アレルギー外来ニュース 平成16年4月号

第69号 2004年4,5月

 スギ花粉の季節も過ぎ、新緑がまぶしい季節となりました。アトピー性皮膚炎をお持ちのお子さんにとっては、寒い冬も乾燥の為にカサカサがひどくなりますが、これからは汗や汚れなどとの戦いになります。今回は、アトピー性皮膚炎の小児に適応が通った全く新しいタイプのお薬「プロトピック」についてです。

今月の話題「新しいアトピーの薬、プロトピック」

 今までアトピー性皮膚炎に対する外用薬というと、副腎皮質ホルモン(ステロイド)が入っているものか、スキンケア用のもの(ワセリン、ヒルドイド、尿素製剤など)でした。もちろん、これらの薬物で多くの患者さんはコントロール可能なのですが、一部の患者さんでは長期間ステロイドを顔面などに使用すると皮膚萎縮などの副作用が出現することもありました。そこで新たに登場したのが、タクロリムス(商品名、プロトピック軟膏)です。タクロリムスは免疫抑制剤であり、当初は臓器移植の際の拒絶反応を軽減させるために内服薬として使用されていました。その後、その強い免疫抑制(=抗炎症)効果をアトピー性皮膚炎の治療に用いられないかということで開発されたのが、プロトピック軟膏です。内服では薬剤が血液中に入るために全身性の副作用がおこる可能性がありますが、外用で用いる場合には皮膚からの吸収が少ないために比較的安全に使用できるようになりました。わが国では、1999年より成人に使用可能となり、最近小児にも(2歳以上)使用可能となりました。かなり高い効果が期待できますが、使用にあたりいくつかの注意点(下記)がありますので、それを十分ご理解の上お使い下さい。

1) ジクジクした湿疹部には使用しない:このような状態の皮膚からは薬剤が体内に吸収され、それが原因で副作用がでる危険性があります。まず、ステロイド入りの外用薬などで皮膚の状態を安定させてからお使い下さい。
2) 最初の1週間程度はヒリヒリします:この外用薬を弱っている肌につけるとヒリヒリ感や痒みの増悪が出現することがあります。しかし、1週間程度つけ続けると、肌の状態が安定してヒリヒリ感などがなくなってきますので、しばらくは我慢されたほうがいいでしょう。
3) 皮膚の感染症になりやすくなることがあります:ニキビやトビヒなどの皮膚の感染症になりやすくなることがあります。皮膚の清潔に心がけ、万一皮膚の感染症になった場合には、医師に相談してください。
4) 強い日光に当たらないようにしてください:強い日光を浴びると皮膚がんになりやすいということは、以前より知られていることです。プロトピック軟膏そのものには発がん性はないとされていますが、強い日光による皮膚ガンの発生頻度を増加させるのではないかとの懸念から、「強い日光には当たらないように」という注意書きが付いています。

Q & A

Q: アトピー性皮膚炎を持つ3歳の子供の母です。ステロイドの副作用が心配でワセリンだけを使用していますが、顔面を中心に発赤とジクジクが全身にあります。ステロイドの入っていない強力な軟膏(プロトピック)が発売されたと聞いたのですが、使ってもよいでしょうか?
A: ジクジクしたままの皮膚炎にプロトピック軟膏をつけると、皮膚から吸収されて副作用が出る恐れがあります。プロトピックを単なるステロイド外用の代用品と考えるのは危険です。使用前に医師とよくご相談下さい。
【編集後記】いい薬でも使い方を間違えると危険です(憂)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 04.05.10
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