99年8月号 第29号

 8月上旬の信じられないような暑さも一段落したようです。梅雨から夏にかけてダニが最も繁殖するとされています。そして、秋は喘息の季節です。前回(第28号)、掃除の仕方を説明しましたが、今回はなぜダニがアレルギーにとって最大の敵であるのかを解説します。

最近の話題「ダニはアレルゲンの王様 」

  今までの研究から、室内のダニ量(Der p 1やDer f 1などの主要アレルゲン量、アレルゲンについては第2号参照)とアレルギー性疾患との関わりが明らかになってきました。そのひとつに、室内より回収した塵(ほこり)の中のダニ量が一定の値以上(Der p 1 + Der f 1 > 2μg/g 塵、すなわち1g の塵中に含まれるダニアレルゲン量が2μg以上という意味です)の家庭に育った幼い子供は、ダニアレルゲン量がそれ以下の家庭の子供より高率に将来アレルギー体質を獲得するとされています。また、気管支喘息患者の家屋塵中ダニ量が10μg/g 塵以上になると喘息発作を起こす危険性が高くなることもわかっています。そして、我が国は世界中でも最もダニに汚染された国のひとつであり、平均的な室内塵中ダニ量は、前述の値をはるかに超えた20〜30μg/g 塵に達していると言われています。このように、お母さんのお腹のなかでアレルギーとは全く無縁な状態で生まれてきた赤ちゃんが、最初に息を始めてから永続的に吸いつづける物質のなかで、ダニの量が他のもの(花粉など)に比して圧倒的に多いことがご理解頂けると思います。この大量暴露があるからこそ、ダニはアレルゲンの王者でいられるのです。

 近年、建築技術の進歩や社会経済の発展によって、日本の住居環境や生活様式が急激な変化を遂げてきました。一般家庭にも冷暖房が完備されて室内温の一年を通した変化が乏しくなり、また省エネルギー化を目的として部屋の断熱性や機密性が向上し、そのため室内環境が人間ばかりでなく、ダニの生息にとっても好都合になってきました。そのため、表に示すようなダニ生育の至適環境が現在の日本の家屋において1年を通して保たれるようになりました。実際に家屋内でダニが生息しやすい場所として床がまず挙げられます。床でも、板張りやフローリングではダニが逃げ込む場所もないためにその数はあまり多くありません。しかし、畳、さらにカーペットでは、その奥に湿気もこもりやすく、さらに温度もフローリングよりは安定しているためにダニ数が激増します。また、寝具内にもダニは多数います。そこに寝ているヒトの汗や体温で、寝具はまさにダニの培養器といったところです。それ以外にも、子供が毎日抱えているぬいぐるみや、埃のたまりやすいソファやカーテンにもダニは好んで生息しています。やっぱり「ダニ対策」第11号、 第28号)は大切ですね。

お知らせ

 10月1日(金)富山県民会舘において、社団法人空気調和・衛生工学会の主催で「平成11年度市民向け公開講演会(富山) ダニ・カビ対策と住まいのQ&A」が開催されます。この学会は平成6年より各地で講演会を行っています。このたび、富山で10回目が開催されることとなりました。アレルギーにとってダニやカビは重要です。ご参加をお待ちしています。なお、内容や参加方法については、外来のポスターをご覧ください。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 8.24.99
maintained by Yuichi Adachi