2000年7月号 第38号

今年はとても暑い夏のようで、北極の氷がどんどんと溶けていくのではないかと心配になります。いくら暑いと言っても子供が昼間からクーラーのきいた部屋でファミコンしているようではダメです。今のうちに身体を鍛えて秋の喘息シーズンに備えましょう。今回は、新しい坑アレルギー薬(商品名、オノン)についてです。

今月の話題「オノンって何なん?」

 以前に(第22号, 第32号)気管支喘息の病態とそれに合わせた治療について図説しましたが、最近新たに商品名オノンという新しい坑アレルギー薬が小児にも処方できるようになりました。気管支喘息発作の時に、体内では肥満細胞(第5号)や好酸球(第4号)などのアレルギー反応に関与する細胞から種々の化学伝達物質(ヒスタミン、トロンボキサン、ロイコトリエンなど)が放出され、その作用によって気管支が収縮したり、炎症がおきたりします。坑アレルギー薬といわれるグループの薬は、それぞれの化学伝達物質の産生を抑えたり、その効果を落としたりすることで、喘息治療に貢献しています。今回のオノンという薬の特徴は、効き目が早く出てくることです。今までの坑アレルギー薬では、効果判定に少なくとも2〜4週間を要しましたが、オノンは1〜2週間で効果が現われてきます。これは、患者さんにとっても効果が実感できるばかりでなく、医療者側からすると、もし効果がなければ早めに次の治療に移れるといったメリットになります。一方、坑ヒスタミン効果を併せ持っていないためにアトピー性皮膚炎を合併している場合には、別の坑アレルギー薬を併用しなければいけない場合が出てくるというマイナス面もあります。また、表に示したように日本では実に多くの抗アレルギー薬が発売されており、それぞれの患者さんに薬剤を処方する際にどのような基準で選択すればよいのかはまだ明確にはされておらず、今後の課題と思われます。

?? Q&Aコーナー??

Q: 子供は喘息とアトピー性皮膚炎をもっています。その治療として、現在インタール+メプチンの定期吸入とザジテン内服を行っています。インタールもザジテンも坑アレルギー薬ですが、併用しなければいけないのでしょうか?

A: ご質問のように疑問を感じられることはよく理解できます。これに対する回答は二つあります。ひとつは、吸入薬はあくまで局所(すなわち気管支〜肺)にしか効果がありません。そのため、アトピー性皮膚炎に対して内服治療が必要と考えた場合には坑アレルギー薬の内服が処方されます。第2の答えとしては、我が国における小児気管支喘息治療ガイドラインにも記載されていますが、中等症以上の喘息に対しては吸入ならびに経口の抗アレルギー薬が併用できることになっています。以上のように、喘息のみ、あるいは喘息+アトピーの患者さんに対して吸入+経口の抗アレルギー薬の処方は利にかなうももと思われます。しかし、経口の抗アレルギー剤を二つ以上同時に用いることは一般的ではありません。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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