2002年6,7月 第56号

 花粉の季節が終わり、台風の時期がやってきました。「うちの子供を見ていると、天気予報より早く台風が接近してくるのがわかります」と言われるお母さんがおられますが、喘息のお子さんは台風など気圧や気温の変化にとても敏感なようです。
さて、今回は粉末タイプの吸入薬のお話です。

今月の話題「粉って吸うもの?」

 薬物を気管支へ直接送り込む吸入療法は、喘息の治療において内服薬と同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。吸入には、ネブライザーを用いる場合と携帯用吸入器を用いる場合があります。そのうち、携帯用吸入器は吸入時間も短く大変便利なものですが、以前からのものは薬剤を霧状にするためにフロンや代替フロンを用いていました。しかし、ご存知のようにこれらのガスは大気中のオゾン層を破壊することが明らかとなり、環境問題の観点からこれらのガスが近い将来使用できなくなります(フロンは既に使用が禁止されました)。そのため、携帯用吸入器は粉を空気と一緒に吸い込むタイプに変わりつつあります。粉末タイプは以前からもあったのですが、その方法では吸入するたびに粉末の入ったカプセルを吸入器に装填してから吸入する必要がありました。最近開発された吸入器では、1〜2ヶ月分の薬剤がひとつの容器に充填された形で手に入るようになりました。さらに、その容器に入っているお薬が少なくなるとお知らせする機能も付いて、至れり尽くせりといった感じです。難点としては、ある程度の力で吸わないと必要量を吸入することができないことが挙げられますが、最近の改良によってより低年齢児でも吸えるようになり、今のところ小学生になればほとんどの子供さんに、また4歳以上の吸入が上手な子供さんなら吸入できるようです。もちろん、ネブライザーでするインタール吸入や抗アレルギー剤の内服も喘息治療にとって重要なものですが、吸入ステロイドなどはこのような粉末タイプに移行しつつあります。器具の使用方法については、事前に指導を受けてください。
「日本小児難治性喘息・アレルギー研究会」
 先日、医師・看護師(最近看護婦から名称が変わりました)・理学療法士・栄養士・教師などのいろいろな職種の人々が集まる学会で、喘息に対する理学療法についてのシンポジウムが開かれました。理学療法は主に排痰と呼吸補助を目的としています。以前から知られている方法としては口すぼめ呼吸や腹式呼吸があり、最近ではスクィージングという胸を圧迫して呼吸を補助する方法の有効性も報告されてきています。しかし、これらの方法は病院などの医療現場では有用とされていますが、いずれの手技もある程度の熟達が必要であること、また理学療法だけで喘息発作を止めることはできないこともあり、これらの方法を自宅で行うことに関しては賛否両論あるようです。

富山医科薬科大学小児科アレルギー外来
last modified 15.7.02
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