アレルギー外来ニュース 平成14年11月号

2002年11,12月 第59号

 今年の秋は「秋を通り越して、一気に冬へ」と、急激に寒くなってしまいました。そのためか風邪などの気道感染症が流行し、それによって喘息の調子を崩した人も多かったようです。天候不順はこんなところにまで影響が出るようです。
 今回からしばらくは、今年11月に改訂された「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2002」について解説します。

今月の話題「新しいガイドライン(その1)発作の重症度」

 家庭で発作をおこした時にその発作がどの程度であるかを判断することは、その後の対処方法を決定する上でとても大切です。以前から用いられていた分類では症状やピークフロー値でその重症度を判断していましたが(第16号51号参照)、今回の改訂では新たに吸入後のピークフロー値(第3号44号参照)も導入されました(表)。
 症 状ピークフロー
吸入前吸入後
小発作軽いゼーゼー。>60%>80%
中発作明らかなゼーゼー。呼吸困難を伴う。30〜60%50〜80%
大発作強いゼーゼーと呼吸困難。起座呼吸を伴うことあり。 <30%<50%
呼吸困難:息をする時に肩が上下したり、お腹や胸が大きく動くことでわかる
起座呼吸:苦しくて寝る(横になる)ことができない状態

 ピークフローの値には年齢別の正常値がありますが(第43号参照)、喘息児では個人による差が大きいので症状のない時の安定した値を標準値とし、その値の何%になっているのかを評価することによって発作の程度を客観的に判断することができます。さらに、自宅に吸入器をお持ちの方には、メプチンやベネトリンなどの気管支拡張剤を吸入した後の値が病院を救急受診したほうがよいかどうかの目安になりますので、ぜひ活用してください。  以下に例を示します。いつもピークフロー値が200前後の6歳の子供さんがゼーゼーしていたとします。そのときのピークフローの値が、120以上であれば小発作、60〜120は中発作、60以下なら大発作となります。また、気管支拡張剤を吸入後でもピークフローの値が160以上にならなければ、病院を救急受診することを考えたほうが良いでしょう。

ガイドラインについて

 「ガイドライン」とは何だろうと思われる方も多いと思います。10年ほど前から、喘息に限らずいろいろな病気に対するガイドラインが、国の機関あるいは学会などが中心となって作られてきています。この動きは日本だけのことでなく、WHO(世界保健機構)のような国際的な機関が世界規模のガイドラインを作ったりもしています。
 ガイドラインの目的は、喘息の管理や治療方法をワンパターンの型にはめ込んでしまうことではなく、その領域における最新の信頼できる医療情報を全ての医師が共有することにあります。このことによって、全ての患者さんがより良い医療を受けられるチャンスが増えますし、自分勝手な医療をする専門家(?)に対する歯止めにもなります。しかし、ガイドラインはあくまでの目安ですから、これに縛られすぎることなく、上手に活用するように心がけるべきと思います。
【編集後記】「ガイドラインによる治療」と「マニュアル化された医療」との差を明確にしなくては!(勇)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 20.12.02
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