2000年4月号 第35号

桜の頃も過ぎ、木々の鮮やかな緑が目にしみる季節になってきました。しかし、今年はスギ花粉も目にしみた人が多かったのではないでしょうか。最近のアレルギー外来ニュースは気管支喘息の話題ばかりでしたので、今月は食物アレルギーに目を転じみてることにしました。

今月の話題「食べるとどうなる? 食物アレルギー」

 食物アレルギーという言葉から最初に連想されるのは「エビやサバを食べると蕁麻疹が出る」ということではないでしょうか。実際には、食物アレルギーは図に示すように経口摂取から症状が出現するまでの時間の違いによって「即時型」と「遅延型」に分けられます(第10号)。「即時型」は文字通り食べた直後から30分以内の間に症状が現れるものですが、その症状はさまざまです。最も多い症状は蕁麻疹ですが、それ以外に呼吸器症状や消化器症状を伴うこともあり、さらに顔色不良となって血圧低下まできたすこと(アナフィラキシー症状)もあります。離乳食で赤ちゃんに卵を与えたら全身に蕁麻疹が出てぐったりしてしまった、というのもその1例です。即時型反応では食物特異的IgE(第3号)が関与していることが多いのですが、その特異的IgEは赤ちゃんが自分で作るものですから、生まれて初めて口にした食べ物ですぐアレルギー症状を呈した場合には、妊娠中に母親の体内で既に卵に感作(第15号)されていたのか、あるいは経母乳的に感作されたかのどちらかです。このような事実から、生まれてくる赤ちゃんがアレルギー性疾患になりにくくするために、母親が妊娠中ならびに授乳中は食事制限すればよいという説もありますが、いまのところ賛否両論あって結論は得られていません。即時型反応呈する食物は、エビ・サバ・卵以外に牛乳、小麦、大豆、米、ピーナツ、ソバなどがあります。次回はさらに話を進めていきます。

フルタイド(商品名)の吸入方法にご注意下さい

 今まで、吸入性ステロイド(第19号)といえば、一般名ベクロメサゾン(商品名:ベコタイド、アルデシン)でしたが、最近新しい薬、一般名フルチカゾン(商品名:フルタイド)が発売されました。以前からのものは環境問題で話題のフロンガスと薬剤が小型のボンベに詰められたものでしたが、今回のものは粉末がカプセルの中に入っていて、ディスクヘラーという器具を使って吸います。ガス式のものを吸入する場合は、ゆっくりと深く吸うのが正しい吸入方法ですが、今回のものは早く息を吸うのがコツです。ご注意下さい(吸った後にしばらく息を止めるのは同じです)。現在よく薬液として使われているインタールも以前は粉末入りのカプセルをインハレーターという器具を使って吸入していたものですが、吸入効率の面から液剤に変更されました。しかし、昨今の環境問題の観点から、さらに吸入効率を改善させた吸入器具の開発により、今後は再びカプセルタイプに戻って行きそうです。  しかし、乳幼児〜年少児ではやはりスペーサーを用いた従来通りのボンベ式か、あるいはネブライザーを用いた薬液タイプが適当なようです。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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