2001年3月 第45号

 年度替わりの季節です。卒業、入試、入学と人生の大きな節目の頃であるとともに、アレルギーの季節がスギの花粉で開幕です。また、1年新たな気持ちでアレルギーと仲良く付き合ってゆきましょう。

今月の話題「吸入性ステロイドの安全性」

 ステロイドホルモンと聞くと恐い薬といったイメージを持っておられる方も多いと思います。この恐いイメージは、主に内服薬による種々の副作用から来るものです。一方、吸入性ステロイドは、第19号で説明したように全身性の副作用はほとんどないとされていますが、年単位で用いる薬剤であるため小児の成長に対する影響を憂慮する声が上がっていたことも事実です。しかし、「小児に長期間使っても成長には影響なし」という研究結果が昨年報告されました。用いられた薬剤は未だ日本では市販されていないブデソナイドという薬ですが、142名の子供たち(平均年齢9歳)が平均9年間吸入を続け、その子供たちが最終身長に達した時(平均18歳)の身長を予測される最終身長と比較しました。図に示すように(著作権の問題でネット上では、未提示)、実際の最終身長は予想値とよく一致しており、このことから長年にわたる吸入性ステロイドは小児の成長に影響しないという結論になっています(発表論文は、New England Journal of Medicine 343:1064;2000)。吸入性ステロイドは気管支喘息の患者さん全員に使用しなければいけない薬剤ではありませんが、使用するに当っては通常量の投与であれば成長に関して心配する必要はなさそうです。

学会便り

今年のアメリカ・アレルギー学会の話題

正式名称はアメリカ・アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI)ですが、今年の3月上旬に世界中から医療関係者が多数参加してニューオリンズで開催されました。その中で話題になっていたのは、分子生物学(遺伝子などに関係する学問)を活用した新たなる治療の可能性でした。例えば、アレルギーで重要なIgE(第3号)に対する抗体を用いる治療法や、遺伝子パターンからその人によく効くお薬や投与方法を決定する方法など、近い将来に現在のアレルギー治療法ががらりと変わってしまうような内容のものが数多く紹介されていました。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 4.30.01
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