アレルギー外来ニュース 平成15年10,11,12月号

第66号 2003年10,11,12月

 晴れた日に見える立山連峰の頂には早くも雪が積もっているようで、白く輝いています。喘息の皆さん、今年の秋はいかがでしたか? 冷夏のままで突入した秋だったので、調子が悪かった人も多かったようです。
 さて、今回は今年発売になった長く効く気管支拡張薬について解説します。

今月の話題「長〜く効く気管支拡張薬について」

 気管支喘息に対する薬物療法は、「発作治療薬」と「長期管理薬」の二つに大別できます(第49号)。今までは、気管支拡張薬(β刺激薬とも呼ばれています)は「発作治療薬」、すなわち発作の時の苦しさを取り除くものと位置づけられていましたが(第40号)、「長期管理薬」すなわち発作予防のために使用できる新しいタイプの気管支拡張薬が最近発売されました。商品名は「セレベント」。図のように粉末を吸入するタイプのものしか販売されていないために、ガイドラインでは6歳以上で使用可能となっています(第62号)
 この気管支拡張薬の特徴は効いている時間(作用時間と言います)が今までのものより長いために、1日2回の吸入で常に安定した効果が得られるという点です。その反面、即効性に乏しいために発作が出た時に吸入してもあまり効果が期待できません。また、長時間効果のある気管支拡張薬としては以前から「ホクナリン・テープ」がありますが(第27号)、両者の効果を直接比較したデータが十分揃っていない現段階ではどちらが良いとは判断しかねるため、ガイドラインでは併記する形が採られています(第62号)。しかし、現実的には幼児では「セレベント」を上手に吸うことが難しいために「ホクナリン・テープ」に頼るところが大きいようです。
 「セレベント」と「ホクナリン・テープ」を長期間使用する際の注意点は、必ず抗炎症効果のある薬剤と併用するということです。喘息の本態は気管支の炎症ですが、気管支拡張薬の効果はあくまで気管支平滑筋の収縮を抑えて発作が起こりにくい状態にすることだけです。ですから症状は早期に改善するかもしれませんが、喘息の基本的な病態である気管支の炎症(ただれ)は全く良くしていないことになりますので、必ず吸入ステロイド(第19号第45号第56号)や抗LT薬(第38号第49号)等を併用した上でお使い下さい。

気管支拡張薬の長期単独使用はダメ!


 上にも書きましたが、気管支拡張薬がいくら「長期管理薬」の範疇に組み込まれても、主な作用機序は気管支平滑筋という発作時に収縮する筋肉を緩めているだけです。ですから、気管支の炎症を改善させる薬剤と併用しないと、かえって喘息が増悪する可能性が高くなります。
 以前、気管支拡張薬のみによる定期吸入療法が流行した時期がありました。治療を始めると一旦症状が改善するのですが、そのうち気管支拡張薬が効かなくなってきて、最終的には治療前よりも悪化してしまうということがわかり、この治療法は短期間で消滅していきました。気管支拡張薬を長期間使用する場合には、必ず抗炎症効果のある薬物と併用しましょう。
【編集後記】 良く効くだけでは危険かも(有)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 03.12.05
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