アレルギー外来ニュース 平成15年3月号

第61号 2003年3月

 春の到来を感じされるものにはやわらかい日差しのように心地良いものと、その日のスギ花粉の飛散量が目や鼻で感じられるような不快なものがあります。最近は、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の発症年齢が低年齢化しているようです。皆さんはいかがですか? 今回も、昨年11月に改訂された「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2002」についてです。

今月の話題「新しいガイドライン 長期管理について(1)」

 前回までは喘息発作への対応方法について、我が国のガイドラインではどのように記載されているのをお示ししました(第5960号)。今回からは、喘息そのものへの対応について解説します。喘息の治療は急性期の発作治療と慢性期の長期管理の二つに分けられ、特に長期管理をきちんと行うことが喘息を完全にコントロールし、さらに寛解・治癒へと導く秘訣とされています(第14号)。ガイドラインでは、患者さんの重症度に応じた治療方法(ステップで表しています)を明示することによって、よりきめ細かい治療計画が立てられるようになっています。まず、皆さんはご自分のお子さんがどの程度の状態であるのかを表を参考にして判断してみてください。医師は、さらに細かい問診や肺機能を含めたいろいろな検査の結果を参考にして重症度を判断し、その重症度に応じた治療法をご家族と相談の上で決定します。
喘息の重症度分類
重症度
症状とその頻度
間欠型
(ステップ1)
年に数回、季節性に咳嗽、軽度喘鳴が出現する
時に呼吸困難を伴うこともあるが、β2刺激薬の頓用で短期間で症状は改善し持続しない
軽症持続型
(ステップ2)
咳嗽、軽度喘鳴は1回/月以上、1回/週未満
時に呼吸困難を伴うが持続は短く、日常生活が障害されることは少ない
中等症持続型
(ステップ3)
咳嗽、軽度喘鳴は1回/週以上、毎日は持続しない
時に中・大発作となり日常生活が障害されることがある
重症持続型1
(ステップ4-1)
咳嗽、軽度喘鳴が毎日持続する
週に1〜2回、中・大発作となり日常生活や睡眠が障害される
重症持続型2
(ステップ4-2)
重症持続型1に相当する治療を行っていても症状が持続する
しばしば夜間の中・大発作で時間外受診し、入退院を繰り返し、日常生活が制限される
 今回改訂のガイドラインは以前からのもの(第17号)といろいろな点で異なりますが、この理由は、以前からある世界標準のガイドライン(世界保健機構、WHO作成のGINA)とある程度基準を合わせるために変更されたためのようです。

アメリカ・アレルギー学会(AAAAI)便り


 3月8日〜12日に米国コロラド州デンバーで開かれたAAAAIに参加してきました。最近の話題は「衛生仮説」というものです。「衛生仮説」とは、世界的にアレルギー疾患の患者数がどんどん増え続けている理由は、その地域での衛生条件が良くなったためだというものです。本来、バイ菌に対抗するために使われていた免疫機能が、衛生状態が良くなったために利用されなくなり、その分アレルギーを発症しやすくなったと仮定されています。しかし、衛生条件が良くなった分だけ、色々な感染症の頻度が減って死亡率も著減した訳ですから、どちらがいいのかよくわかりませんね。しかし、この事実を元に新しい予防方法や治療方法が開発されつつあるようですから、期待して待つことにしましょう。
【編集後記】世界情勢が緊迫している中で開催された学会で、飛行場でのボディーチェックの厳しさに平和の大切さを痛感しました。(憂)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 28.05.03
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