アレルギー外来ニュース 平成18年11−12月号

第82号 2006年11−12月

 もうすぐインフルエンザの季節です。予防注射はもうお済みですか? 外出時のマスクや帰宅後の手洗いとうがいも効果的な予防法になります。是非ともご家族の皆さんで励行してください。今回は、第78号でも解説しましたが、2005年秋に改訂された喘息のガイドラインについて、特に長期管理について解説します。

今月の話題「喘息治療の基本:吸入ステロイドと抗ロイコトリエン薬」

 「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2005」(第78号)では、長期管理(定期的な治療)における吸入ステロイド(第19号 45号 73号 81号)の位置づけがより明確になって来ました。表にありますように、中等症持続型以上(毎週1回以上喘息症状がある方)ではどの年齢層でも吸入ステロイドをまず使うことになっています。一方、軽症持続型(毎月1回は喘息症状がある方)では、年齢によって最初に用いる薬剤が異なり、6歳以上ではやはり吸入ステロイドが優先されますが、乳幼児では抗LT薬(ロイコトリエンという物質に対する薬物、第38号 49号)を使うようになっています。この理由として二つのことが挙げられます。
・乳幼児の喘息ではウイルス感染による増悪が多い: 小さいお子さんが「風邪を引くたびにゼーゼーしてしまう」と心配される保護者の方は多いと思いますが、ロイコトリエンはウイルス感染時に関与する物質としても知られています。
・乳幼児では吸入ステロイドが効率よく吸えなかった: 最近、ネブライザーで吸入できるステロイド薬が発売されましたので(第81号)、今後は吸入ステロイドが乳幼児でも第一選択になる可能性もあります。


大学で行われる臨床研究にご協力ください


 昔の医学では、医師の経験で全ての治療方針が決定されていました。しかし、現在の医学では、きちんとした臨床研究の結果に基づいて、多くの子ども達により安全で有効な治療法を提供しようという動きになってきています(「根拠に基づいた医療」と言います)。これは実にすばらしいことですが、その「根拠」は実際の臨床研究で明らかにされていくものであり、患者さんや保護者の方の協力が必要です。そして、大学病院はその「根拠」を出すための臨床試験を行う場所でもあります。いろいろとご不便をおかけすることがありますが、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
【編集後記】 ノロウイルスの猛威で終わった2006年。来年はもっとよい年になりますように!(由)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 07.05.07
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