99年9・10月号 第30号

 朝晩の風の涼しさに秋の深まりを感じるようになってきました。「読書の秋」や「食欲の秋」などと、秋には色々な形容詞がつきますが、医者の世界では「学会の秋」というぐらいに毎年秋には数多くの学会が開催されます。そのためと言えば言い訳になりますが、今回は9・10月号となってしまいました。ところで、今回のテーマは「喘息の寛解」についてです。

最近の話題「喘息はいつ治るの?」

  「子供の喘息は大きくなれば治る」とか、「治ったと思っていたのにまた喘息になった」といった話を時々耳にします。では、「喘息が治る」ということはどういうことなのでしょうか。今までは経験的に「2年以上喘息発作がなければ寛解した」とされていました。この基準でいくと、喘息小児の7〜8割は思春期までに寛解します。しかし、その後の調査で、一旦寛解した喘息児が成人に達した後で再発する例が結構あることもわかってきました。  そこで、喘息の症状が一旦良くなった時というのは、身体はどうなっているのでしょうか? 図に示しましたようなものが未だに残っている可能性があります。「アレルギー体質」は採血などで評価でき(第12号参照)、「気管支の弱さ」は気道過敏性(第25号参照)で測定できます。さらに、「気管支に残っている傷痕」はスパイロメーターで肺機能を測定することによりある程度わかります。成人喘息では、気管支の弱さと傷痕はなかなか改善できないとされています。しかし、小児期発症の喘息児や成人でも発症1年未満の喘息患者さんについては、今までのデーターからこれらの要素についてかなりの改善が期待できます。これは、「子供の時の傷や、大人になっても受傷してすぐの軽い傷は痕を残さずきれいに治る可能性が高い」ことと同じと考えられます。「最近、喘息が良くなってきたな」と思ったら、これらの検査で客観的な評価をしてみることをお勧めします。

?? Q&Aコーナー??

Q: うちの喘息児ですが、最近ほとんど発作を起こさなくなって、医師から「寛解した、すなわち良くなった」といわれました。なぜ「治った、あるいは治癒した」と言ってもらえないのでしょうか? また、「寛解」と「治癒」にはどういう違いがあるのでしょうか?

A: 寛解とは一旦良くなったが再発する可能性があるということで、治癒とは一般的に二度と再発しないことを意味します。喘息の場合、一旦症状が出なくなってから、再び喘息症状をくり返すようになることをしばしば経験するので、なかなか治癒という言葉が使えないのです。しかし、上に述べたような検査を駆使することで、気管支については治癒という言葉もある程度使える可能性は出てきています。ただ、アレルギー体質は、程度の差はあれ「一生もの」ですので、各種アレルゲンには十分ご注意を!


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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