2000年8月号 第39号

7月末には、体温を超える程の猛暑がこのまま永遠に続くのではないかと不安にかられていましたが、夏休みも後半に入り、日の入りも徐々に早くなって秋の気配を感じようになってきました。秋になると、またまた喘息の季節です。今回は、「思春期喘息」について解説します。

今月の話題「思春期喘息って特別なの?」

 「思春期喘息」という言葉がありますが、これは思春期の喘息患者さんは他の時期の子供達とは違って特別な病態をもっているという意味ではなく、思春期の患者さんはなかなか治療に協力してくれないために治療が難しいといった意味合いで用いられています。思春期になって治療の主体が保護者から本人に移行するために、1) 長期管理薬(吸入性ステロイド 第19号、インタール吸入 第23号、経口抗アレルギー薬 第22号)による治療がおろそかになる、2) 気管支拡張薬吸入( 第26号)の多用と依存、3) 受診回数の低下と不定期化、4) 病状の認識が甘いなどが、思春期喘息の問題点として挙げられます。また、厚生省人口動態統計よりますと、わが国では1985年から10年間、15〜19歳の特に男性において喘息死亡例が同一年齢人口10万人に対して0.5例から1例へと約2倍の増加を認めており(1995年以降は減少傾向にありますが)、喘息死の危険性も思春期喘息の特徴のひとつと考えられています。  思春期とは、依存と独立との葛藤の中で自我同一性の獲得・確立へ向けて心が揺れ動く時期であるとされています。具体的には、発作が起こった時には親に頼りたいという気持ちと、その逆に実際に親にとやかく言われる煩わしさ(独立したいという気持ち)とが複雑な心理作用をおこすものと考えられます。そして、少しでも発作を起こしたくない、あるいは親に発作が起きたことを知られたくないという気持ちから、喘息治療薬の中で最も即効性の高い気管支拡張薬吸入を用いて自分一人でなんとか対処しようとします。一方、患者さん自らの長年にわたる喘息とのつきあいの中で、「自分だけは大丈夫だ」との根拠の無い自信や、「何をしても治らない」といった無気力な心理から、気管支拡張薬吸入以外の治療を拒否したり、気管支拡張薬吸入すらもかなり苦しくならないと行わないといった相反する状態にも陥りやすくなります。  表に治療者側の対応を列記しましたが、保護者の方にも十分に参考になると思います。特に大切なことは、患者さん自身に自分の重症度を客観的に示すことによって、治療の必要性を納得してもらうことです。そのためには、外来で行っているフローボリューム( 第33 34号)や気道過敏性( 第25号)などの肺機能検査が重要となります。是非ご活用ください。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 9.15.00
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