2000年10・11月 第41号

 ようやく暖かい秋も終わりを迎えたようです。例年ですと、9月から10月にかけてが最も喘息発作が起こりやすい季節なのですが、今年は約1月遅れたようで10月から11月にかけて発作が多かったようです。皆さんはいかがでしたか?秋は学会シーズンで忙しかったため、今回は10,11月合同号です。

今月の話題「この薬、1日1回で大丈夫?」

 昔は、お薬といえば1日3回と決まっていましたが、今ではアレルギーに対するお薬は1日2回が主流になってきています。そして、最近では1日1回の服薬や貼付で十分に効果を発揮するものまで登場してきています。このような流れになってきた理由として挙げられるのは、まず定期的な薬の使用(コンプライアンスと言います)を推進させるためです。喘息などの慢性疾患の治療には、定期的な内服や吸入が欠かせません。今まで内服が不規則だったためにコントロール不充分だった喘息患者さんが、1日1回の薬に変更してから症状の改善が得られたということは時々経験します。2番目の理由としては、1日1回夜に使用という方法が、喘息における朝方の落ち込み(モーニング・ディップネスと言います)に有効だからです。人間の身体はもともと日内変動といって1日の間でも常に変化しており、これは自律神経によって調節を受けています。そのため、気管支の太さは朝方に最も細くなり、特に喘息患者さんではその程度が強く、朝方咳込んだり発作になったりするのです。1日2回の薬は一応12時間効果があることになっていますが、一番効いてほしい朝方にはやや力不足になっています。ところが、1日1回の薬ですと、朝方の落ち込みの頃が最も効果が得られる時間帯となるわけです(この効果を得るためには、夜に内服や貼付することが必要です)。ユニフィルの成分はテオロングやテオドールと同じであり、ホクナリンテープ(第27号)は同名の内服薬があります。このように、薬の種類を変えなくても、その身体への吸収され方を変更することによってより効果を上げることができるのです。また、1日1回の薬は血中濃度の変動が小さいために、気管支拡張剤の内服をすると心臓がドキドキするが貼付なら大丈夫というように、副作用の軽減という良い面も持っています。しかし、これらの薬には即効性がないため、現在の苦しい症状を改善させるために用いてもあまり効果が得られませんので、どういう時に使用すればよいのかは主治医とよく相談して下さい。

最新文献紹介コーナー

「上に二人以上の兄弟姉妹のいる子や生後6ヶ月前から保育所に通っている子は喘息になりにくい!」

これは New England Journal Medicine という世界的に有名な医学雑誌に最近掲載された論文の内容です。アメリカのツーソンという町で生まれた1035人の子供たちを13年間追跡調査した結果、自分より上に二人以上の兄弟姉妹がいるか、生後6か月前から保育所に通っていた子供は、2歳まではゼーゼーする率が高いのですが、その後13歳になるまでゼーゼーする率は他の子供たちより低くなっていました。これには複雑な免疫学的理由(いずれ解説します)があってのことで大変興味深いのですが、皆さんはわざわざ風邪をひかせるようなことは控えて下さい。 (Ball TM, et al. New Engl J Med 200;343:538-543)


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 11.24.00
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