98年4月号 第15号

 ゴールデンウイークを迎え、屋外で遊ぶには最高の季節になってきました。アレルギー性疾患を克服するには体力作りがなによりです。ファミコンばかりしていないでどんどん外へ遊びに行きましょう。今回は、3月に参加してきたアメリカのアレルギー学会で興味深かったいくつかのテーマのなかから「ネコアレルギー」についてです。

最近の話題「ネコを洗ってきれいにする!? 」

 近年のアレルギー性疾患患者数急増の原因のひとつとして「ペットを飼う家庭の増加」があげられます。日本の狭くて湿気の多い住宅はペットを屋内に飼うには適していないのですが、生活の欧米化に伴ってペットを飼う家庭が増加してきています。子供が幼いうちから動物と接することは情緒を育てる上では良いことと思われますが、アレルギーの面からはお勧めできません。ペットそのものに感作(下のキーワード参照)されるばかりでなく、動物を屋内に飼っていると、どんなに掃除をしてもダニの数はペットのいない家庭に比べてかなり高くなってしまいます。図は当科アレルギー外来でのデーターですが、アレルギー性疾患で通院中の患者さんの内、ネコにアレルギーがある、すなわちRAST検査第1号参照)で陽性の人は、2歳以下で約20%、3〜5歳で30%、6歳以上で55%であり、2歳以下の乳幼児において既に5人に1人はネコ陽性という結果でした。過去の統計が無いのではっきりしませんが、ネコ・アレルギーの頻度は増加し低年齢化しているようです。これら全員がネコが原因でアレルギー性疾患になったとは断定できませんが、何人かはネコと接触すると喘息症状が出たり、目が痒くなって涙や鼻水がひどくなり、また皮膚が痒くなってアトピーが悪化するなどの症状を訴えています。また、どこで感作されたかというと、低年齢児では自宅や両親の実家での日常的な接触が最も考えられます。具体的な対策としてペットを手放すのが一番良いのですが、「長年飼っていてかわいそう」「祖父母が飼っているのでしかたない」など、それぞれの家庭の事情があるようです。最近、こまめに洗うとネコのアレルゲン第2号参照)量が減少するという報告が散見されます。どうしても処分できない時には、週に2-3回ネコを洗ってみてはいかがでしょうか?

?? キーワード・それなーに??

感作されるとは、例えば「今まで触っても何ともなかったのに、最近ネコを抱っこするとくしゃみが止まらなくなった」という身体の変化を表します。人間は普通生まれた時には何に対してもアレルギーはありません。その後、毎日いろいろな物を食べたり吸い込むことで、徐々に種々のアレルゲンに対するIgE第3号参照)が作られてアレルギー反応を起こすようになります。一度感作されるとその物質は免疫系の記憶の中に入り、それを消すことは困難です。個体差はありますが、「感作される可能性=アレルゲン量x暴露期間」のような式が成り立ちます。ご注意下さい。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 4.30.98
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