鍛えられるからです。自律神経は皮膚に多く分布しており、水に入って皮膚に温度差という刺激が与えられることによって鍛えられ、その作用は気管支にまでおよぶと考えられています。水泳ばかりでなく(特に小さいお子さんには)、自宅の浴室で冷水浴をしたり、庭で水遊びをするだけでも効果は得られます。喘息に水泳が良い理由の第2番目は、運動による喘息発作の誘発が水泳では殆どないということですが、これについてはいずれお話したいと思います。

?? Q&Aコーナー??

Q:  アトピーに海水浴が良いと聞きましたが...
A:  日本では一般的には効果ありと考えられています。海水成分と紫外線が有効成分とされていますが、その機序(どのようにして効くか)については不明です。気をつけなければいけないのは、海から帰るときに海水をよく洗い流さないと皮膚に残った塩分が痒みの原因になったり、ジクジクした状態の皮膚で汚い海に入ると「とびひ(第6号)」などの皮膚感染症をおしやすくなります。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 8.12.97
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