アレルギー外来ニュース 平成17年11,12月号

第78号 2005年11,12月

 すっかり寒くなりました。今年の秋は、喘息の皆さんには例年以上にきつい年だったのではないでしょうか。そして、最近ではRSウイルスによる赤ちゃんの細気管支炎が流行していますが、この疾患は後に喘息を発症しやすいことでも知られています。ちょっと心配ですね。今回は、11月の日本小児アレルギー学会で発表された「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005」の解説、第一弾です。

今月の話題「ガイドラインの主な変更点は?」

 我が国の喘息のガイドラインは1998年に初めて発表され、その後の数回の改訂を経て、この度「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005」が公表されました。何故このように2-3年毎に改訂するかと言いますと、近年の医学の進歩により喘息の病態解明が進み、治療薬が次々に開発されているためです。また、今回の改訂では、以前からよく用いられていた薬剤の副作用の危険性についても言及されています。以下に、今回の大きな変更点を示します。

抗ヒスタミン薬の分類
・発作時
  ・β2刺激薬(気管支拡張薬:メプチン、ベネトリンなど)の吸入:単回吸入 → 反復吸入
    ・ 吸入後15-30分で効果判定し、必要によっては20-30分間隔で反復吸入可能(全部で3回まで)
  ・アミノフィリン製剤(ネオフィリンなどの静注・点滴):乳幼児では使用注意へ
  ・経口ステロイド薬(プレドニン、リンデロン、デカドロンなど):使用上の注意点を明記
・長期管理
  ・テオフィリン製剤(テオドール、テオロング、ユニフィルなど):乳幼児では使用注意へ
  ・吸入ステロイド(フルタイド、キュバールなど):比較的早期からの使用する方向へ

 前回(第77号)解説しましたように、最近乳幼児においてはテオフィリン製剤(ネオフィリンなどの静注・点滴、テオドールなどの内服)の使用とけいれんなどの神経症状発現との関係が問題になってきています。現段階では、明確な因果関係を示す証拠はないようですが、神経症状発現のリスクがある乳幼児での使用には注意が必要と考えられ、今回のガイドラインでは使用上の注意点が明記されています。しかし、今までよく用いられていたこれらの薬剤を使用せずに喘息を治療・管理するためには、どうしてもメプチンやベネトリンなどのβ2刺激薬の吸入回数を増やしたり、ステロイドホルモンの内服や吸入を早期から使用することが必要になってくると考えられます。
 一方、これらの新しい方法にも問題があります。まず、β2刺激薬の反復吸入ですが、効果判定が問題になると思います。自宅で吸入する場合、1回の吸入だけで十分なのか、不十分な場合にはあと何回吸入すればいいのか、その後に病院に行かなくてもいいのか、などいろいろなことを保護者の方が判断する必要が出てきます。また、経口ステロイド薬の使用が増えると、子供の場合には低身長や肥満などの副作用が心配となります。そのためガイドラインには「1回に3日程度、年に数回まで」使用するのは構わないが、これを超える場合には小児アレルギー専門医が診た方が良いと記載されています。また、吸入ステロイドは経口ステロイドに比べれば副作用の起こる確率がかなり少なくなりますが、それでも「乳幼児にあまり早期から導入するのはどうかな?」という意見も時々耳にします。薬剤には、効果と副作用という両面を持っていることを認識して、使用に当たっては主治医とよくご相談ください。

富山大学附属病院 小児科アレルギー外来

last modified 05.12.19
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