アレルギー外来ニュース 平成16年8月号

第71号 2004年8,9月

 暑〜い夏がようやく終わりそうになると、今度は大型台風の連続。さらには浅間山の噴火。地球はどうなってしまったのかと心配になるほどです。環境の変化に弱いアレルギーの人たちにはちょっときつい毎日かもしれません。今回は、天候とは関係ありませんが、最近話題の口腔アレルギー症候群についてです。

今月の話題「りんごを食べると・・・かゆ〜い!」

 果物や野菜を食べると、口の中が痒くなったりしませんか? このような症状を呈する口腔アレルギー症候群の患者さんが増えています(第69号)。食べ物によるアレルギー症状ですから、広い意味では食物アレルギーということになりますが、一般的な食物アレルギー(卵・牛乳・小麦・ソバなどを食べると蕁麻疹などの症状が出る)とは異なります。違いとしては、まず原因食物が新鮮な野菜と果物である点です。症状としては口の中のかゆみやピリピリ感が主体で、一般的な食物アレルギーのように蕁麻疹などの全身症状に進展することは稀です。また、発症年齢も異なっており、一般的な食物アレルギーは乳幼児が主体ですが、口腔アレルギー症候群は花粉症に罹患した年長児から成人までに認められます。このような違いの理由は、口腔アレルギー症候群では、まず花粉症になり、花粉の中に含まれる物質と似た成分を含む野菜や果物を食べて症状が出るためと考えられています。原因物質は消化酵素に弱いので、飲み込んでしまうと胃腸で分解され、それ以上のアレルギー反応を起こすことがないので、蕁麻疹・下痢・呼吸困難などの全身症状になることは稀です。さらに、原因物質は熱にも弱いので、調理されたものは摂っても大丈夫なことが多いようです。診断には、お話をよく伺うことが大切ですが、実際に新鮮な食物を使った皮膚テストが有効です。治療としては、今のところ原因となる食物を摂らないことしかありません(同じ食物でも、調理すれば食べられるのであれば、摂取可能)。問題点としては、徐々に原因食物の数が増えてくる人がおられる点です。食べ物にお困り時にはご相談ください。
 口腔アレルギー症候群一般的な食物アレルギー
感作経路経気道(主に鼻粘膜)経腸管
リスク
グループ
花粉症に罹患している年長児〜成人アレルギー素因があって
消化機能が未熟な乳幼児
アレルゲン新鮮な野菜や果物
(熱や消化酵素に不安定)
卵・牛乳・小麦・ソバなど
(熱や消化酵素に対して安定)
症状口の中のかゆみや刺激感などの症状が
口腔粘膜に限局することが多く、全身症状は稀
皮膚(蕁麻疹)・消化器(嘔吐・下痢)・
呼吸器症状(咳・喘鳴)など全身におよぶ
診断方法新鮮な果物・野菜(アレルゲン)を用いた
prick to prickテスト
食物除去負荷試験
対応・治療加熱処理すれば食べられることが多い食物除去

【編集後記】リンゴを食べて死にそうになった白雪姫。本当は口腔アレルギー症候群だったのかも?(U)
富山医科薬科大学小児科アレルギー外来

last modified 04.09.06
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