98年12月号 第21号

 紅葉の季節も過ぎ、いよいよ冬です。秋は喘息の季節でもありますが、学会シーズンでもありました。学会準備に追われたため、11月号をお休みさせていただきました。今月のテーマは喘息の大切なお薬のひとつであるテオフィリン製剤についてです。

最近の話題「この薬は何のため? 」

 気管支喘息の治療でしばしば用いられるお薬の中にテオドールィやテオロングィなどの商品名で知られている徐放性のテオフィリン製剤があります。これには気管支拡張効果や抗炎症効果があるとされています。また徐放性というのは内服後に消化管内でゆっくり溶けてゆくという意味で、このため一日2回の内服で24時間ずっと安定した血中濃度を保つことができます(RTC療法、第18号)。気管支の太さは日中に最大となり、その後夕方から細くなりはじめて、早朝には最も細くなるとされています。この気管支径の日内変動に対応するために徐放性製剤を用いているのです。しかし、非常に有用なこのお薬にも副作用があります。血液中の濃度が20μg/ml以上になると吐気や頭痛を訴え、さらに高くなると痙攣を起こすことがあります。医師の指示通りに内服している時にはこのようなことは起こりませんが、ある種の抗生物質(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)と併用すると血中濃度が中毒域に達することがあります。2ヶ所以上の医療機関でお薬をもらう場合は内容をよく確認してから内服してください。また、テオフィリン製剤内服後間もなくに発作のための点滴を受ける場合にも、同系統の薬剤が同時に入るために血中濃度が上昇しすぎることがあります。点滴を受ける3時間以内に内服した場合には点滴を受ける前にお知らせください。

?? Q&Aコーナー??

Q: 10ヶ月の乳児の母です。医師に「喘息性気管支炎」と言われてお薬をもらうと、その夜はなかなか眠ってくれません。どうしてでしょうか?

A: 喘息性気管支炎にもテオフィリン製剤はしばしば用いられます。しかし、乳児期にはテオフィリン製剤の体内での代謝が悪く、そのため年長児に比して容易に中毒に至る可能性が高くなります。お薬を飲んだ後に、機嫌が悪い、興奮して夜に寝てくれないなどの症状がでた場合には早めに医師と相談してください。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 12.16.98
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