98年1月号 第12号

 新年明けましておめでとうございます。暖かな新春を迎えましたが、この異状気象が今年のスギ花粉の飛散にどう影響するのか心配です。年が新たまってこのアレルギー外来ニュースは発行2年目を迎えました。本年もよろしくお願いします。さて、今年最初の話題は「気道過敏性」です。

最近の話題「気管支が弱い(気道過敏性)とは? 」

 喘息の人は「気管支が弱い」とよく言われますが、専門用語では「気道過敏性が亢進している」と表現されます。具体的には、気管支が敏感になっており、ちょっとした刺激で発作になりやすいということです。冷たい空気を吸ったり、激しい運動をすると発作になってしまったという経験をされた方は多いのではないでしょうか。この気道過敏性の本体は炎症と考えられています(図)。

 この炎症というものは、簡単に表現すると気管支が傷ついて「ただれた状態」になっているというものです。転んで膝を擦りむいた時のことを想像してみてください。血が止まった後もジクジクと汁がでて、傷がちょっとズボンに擦れただけでも、またお風呂のお湯に触れただけでもヒリヒリと痛いですよね。これは傷が炎症を起こしてとても敏感になっているからです。気管支で同じように炎症が起こると、気管支の周りには平滑筋という筋肉があってそれが刺激に反応して収縮する(第7号参照)ために喘息発作になるのです。

 膝の傷は普通すぐ治りますが、途中でカサブタを引っ掻いて剥がしたりするといつまでもジクジクしていることがあります。気管支喘息でも同じで、起こった発作はきちんと治すことが大切です。

 また、膝の傷は治ったかどうかを目で見て確認できますが、気管支の傷はそう簡単には見ることができません。最近の気管支内視鏡を使って直接調べた報告では「本人の症状が無い状態でも気管支の炎症は治っていない」ということがわかってきました。このことは「ゼーゼーしていなくても気管支の傷は治っていない」ということですし、「発作が無い状態でも、傷(=炎症)が治っていない気管支は敏感で発作を起こしやすい(気管支が弱っている)」ということになります。この治っていない気管支の傷への対処については次回をお楽しみに。

?? Q&Aコーナー??

Q: 喘息のために吸入器を買う予定ですが、どんな点に気をつけて機種を選べば良いのでしょうか?

A: 吸入器は液体を細かい水滴(=霧)に変えて空気と共に気道に送り込むものです。喉用の吸入器など水滴のサイズが大きい機種では、霧が口の中や喉に付くだけで気管支には届かず、期待通りの効果が得られません。器械を動かすために必要な水の量が多い機種も不都合です。購入前にご相談ください。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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