98年7月号 第17号

 だんだんと気温が上がり湿度も増し、本格的な梅雨です。今年もO157などの食中毒が流行しはじめています。食べ物には十分ご注意ください。今月のテーマは先月に引続き、喘息の重症度を正しく理解していただくためのものです。

最近の話題「ママ、僕悪いの? 」

 喘息をはじめとするアレルギー性疾患の治療は、急性期治療と慢性期治療に分けられます。急性期治療は、喘息発作などの急性増悪の状態をとりあえず改善することを目的としています。一方、慢性期治療とは、次回からの急性増悪の回数を減らし、かつ軽く済ませることを目的としています。多くの方は、取り敢えずの苦しみを取り除くための急性期治療が、本来の「治療」と思っているようですが、病気そのものを治すためには慢性期治療こそが重要になってきます。
 では、医師はどのようにして慢性期の治療方針をそれぞれの患者さんに合わせて決定しているのでしょうか? それには図に示した喘息の重症度を決めるところから始まります。前回(第16号参照)示しました基準に沿ってそれぞれの発作の程度を判断し、その頻度によって喘息の重症度がわかります。外来で医師から今までの具合を細かく聞かれるのはそのためですし、喘息日誌をつけたり、毎日のピークフロー値を自宅で測定する(第3号参照)のもそのためです。このような方法でそれぞれの患者さんの重症度が決まると、次に「治療ガイドライン」というものを参考にして最終的な治療方針が決まります。現在、世界規模のものからそれぞれの国の実情にあわせたものまでいくつかの治療ガイドラインがあります。どのガイドラインの内容も大筋では違いがありませんが、先程の重症度の評価が不十分であると治療方針決定に大きな影響を与え兼ねません。発作が起こった時だけ医師にかかるのでは、なかなか病気そのものの重症度が医師には分からず、その場限りのうわべだけの治療になりがちです。少なくとも図で中等症以上と思われる人は発作の有無に拘わらず定期的な受診を続けてましょう。

?? Q&Aコーナー??

Q: 子供が何度も滲出性中耳炎を繰り返しています。なにかアレルギーと関係があるのでしょうか?

A: 滲出性中耳炎とは中耳に水がたまる病気で、耳が痛くなって熱が出る急性中耳炎とは全く別のものです。その急性中耳炎の治りが不完全であったために滲出性中耳炎に移行することもありますが、アレルギー性鼻炎のために滲出性中耳炎を繰り返す場合もあります。人間の顔には耳から鼻に抜ける通り道(耳管)がありますが、その出口がアレルギー性鼻炎でむくんだ粘膜で閉塞し、そのために水がなかなか抜けないのではないかと考えられています。慢性の中耳炎は難聴の原因のひとつです。治りにくい場合にはアレルギーの合併も考慮に入れましょう。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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