アレルギー外来ニュース 平成16年6月号

第70号 2004年6,7月

 ヒートアイランドと化した日本列島。こう暑いと冷房は欠かせませんが、その使用によって地球の温度がどんどん上がっていくという考え方もあり、複雑な思いで冷房の設定温度を調節している人も多いのではないでしょうか。設定温度を何度にするのかと同様、喘息の治療目標をどこに置くのかも難しい問題です。

今月の話題「治療のゴールをはっきりと」

 喘息の治療はどんどん進化を続けています。内服の抗アレルギー薬ではより効果が高いものが登場し、吸入ステロイドでは長期間使用での安全性も確認されてきています(第45号)。さらに、気管支拡張剤(β刺激薬)も長時間効果が持続するものが使用可能となってきています(第66号)。そのお蔭か、現在喘息で悩んでいるお子さんの症状は軽症化し、以前にはよく見られていた長期欠席や養護学校への転校を要する子供達の数は激減しました。しかし、全国規模で行われた電話による聞き取り調査によりますと、過去1年間に58%の子供達は発作のために時間外受診を要し、53%の子供達は幼稚園や学校を欠席しているようです(AIRJ調査2000による)。
もちろん「治療薬→症状が消失→治療中止→完治」という形が短期間で完了することが理想でしょうが、現実的には「症状をコントロールして、身体の成長と共に喘息が治る(アウトグロー、outgrowと言います)のを待つ」というのが小児喘息の基本的な治療方針です。しかし、「症状をコントロールする」と言っても、「今まで何回も入院していたのが、朝方のゼーゼーだけになって良かった」という考え方から「普段は発作が全くないが、走り回った時にゼーゼーするのを何とかしたい」という思いまでさまざまです。そこで、ガイドラインでは表のような治療目標を示しています。これによれば、先ほどの「毎朝ゼーゼーしている」という子供さんは目標にはほど遠いことがわかります。この場合には、治療方法の見直しが必要と考えられますので、一度お子さんの症状を再点検されてはいかがでしょうか? 

Q & A


Q: 小学校2年生の男児の母親です。最近、子供が「りんごを食べるとのどがかゆくなる」と言い出しました。何かアレルギーと関係あるのでしょうか?

A: お話だけでは確定診断はできませんが、「口腔アレルギー症候群」の可能性があります。多くの症状は食べた時に口内〜口周囲の症状がでるだけですが、時には全身の症状(蕁麻疹や咳・喘鳴など)がでることもありますので、一度専門医を受診されてはいかがでしょうか。りんご以外には、バナナ、キウイ、桃などの果物や、セロリ、パセリなどの野菜などによって起こることもあります。
【編集後記】携帯型定量式噴霧器(ベコタイドやメプチンエアーなど)のガスが代替フロンに変わったことは既にお伝えしたとおりですが(第67号)、これだけでは地球温暖化を防ぐことは出来ないのでしょうか。アチー!(優)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 04.05.10
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