アレルギー外来ニュース 平成20年8、9月号

第90号 平成20年8、9月号

 だいぶ秋めいてきましたが、今年は「ゲリラ豪雨」という言葉が生まれる程、異常気象が続き、アメリカでも巨大台風が猛威を振っています。これからの季節もどうなるのか心配です。秋は喘息が最も悪化しやすい時期です。そこで、今回は、前回に引き続いて「気道の炎症」について解説します。

今月の話題「気管がタダレてるって、どういうこと?」

 前号(第89号)で、喘息のお子さんをお持ちの保護者の方々の約半数の方が、「気道の炎症」について十分に理解しておられないことがわかったと報告しました。実は、これは我々にとってはちょっとショックなデータでした。何故かというと、調査を行った7施設は北陸3県のなかでも喘息を含めたアレルギー疾患の診療に力を入れている所だからです。
 まず、「炎症」とは、簡単に言うと、気道(気管や気管支という体内の空気の通り道のこと)の粘膜がタダレた状態のことです(第12号13号14号参照)。そして、炎症、すなわちタダレた気管支は、ちょっとした刺激にも簡単に反応しまい、その結果として喘息発作が起きてしまいます(上図)。悪いことに、炎症が起きているだけでは、痛くも痒くもないので、本人はなかなか気づかないので、前号の質問にあった「発作がない時にも気道が炎症を起こして腫れている」ということが実感できません。また、発作時に気管支拡張薬を使用すると、呼吸苦がとれて楽になるので、炎症も良くなったと思われがちですが、実際には、気管支拡張薬は収縮した気管支を広げるだけなので、根本にある炎症は残ったままです。
 気道の炎症を良くするには、長期管理薬と言われている薬(吸入性ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)を根気よく使い続ける必要があります。下図の上段にあるように、発作のある時だけ長期管理薬を使っていると、水面下の炎症の程度が徐々に強くなって、喘息そのものが悪化して行きます。一方、下段にあるように、症状がある時・ない時に関わらず、根気よく長期管理薬を続けていると、発作の間隔も開いてきて、気道の炎症程度も徐々に改善してゆくはずです。このような理屈をご理解頂いて、長期管理薬は気長に服薬して行きましょう。

小児の喘息ガイドライン 改訂迫る!

 2005年に改訂された「小児気管支喘息管理・治療ガイドライン2005」が、今年の末に改訂されることになりました。詳しい情報が判りましたら、ご連絡します。
【編集後記】 ガイドラインのお蔭か、我が国の喘息死亡者数は、この20年で激減しています。(優)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 08.09.19
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