2002年2月 第53号

 最近の雪は軟弱で、降ってもすぐに溶けてしまい、子供たちが雪遊びをするにはものたりないぐらいです。暖かい日が出始めると、そろそろスギ花粉の季節です。花粉症の皆さん、準備はよろしいでしょうか?

今月の話題「牛乳アレルギーにミルクを!?」

 我が国の乳幼児における食物アレルギーの頻度は増加傾向にあります。アレルギーをおこす原因食物のトップは鶏卵で、牛乳、小麦(以前は大豆)と続きます。全員ではありませんが、食物アレルギーの治療としてこれらの食品を制限することがあります。しかし、牛乳はカルシウムの供給源として大切なため、短に牛乳を禁止するのではなく大豆乳や特殊ミルクを代替として用いることもあります。現在、牛乳アレルギー用のミルクが数種発売されています。牛乳アレルギーの原因物質は、牛乳に含まれるカゼインなどの蛋白質です。特殊ミルクでは、牛乳に含まれる蛋白質を酵素の働きで分解してアミノ酸に変えて、アレルギー反応が起こらないように工夫されています。そして、もともと蛋白質は消化管で分解されてアミノ酸となり、それが吸収されて栄養となるのですから、栄養としては普通のミルクと全く変わりませんし、蛋白質以外の栄養素はカルシウムを含め全て普通のミルクと同等になるように調節されています。表に現在我が国で市販されている特殊ミルクを示しました。分解の程度から、3つのグループに分けられます。最もしっかりと分解してあるミルクは、「MA-1」、「エピトレス」、「ペプディエット」です。これらのミルクでも、完全に分解されているのではないため、非常に強いミルクアレルギーを持っている児では症状が誘発されることが稀におこるとされています。また、「ペプディエット」には大豆の成分が含まれているために、大豆アレルギーを合併している子供には不向きです。このように、これらのミルクには気をつけなければいけないことはありますが、牛乳アレルギーを治療するうえでは概ね満足いく結果が得られています。しかし、最大の難点は味が悪いことです。そのため、乳糖を加えた「のびやか」というミルクも市販されています。これは、上記のミルクに比べると少し分解率が低くなっているようですが、実際の外来で患者さんに使ってみると、アレルギーに対する効果はあまり変わらないようです。ただ、乳糖を多く含むために下痢をしてしまう赤ちゃんもいますのでご注意下さい。また、「牛乳アレルギーにならないための予防のミルク」といって勧められるミルクもあるようですが、これでは完全には予防することは不可能ですし、牛乳アレルギーの赤ちゃんには不充分です。牛乳アレルギーが疑われた場合には、まず医師に相談した上で特殊ミルクを用いるかどうか、また用いるのならどのミルクにするのかを決めてください。

* 乳糖:「乳」という字が含まれているために、よく牛乳アレルギーの人はこれが入っているものはダメだと思っているようですが、これは牛乳の中に含まれる糖分で牛乳アレルギーの人でも大丈夫です(アレルギーを起こすのは蛋白質)。ただし、大量に摂ると下痢をすることがあります。
食物アレルギー研究会の話題
 昨年12月に東京で「第2回食物アレルギー研究会」が開かれました。この会の特徴は、医師だけの研究会ではなく、食物アレルギーに関心のある一般の方から食物アレルギー児を預かる保母さん、給食栄養士さん、学校の先生などが参加しているところです。今回の発表で特に感心したのは、長野県松本市の学校給食センターでは、なんと食物アレルギー児童のためのスペシャルメニューを毎日、専属のスタッフが調理して、それぞれの学校に届けているという事実でした。食物アレルギーは、ある意味では社会問題のひとつであり、今後このような取り組みが全国規模で発展することが期待されます。
 また、以前にもご紹介しましたが(第46号)、食物アレルギー児の原因食物を同定するための新しい方法(目隠し方式の食物負荷試験)を当科でも実施しております。興味のある方は、外来担当医師にご相談下さい。


編集後記:平成14年から、大学のホームページの構成が変わりました(アドレスも一部変更になっています)。アレルギー外来ニュース以外にも、小児科全般にわたる内容の充実を心がけています。一度ご覧下さい。(誘)
 

富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 25.2.02
maintained by Yuichi Adachi