2002年5月 第55号

 今年のスギ花粉は昨年と同様に数多く飛散しました。皆さんの目や鼻の調子はいかがだったでしょうか。春にはいろいろと新しいことが始まりますが、今回は食品の表示制度が新しくなったことについてです。

今月の話題「卵、入っているかな?」

 今年の4月から加工食品に含まれるアレルギー物質の表示が改定されたのをご存知でしょうか。我が国における食物アレルギーの実態調査の結果をもとに、厚生労働省が製造・加工・輸入された加工食品の新しい表示制度を始めたのです。その中に含まれる食品は、表に示しますように「必ず表示される5品目」と「表示が勧められている19品目」です。この改定によって今まで以上に表示が細かく規定されることになり、食物アレルギーの方々ならびに食事の世話をされる保護者の方には朗報といえるでしょう。しかし、今回の改訂でもいくつかの問題点があります。まず、「表示が勧められる」という表現が非常に曖昧です。これはそれぞれのメーカーにその表示を勧めるというだけで表示義務はないわけですから、あるメーカーはきちんと表示するが他のメーカーは全く表示しないという可能性があるわけです。一方、他の食品と共通の製造ラインを用いているために、本来の原料と関係なくアレルギーの原因物質が混入する(コンタミネーションと言います)可能性があれば、どんな微量でも表示するというメーカーも出てくるでしょう。すると、前者の場合には、表示が勧められている品目に関しては、表示を100%信じるわけにはいかないということになりますし、後者の場合には、本来なら食べられる程微量にしか含まれていない(あるいはもともと含まれていないかもしれない)のに食べられなくなってしまうという現象が起こりえます。 対策としては、過去に30分以内に全身症状(ショックや呼吸困難など)を呈したことのある食物アレルギーの人は、たとえ表示にその食品が含まれていなくても、初めて摂る加工品はまず少量のみから始めた方が無難でしょう。一方、今まで食べていた加工品に関しては、たとえこの改定によって自分が摂ってはいけない食品が新たに追加されても、基本的には食べても問題ないと思われます。ただし、自己判断は危険です。疑問がある場合には主治医にご相談ください。
デンマークでのシンポジウム
 4月下旬、デンマークで開かれた国際シンポジウム「Asthma Begins in Childhood(喘息は小児期に始まる)」に参加してきました。世界30数カ国から多数の小児科医が集まり、乳幼児喘息の多様性、吸入ステロイドの必要性、ピークフローメーターの有用性、乳幼児期の環境とその後の喘息発症の関係、喘息の予後と治療の関係についてなど、実にさまざまな内容について議論されました。小児の喘息といっても、乳幼児期の喘息と思春期の喘息とでは、その病態や治療法は非常に異なっています。しかし、乳幼児期にはあまり多くの検査ができません。今後より客観的な手法を取り入れて、有効な治療法を見つけていく必要があると思います。

富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

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