アレルギー外来ニュース 平成21年9−10月号

第96号 平成21年9−10月

 平成21年10月 19日より医療従事者に対するワクチン接種が始まり、11月から優先接種が始まる予定です。本来なら国民全てが早期にワクチンを接種出来ればよいのですが、供給される量に限りがあるために、より重症化しやすい人から優先順位をつけて順次接種していくという方針が世界中でとられています。今回は、小児のアレルギー疾患に対する新型インフルエンザワクチン接種についてです。

今月の話題「新型インフルエンザワクチン」

 日本小児科学会が優先対象基準と定めた疾患は、
1.慢性呼吸器疾患(気管支喘息児、慢性呼吸器疾患)
2.慢性心疾患
3.慢性腎疾患(慢性腎疾患、末期腎不全患者、腎移植患者)
4.神経・筋疾患(脳性麻痺、重症心身障害児・者、染色体異常症、難治性てんかん)
5.血液疾患
6.糖尿病・代謝性疾患(アミノ酸・尿素サイクル異常・有機酸代謝異常・脂肪酸代謝異常)
7.悪性腫瘍(小児がんなど)
8.関節リウマチ・膠原病(自己免疫疾患・リウマチ性疾患)
9.内分泌疾患(下垂体機能不全など)
10.消化器疾患・肝疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・胆道閉鎖症葛西術後・肝移植術後など)
11.HIV感染症・その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態(免疫抑制状態にある児)
12.その他の小児疾患(1歳以上の長期入院児、重症感染症後のフォローアップ中の患児)です。

 その中でも、小児の喘息に関しては以下のようになっています。
喘息として軽症の場合でも、重症肺炎やインフルエンザ脳症の発症も報告されている。そのため、主治医の判断で、気管支喘息で継続して治療を受けているか、治療を受けていなくても経過観察のために定期的に受診している患者、現在は寛解状態にあるが5年以内に喘息で治療を1年以上定期的に受けた既往のある患者を優先する。
 この条件に該当する子どもはかなり多いと思われますが、ワクチン供給が安定してない現状では、すぐにこれらの子ども全員に接種することは不可能です。そのため、上記の条件を満たした子どもの中でも、より重症な子どもを最優先に接種する必要があります。その基準としては、「定期的に吸入ステロイド薬で治療している」、「過去1年間に喘息発作で入院経験がある」などと思われます。自分のお子さんに少しでも早くワクチンを接種してあげたいという親御さんのお気持ちはよく判りますが、このような優先順位がつかざるを得ない現状をご理解下さい。
 また、国内生産のワクチンには鶏卵成分が含まれていますが、その量は今までの季節型インフルエンザワクチンと同等とのことです。ですから、過去に季節型インフルエンザを接種されて問題のなかった子どもさんは、今回のワクチンも通常通りに接種して構いません。ただし、接種後30分程度は医療機関内で様子を見て下さい。一方、現在卵や卵製品を一切控えている子どもに対しては、必要によっては皮膚テストを行った上で接種しますので、ご相談下さい。

 さらに、喘息以外の慢性呼吸器疾患を有する児についての優先条件は以下の通りです。
慢性呼吸器疾患(慢性肺疾患,神経筋疾患、先天性肺疾患,間質性肺炎、気管狭窄,肺低形成などを含む)と診断された児で生後12ヶ月以上が経過しており、現在も何らかの治療(酸素吸入や人工換気療法・利尿剤など)を必要としているか、誘因や悪化要因である疾患での過去1年以内の入院歴がある児。

【編集後記】 今後、厚労省からの通達内容が変更される可能性もありますので、日頃から新聞などの報道や各市町村のホームページなどをチェックするようにしていてください。(憂)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 09.10.20
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