2001年7,8月 第48号

 暑い、暑い。まさに夏、真っ盛りです。しかし、お盆を過ぎればもうすぐ秋です。またまたやって来る喘息の季節。夏のうちから調子が悪い人は秋が思いやられますし、この夏には調子が良かった人は今年こそは良い秋を過ごすことができるでしょうか。今回のテーマは、喘息治療のさじ加減についてです。

今月の話題「ステップアップ、ステップダウン」

 「ステップアップ、ステップダウン 」と言われると、なにか体操の掛け声のように思われるかも知れませんが、これは喘息を治療する上での大切な考え方です。以前、喘息の治療に関するガイドラインについて解説しました(第18号)。それをご覧になるとお分かりになると思いますが、重症度が増すにつれて階段状に治療の質も量も増加しています。そこで、我々が治療方針を選択する時には、弱い治療から始めて効果がなければ次のステップに進むというステップアップと、まず少し強めの治療方法から始めて効果が出てきたら少しずつ治療レベルを下げていくというステップダウンのふたつの考えから選択してゆきます。ステップアップは弱い治療から始めるので副作用が出る可能性が低いのですが効果が出るまでに何度も試行錯誤をしなければならず、一方ステップアップは効果発現が早いのですが副作用が出る可能性もあるとされていました。そのため、小児科では一般的にステップアップ方式を、成人ではステップダウン方式を採用する傾向が強かったようです。ところが、近年次々に開発される薬剤に関しては、必ずしも「強い薬イコール副作用も強い」とは言えなくなってきています(第45号)。そのため、小児の喘息治療においてもステップダウンが主流になりつつあります。  この考え方はアトピー性皮膚炎にも当てはまるもので、まず強めのステロイドをさっと使い、皮膚症状が落ち着いたところで徐々にステロイドの強さを下げてゆくというのがステップダウンに当たります。

学会便り

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会の話題

 6月7-8日、第18回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会が千葉で開催されました。普通、医学の学会というと医者ばかりの集まりですが、この学会では、看護婦さん、臨床心理や学校の先生方も参加されて、子供がアレルギー性疾患に罹患しているということから派生するさまざまな問題を取り上げています。そのなかで、思春期の患者さんにおける心理的側面、また看護婦さんや学校の先生方とアレルギー性疾患児との関わり方について、さらには長期施設入院療法のあり方など、多方面の分野での意見交換が行われていました。現代の医療は、科学技術の進歩に伴って次々と新薬が開発され、病気の治療=薬物療法という構図になりつつあり、実際に当科のアレルギー外来でも薬についての話が主になっていまいがちです。しかし、アレルギー性疾患のような慢性に経過する病気においては、人間同士の関わりを通しての治療も決して忘れるべきではなく、今後このアレルギー外来でもどのように取り組んでいけばよいのかと考えさせられる学会でした。


富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 10.9.01
maintained by Yuichi Adachi