アレルギー外来ニュース 平成19年6−7月号

第84号 2007年6−7月

 今年になって2回も富山県の両隣で大きな地震が発生しました。被災された方々にお見舞い申し上げます。阪神大震災やニューヨークでの911の事件など、大きな被害に見舞われた子どもたちでは、喘息などのアレルギー疾患のコントロールが悪くなると言われています。また、食物アレルギーで食事制限を余儀なくされているお子さんでは、日々の食事の準備も大きなご負担になっていることと思います。1日も早い復興を祈るばかりです。さて、今回は「ロイコトリエン」というあまり聞き慣れない名前の物質についてです。

今月の話題「喘息発作には二種類ある?」

    「ゼーゼーヒューヒューして、咳込んだり、呼吸が苦しくなる」のが喘息発作だと多くの人は考えています。もちろん、これは典型的な喘息発作であり、図の中で「即時反応」と言われているもので、例えば急に埃っぽい所に入って喘息症状を発症することなどを指します。この症状は気管支拡張薬を吸入することで軽快しますが、その後数時間してから再び症状が現れて、だらだらとすっきりしない状態になることがあります。では、実際の気管支では何が起こっているのでしょうか?  今までのいろいろな研究結果から、即時反応では「気管支平滑筋の収縮」、すなわち気管支がキュッと縮まってしまうとされており、気管支拡張薬で気管支平滑筋を広げてあげると呼吸が楽になります。一方、その後に出てくる遅延反応は主に気管支の炎症(粘膜の「ただれ」のようなもの)によるとされ、即時反応によって刺激された細胞(好酸球や肥満細胞など)がロイコトリエンやサイトカインなどの炎症を引き起こす物質を産生し、それによって粘膜がむくんだり、痰などの分泌物が多くなってきます。ですから、この時には、即時反応の時ほどは気管支拡張薬が効かないとされています。このような状態がすっきりしないままでいますと、風邪などのちょっとした刺激ですぐに発作を起こすようになります。そこで、喘息症状がすっきりしない、あるいは発作回数が多くなってくると、ロイコトリエンを押さえる薬物(オノン、シングレア、キプレス)や、サイトカインなどを押さえる吸入ステロイド(フルタイド、キュバール、パルミコート)を用いることになります(第82号)。一度始まった気道の炎症はすぐには良くなりませんので、上記の薬剤は医師と相談のうえで長期間服薬して下さい。

防災用グッズに!


 喘息には発作時の薬物を、アレルギー性鼻炎には点鼻薬やマスクを、アトピー性皮膚炎には数日分の外用薬を、さらに食物アレルギーの赤ちゃんにはアレルギー用レトルト食品を防災グッズの中に入れておくことをお勧めします。
【編集後記】 「備えあれば憂いなし」ですね。(佑)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 07.08.06
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