98年9月号 第19号

 東海地方が梅雨明けした日に前号を仕上げたため、「梅雨も終わり」なんて見切発車で書いてしまいました。しかし、北陸地方は結局梅雨明けすることなく秋へと移ってゆきます。アレルギーに関する内容は「見切発車」にならないように気をつけますので、これからもよろしくお願いします。さて、今月のテーマは吸入性ステロイドについてです。

最近の話題「ステロイドって吸うものなの? 」

 前回(第18号参照)お示しした小児における「喘息治療ガイドライン」の中で、重症例やコントロール不十分な中等症例に対する吸入性ステロイドの使用について述べました。ステロイドホルモンは腎臓のすぐ上に位置する副腎という臓器の皮質と呼ばれる場所で作られています(そのために副腎皮質ホルモンとも言われます)が、薬として用いられるのは化学的に合成されたものです。以前から内服薬としてプレドニンやリンデロンなどの商品名で種々の疾患に用いられ、成人喘息においては大切な治療薬のひとつです。しかし、喘息小児においては成長障害などの重大な副作用を伴うために長期内服は避けられてきました。近年、吸入用のステロイド(吸入性ステロイド)が開発されましたが、これは今までの経口投与に比べて「副作用がほとんどない」と言ってよい程に安全性が認められています。その安全性の理由を図に示します。経口投与されたホルモンは消化管から吸収されて血液中に入り、何度も全身を循環します。その間、本来の目的である気管支や肺にも効果を発揮しますが、他の臓器では副作用という形でその効果を表します。一方、吸入投与されたステロイドは直接目的臓器に到達して効果を発揮しますが、肺から流血中に入り込んでも瞬時に代謝されてしまうため、全身臓器への副作用をほとんど考慮する必要がありません。ステロイドの一番の効果は炎症を抑えることです。喘息の本態が気管支の炎症であること(第12号、 第13号、 第14号 参照)より、喘息治療における吸入性ステロイドの重要性が御理解いただけると思います。

?? Q&Aコーナー??

Q: お風呂からあがると身体全体に赤く小さな膨疹ができてとても痒がるのですが、お湯が子供の肌に合わないのでしょうか?(アトピっ子の母より)

A: ご質問の一見小さな蕁麻疹のように見えるものは、お湯が合わないのではなく、入浴によって皮膚温が上昇するためにおこると考えられています。一般的に「肌が弱い」人に多く観察されますが、入浴後しばらくすると自然に消えてしまうので、特に処置は必要ありません。ただ、痒いからといって素肌を直接掻きむしると、掻いたこと自体が刺激になってアトピーが悪化しますので、お風呂からでたら素早く薄手のパジャマを着せて直接爪を立てさせないように気をつけましょう。また、痒みの強い場合には、保湿剤や抗ヒスタミン剤の外用薬を使うこともあります。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 9.19.98
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