アレルギー外来ニュース 平成21年11-12月号

第97号 平成21年11-12月

 新型インフルエンザが猛威をふるった1年でした。強い喘息発作になったり、ひどい肺炎で呼吸困難をきたしたりなど、今まで経験してきた季節性インフルエンザとは大きく異なるその病状に医療従事者の方もびっくりしてしまいました。年末に向けて、その勢いも少し治まってきましたが、年明けの寒い時期にはどうなるのかと心配です。

今月のテーマ「食物アレルギー:食べて治す!?」

 子どものアレルギー疾患のなかでも、喘息は最近いろいろと良いお薬が出てきたことやその使い方を示すガイドラインが整備されてきたこともあって、通常の外来治療でもかなり良い状態にコントロールできるようになってきました。一方、食物アレルギーを持つ子どもの数が増え、そのなかでもアナフィラキシーにまで至る例が目立つようになってきています。さらに、食物アレルギーは以前には乳幼児期早期に軽快していたのですが、最近では小学生になっても治らず、中学・高校まで持ち越すケースも増えてきており、保育や教育の現場では大きな問題となっています。しかし、食物アレルギーの治療薬は未だに存在せず、今までは、誤って摂取(誤食)した時の対処や誤食を防ぐ手だてを講じることが唯一の対応策でした。
 そこで、最近、食物アレルギーの新たな治療法として「経口減感作療法」が注目されてきています。これは、アレルギーを起こす原因物質(アレルゲンと言い、卵アレルギーの場合の卵にあたります)を少しずつ経口摂取して、身体の免疫反応を減弱させるように仕向ける治療方法です。これにはいろいろな方法がありますが、我が国では未だ一定の方式が決まっておりません。来年の4月以降には、全国である程度統一された方法(プロトコールと言います)に従った治療法が試みられるようになります。ご希望の方がおられましたら、外来担当医にお知らせ下さい。なお、食物アレルギーは2-3歳までに自然治癒することも多いので、上記の治療法の対象となる子どもさんは3歳以降になります。また、1日に何度もアレルゲンを摂取するために、時に蕁麻疹などのアレルギー症状、まれにアナフィラキシー症状を呈することがありますので、約2週間入院のうえで行うことになります。現段階では、対象となる食物は、鶏卵、牛乳、ピーナッツの予定です。詳しくは、外来担当医にお尋ね下さい。決してご家族の判断だけで自宅でトライすることはお止め下さい。

決して自宅で勝手に始めないで下さい!

 経口減感作療法は、良いプロトコールできちんと行うとかなりの成功率をあげることができるとされています。しかし、自宅で開始するには危険が多すぎます。決してご家族の判断のみで実施しないで下さい。事故が起こる可能性があります。
【編集後記】 今季は新型インフルエンザワクチンの接種率が上がると共に、季節性インフルエンザワクチンを接種する人が増えているようです。来季も続けてワクチンを打って下さいね。(勇)
富山大学小児科アレルギー外来

last modified 10.05.07
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